Story 7
次の日ー
姫那はイスに座ると、自分のパソコンを立ち上げた。
「おはよー」
虎雅が出勤してくる。
「あれ?虎雅先輩早いですね」
「なんか社長に呼び出されてん」
「えっ」
「行ってくるわ」
彼は部屋を出ていく。
「昨日のじゃない?」
「さぁ?」
「……」
姫那は嫌な予感がして、胸に手を当てた。
✱✱✱
コンコンコン
虎雅は社長室に入った。
「失礼します。お呼びでしょうか」
「うん」
社長秘書の女性がタブレットを社長に見せた。
「匿名でメールが来てね。昨晩のことなんだけど」
「……はい」
「君、河合さんに無理矢理キスしたんだって?しかも河合さんと話をしていた男性の前で」
「えっ?」
虎雅は目を丸くした。
「ハラスメントが問題化されている今の時代にそれは良くないな」
「あれは河合が元彼に復縁を迫られてて、それでーー」
「警察沙汰にはしない。君の処分についてだが……」
「待ってください!俺の話をーー」
社長は鋭い眼差しで彼を見た。
「1週間の自宅待機と今月分の給料カット。しっかり反省しなさい。あっ、河合さんと社外で会うのも1週間禁止ね」
虎雅はくちびるを噛んだ。
「……はい」
✱✱✱
ザワッ
虎雅が戻ってきた。
「虎雅先輩」
「謹慎くらっちった。あと今月給料なしやって」
彼は笑みを浮かべて頭をかいた。
「そんな!昨日のことはーー」
「ええねん。無理矢理キスしたのは事実やから」
「無理矢理じゃないです!状況はあれでしたけど、わたしーー」
虎雅は左の人差し指を姫那のくちびるに当てた。
「それ以上言わんでいい」
「納得いきません!社長と話してきます!」
歩き出す彼女の右腕をつかんだ。
「やめとけ。今怒ってはるから話聞いてもらわれへん」
「でも!」
「すぐ戻ってくるから」
虎雅は笑みを浮かべた。
「河合、1週間付きっきりで俺が警護する」
「葛本課長!」
「え?葛本が?」
「そうですが何か」
虎雅は葛本から目を逸らす。
「1週間家に泊まらせてもらう」
「えっ!?」
「なっ……!」
ふたりは驚いた顔をした。
「それはあかんやろ!」
「俺がいない間に何かあったらどうする」
「あんたがいるから安心ってことはないやろ!」
葛本は小さく溜め息をついた。
姫那は困った顔をする。
「1週間の我慢だ」
「……わかりました」
彼女は不安そうな顔をした。
「家に帰って泊まりの準備をしてくる」
葛本は部屋を出ていく。
「何かあったらすぐ電話してな」
虎雅は姫那に耳打ちした。
彼女は小さくうなずく。
「じゃ」
彼はカバンを持って出ていった。




