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愛の花   作者: 暴風圏
7/11

第6話 影~後ろ~


 久しぶりの更新となります。お待たせしました。

早いものでもう6話ですね。


では、どうぞ

「まぁ弾幕ごっこについてはこんなとこだな。わかったか?」

 賽銭箱に座った魔理沙が退屈そうに足を揺らす。礼儀もなにもあったものではない。

「あぁよく分かった」

 終始、狛犬の顔を眺めていた彼はどこか真剣な面持ちだ。

「つまり弾幕ごっこってのは互いの誇りをかけた壮絶な戦いなんだな」

 魔理沙は嘘つきだったのだ。





「ちなみにこれがスペルカードだぜ」

「おぉ、これが」

 ポケットから取り出したカードを彼に手渡し魔理沙は続ける。ちなみにこれについては「勝負を飾る必殺武器だぜ」などと言ってある。……間違ってはいないが。

「ま、お宅らが来たもんで中止になっちまったがな」

「う……ごめん」

「べつにいーぜ」

 なら言うなよと思ったが口にするのは止めておいた。基本的に彼女は人を小馬鹿にしたような態度をとる。嫌なやつと言ってしまえばそこまでだがそういったところから妖怪達とは折り合いの良い関係を築けているのも事実だ。

「なんなら試しにやってみるか?」

「え、俺弾幕なんか撃てないよ」

 ムリムリ、と手を振る彼に魔理沙はニヤリと笑う。

「だいじょーぶ! 避けてるだけでも成り立つから」

 悪戯っぽく言うと賽銭箱から飛び降り、彼の手を引っ張る。

 実際ちょっとやってみたいかもと思っていた彼もまた楽しそうに笑い、彼女に着いていった。



「で? なんでこんな事になってるのよ」

「私が知るわけないでしょう」

 賽銭箱の前に腰掛ける幽香と霊夢の視界は非常にカラフルだった。

「大体アイツ弾幕なんか撃てんの?」

 一方的にだが飛び交う弾幕を目で追いながら霊夢が尋ねる。寄り掛かった賽銭箱は相変わらず空っぽのままだ。

「撃てるわけないじゃない。大方、魔理沙が適当な事言ったんでしょ」

 そりゃそうか、とぼやく霊夢の横で幽香が日傘をくるりと回した。呆れの混じった表情で見つめる先では彼が奮闘している。

「っ! 結構速いな……って危ね!」

 顔目掛け飛んできた一発の弾をしゃがんで避けると今度は先程より密度の濃い弾の軍勢が迫ってきた。

「さぁ、こっからが本当の弾幕ごっこだぜ!」

 初めてということもあり、最初は単発の弾をわすただけだった。(彼女曰く「Easyよりも簡単なBeginner弾幕だぜ」)

 とはいってもその弾速はなかなかのものである。

「おお? なんかいっぱい来た」

 間隔の狭い弾幕の間を慎重に通り抜け、次の弾幕へと備える。ちなみに魔理沙からは「余裕そうだったらギリギリに引き付けて避けるんだ。グレイズっていう一種のなめプができるぜ」などと言わている。

