Story 6
1週間後ー
姫那は会社のロビーに来ると、足を止めた。
「あの、困ります」
「河合姫那呼んでくれればいいんで」
どうしよう……
龍弥来てる……
「あっ、姫那!」
彼は歩み寄ってきた。
思わず後ずさりする。
「話があってさ」
「わたしはない。というか困るんだけど」
「だって、お前がブロックするから」
「それは……」
姫那は困った顔をした。
「俺別れてわかった」
その時、虎雅がロビーに現れた。
「やっぱお前がいないとダメだって」
「は……?」
「だから、付き合おう」
姫那は首を横に振りながら後ずさる。
龍弥は彼女に近寄った。
「俺のこと好きだったろ?だからさ……」
「彼女が困ってるやろ」
虎雅は2人の間に入った。
「誰あんた。どけよ」
「どかへん」
「まさか、こいつと付き合ってるとか?なわけないか」
龍弥は笑った。
虎雅は左のこぶしを握った。
「付き合ってるとしたらどうするん?」
「いや、ないない!だってこいつつまんないもん」
「じゃあ、なんで付き合おうって言ったん」
「なんとなく」
ギリッ
握ったこぶしに力が入った。
「おじさん、こいつと付き合ってるって言うならキスしてみろよ」
「えっ!?」
姫那は驚いた顔をした。
虎雅はチラッと彼女の顔を見る。
「……」
「あれ?できないの?なーんだ俺から守るために嘘ついてただけか」
「あんたいい加減に……」
「ごめん(ボソッ)」
虎雅は右手で彼女の頭を支えた。
「え?」
顔を近づけていく。
「えっ、ちょっ、虎雅さーー」
ふたつのくちびるが触れ合った。
「!」
え、何これ
姫那は目を閉じた。
ちゅ
わたし、こんなキス知らない
初めて気持ちいいって思った
虎雅はそっとくちびるを離した。
彼女の右耳に手を当て、そのまま自分の胸に押し当てる。
「姫那は誰にも渡さへんぞ」
彼は龍弥に耳打ちした。
「なっ……もういい。くれてやる」
彼は去っていく。
「虎雅さん、ありがとうございました!」
「ごめんな。怖かったやろ」
「いえ!」
「心配やから送るわ」
姫那は頭を下げた。
ふたりは会社を出ていく。
「何今の」
「ヤバ」
「あれってさ……」
「うん……」
社員たちは顔を見合せたーー




