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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

エリオットの不幸−−宮廷便器争奪戦!!

作者: たなか

キャラ紹介


エリオット−−ヴァルキリア帝国大貴族、絶世の美貌の持ち主、キショい趣味を晒した結果ダークヒーローに制裁済み、妻子持ち。


レイモンド伯爵−−下品な好色おやじ、エリオットをゴシップのネタに売る、

エリオットと仲良し。


エドモンド−−エリオットの側近兼親友、儚げなゲイ。


第三皇子アルフォンス−−210cm130kg、声がデカい。


宮殿


皇子は真新しい燕飛服に身を包み、貴婦人達の華やかな装いに見惚れていた。


しかし、しだいに見飽きてしまう。


佞臣や上級貴族の令嬢との会話にも飽き飽きしていた頃、


皇子はこの麗しい宮殿に似つかない、顔が稚児の握り拳のように腫れ上がった人物を見つけた。


第三皇子「あっ、醜い!」


思わず叫んでしまった。


稚児の握り拳は、その一言にしょんぼりと項垂れた。


皇子「おっと、………失礼いたした。」


その姿に皇子は思わず自身の口元を抑えた。


だが、稚児の握り拳さっと次の瞬間に顔を上げた。


意を決した様子で皇子にツカツカと握り拳は歩み寄った。


皇子「……誰だお前は!?」


エリオット「ご無沙汰しております、殿下。フイルムの夜は騒がしいですね。」


皇子「その声は――クラリウス公か!?……久しいな。にしてもなんだその顔は!!よくその顔でここに来るつもりになったな!」


エリオット「度胸だけはありますからね。」


皇子「それにしても、見世物のピュートルとも良い勝負だぞ!」


声を聞きつけたピュートルは踊りよった。


ピュートル「ヘーイ!皆さん寂しい夜をお過ごしですね!あら、お見麗しい公爵様も変わり果て――ああっ、この世は無情なり。」


皇子「これ、ピュートル!お前の知能はもっと低い。」


ピュートル「ソイツは失礼、あらよっと、パッパ!ヒッヒッ」


ピュートルは近くにいた令嬢をターゲットに決めると、四足歩行で駆け寄っていった。


エリオット「……そんなに、ひどいか……?いやひどいな……」


エリオットは自分の膨れた顔を突っつきながら、一瞬、自分以外の存在をまるで失念してしまった。


皇子「ああ!酷いっ!!」


皇子はエリオットの肩にバシッと手を置いて、力強く頷いた。


エリオット「………」


皇子「これで私以外は誰もお前だと分からないな!」


エリオット「……ではかえって羽目を外せるというわけですね。」


皇子「いったい、何があった?」


エリオット「拝殿する数日前に気まぐれを起こしましてね。


どうやら憧れの花の都フイルムにきてはしゃぎすぎてしまったようです。どうしても直接街を歩いてみたくなりました。この街の建物はどこを見ても美しいものですからね。


うきうきして歩いていたら、なんと空から大変な宝物が降ってくるやら。どうやら、建物の住人が用便を窓から投げたのです。まったく、……お気に入りのお洋服はめちゃくちゃだし、顔もどういう訳かこの通りパンパンに……」


皇子「ハッハッハ」


エリオット「………」


エリオット「……ハ、ハハッ……」


皇子「それでお前はそいつをどうしたんだ?」


エリオット「その住民とやらは医学生でして。うちのエドモンドがこの世で僧侶に次いで尊敬すべき、未来の我が国の宝と言い張りましてね。」


皇子「寛大にも赦してやった訳か。ところでそのエドモンドはどうやら姿が見えないが?」


エリオット「ああ、不思議なことに、彼はここに来たとたんに、胃の中をひっくり返したかと思うといきなり熱を出してばったり……と言う訳です。今はひとつここで部屋をお借りして伸びていますよ。」


皇子「仕方ない。香り袋があってもやりきれんからな、この宮殿の臭いときたら。何しろ便器が足りんくてみんなそこらへんで撒き散らすもんだから。」


エリオット「さればこそ、貴婦人方の香水が場を清めてくださりますよ。」


皇子「なに!?鼻をひん曲げさせるの間違いだろ!」


皇子「……ん?ところであちらが騒がしいな。ひょっとして誰か死んだのかな。ちょいと冷やかしに行くぞ。」


エリオット&皇子現場に行く


客人用の携帯便器を子爵と伯爵が奪いやっていた。


レイモンド伯爵「私が先だ!」


ゲスビー子爵「私が先です!」


皇子「あれはお前の親友のレイモンドではないか!」


エリオット「親友ですって!?……ええ、もちろん。あの方に拝見すると私はいつも身震いさせてもらいますよ!」


伯爵と子爵は、


時には下男でも使わぬような言葉まで飛び出させながら激しく罵りあっていた。


皇子「これはちと仲裁をしなくてわ。」


エリオット「ええ。」


皇子「正当に考えれば、レイモンドの方が爵位が上だな。ゲスビー、レイモンドに譲れ。」


子爵「それはできません!何しろ私は切羽詰まっていましてね!」


伯爵「私だって一刻を争うのですよ!」


エリオット「なら、ゲスビー殿が先に用いるべきですね。」


皇子「なぜだ?」


エリオット「レイモンド殿のような御立派な方ならたとえ、ご不浄が間に合わなくても威厳が損なわれることはないでしょう。」


皇子「なるほど!さすが、お前の慧眼には恐れ入ったわい。」


エリオット「いえいえ。」


エリオットは顔を赤らめ口角が僅かにあがった。


皇子「さあ、レイモンド、ゲスビーに譲れ。」


子爵「ありがたき幸せ。」


伯爵(おのれ、パンパンお化け!!それにしても誰だあいつは!?ああっ……あ……)


伯爵はガクガクと身を震わせると崩れ落ちた。


エリオット「あら、まあ!」


皇子「くっ……臭い!」


皇子は鼻をつまみながら、あからさまに顔をしかめた。


ピュートル「花の都も地に堕ちて、宮殿さえもこの通り。ああ、全てが明日には消えてくれたなら。フイルムの夜は――永い!チャチャン!」


完。

次回予告「侵略者より」

あらすじ


−−あの日の屈辱を忘れるな。

サラン王国に現れたのは、ヴァルキリア帝国から派遣された全権大使エリオット・クラリウス公爵。誇り高き小国は帝国によって蹂躙される。

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