 彼の身体を掠める弾が次第に数を増して来た頃、幽香が声をあげた。

「あんまり無理しちゃダメよー」

 その横で霊夢が「あらお優しい」などと言っているのは無視した。

「いや、止めないでくれ幽香」

「は?」

 真面目な、いや純粋な目で魔理沙を見据え彼は真剣な声音で続ける。

「これは俺の誇りを掛けた戦いなんだ。だから邪魔しないでくれ」

 当然と言えば当然なのだ。何も知らない、しかも記憶喪失の彼があのような説明をされれば……。

「(ん? 誇り?)」

「(なに言ってんのかしらアイツ)」

 鵜呑みにするのは当たり前なのだ。

「あー……」

 互いの顔を見合せ幽香と霊夢は首を傾げたあと魔理沙を見てため息をつく。

 あいつか、と。


 一方で大真面目な彼は魔理沙への対抗策を練っていた。

 反撃するにも自分は弾幕など出せないし投げつけれそうな石も無い。その前に石などぶつけたら何をされるかわかったものじゃあない。

 そんな時彼はある物に目を止めた。

「あれは……」

 鳥居に立て掛けられた一本の竹箒……今朝境内を掃除していた霊夢の忘れ物だ。

 すぐさま箒を手に取り構える。いわゆるバッティングポーズというやつだ。

「あら、反撃するみたいね」

「そうね」

 そして遅い来る弾幕の密度の薄い箇所を見つけて走り込む。脚力は十分あるようだ。

 やや速度の遅い弾を見つけ、それに狙いを定めた。

「(当たってくれ!) 」

 キン! 小気味良い音をたて弾は魔理沙の方へ打ち返される。弾が勢いよく額にぶつかり、魔理沙は大きく後ろにのけぞった。

「ナイスショッート」

 霊夢が呑気に言う。後ろに足を引いたので転ぶのは防いだが魔理沙の額にはたんこぶが出来ていた。

 同時に彼が「あ、やべ」という感じの表情を作った。

「良くもやったなこんにゃろう!」

 怒り心頭の彼女がポケットから何かを取り出す。

「バカ! それは……!」

 それは手のひらサイズに収まる八角形の箱。中心には陰と陽を表す装飾が施されており、数ヶ所焦げ目のような物があった。


 八卦炉ーー彼女の友人、森近 霖之助より貰い受けた相棒である。


「マスタァァァ……!」

「危ない!」

 バチリッ! 黄色の稲妻が八卦炉を這う。それはつまり瞬間的ながらも高圧の電力が生まれている事を表す。

 止めようと霊夢が立ち上がった時にはもう遅かった。

「スパァァァク!」

 轟音と共に打ち出された巨大なレーザーは境内の敷石にヒビを入れ、そのまま地面を爆砕しながら彼へと向かう。

 反射的に両手でカバーするが効果など無い事は目に見えているだろう。

 彼の視界が光で隠れた。



「……ねぇ今の見た?」

 先程とは売って代わり二人は落ち着いていた。

「……ええ見えたわ」

 白煙を上げる八卦炉を構えた魔理沙の様子におかしなところは無い。

 シュルシュルと何かを巻き取るような音に気付き幽香が彼の方へ向く。

 その音は彼の足元に蠢く黒い紐のモノだ。

「……っ! あれ?」

 未だ到達しない衝撃と痛みに首を傾げて彼がガードを解いた。足元の黒い紐には気づいてきないようだ。

 魔理沙は自らが放った閃光で、彼

目を反らしていたため見ていなかったようだが幽香達からはその様子がハッキリと確認できた。


 影が動いたのだ。


 霊夢が立ち上がるより早くそれは起こった。

 身を固めた彼の影が平地に水を垂らしたかのような動作で一人でに動きだし、形を壁のように変えて彼を守ったのだ。

「あ、あれ? なんで俺無傷なの」

 恐らく本人の意志とは無関係なのだろう。当の本人はあまり状況を理解出来ていないようだ。

「なんか分かんないけどもう一発! マスタァァァ……」

「やめなさいっての」

 ゴヅ、と鈍い音を立てて魔理沙の脳天へ拳骨が落ちた。痛みに悶える魔理沙をよそに幽香は彼へと近づく。

 状況を飲み込めていない彼の影はすでに元の形に戻っている。

「大丈夫? 怪我無い?」

 幽香が心配そうに彼の顔を覗き込む。

「うん、どこも痛くない」

 ほれ、と手をひらひらさせた彼に安心したのか幽香はホッと息をついた。

 先程の影が一体なんだったのか。確信はできないが恐らく彼によるものだろう。

「どうかしたのか?」

 一人考え込む幽香の真剣な顔つきに彼も心配そうや顔をする。魔理沙はまだ転げ回っていた。

「……ううん」

 なんでもない、そう答える幽香の視界の端で影が蠢いた。





 なんやかんやでマスタースパークを出せました。第6話でした。


 さて、今回初めて弾幕ごっこの描写をしましたが



   ムズい



 これにつきますね、ハイwww



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