Story 5
虎雅の車が姫那の家の前で停まる。
「じゃあな」
「はい」
「しっかり戸締りするんやで」
「わかってます」
彼女は笑みを浮かべた。
「早めに寝るんやで」
「それ前に聞いたことあるような……」
「そうやったな」
「では、また明日」
姫那は小さく手を振る。
虎雅も小さく手を振る。
彼女は車を降り、家に入った。
ピコン
スマホが鳴り、メッセージアプリを開いた。
『元気?』
元彼である龍弥だ。
「しまった……消し忘れてた」
『うん』
『そっか。良かった』
姫那は龍弥とのトーク画面を消し、彼を友達リストから消した。
✱✱✱
1週間後ー
仕事中、姫那は手を止めると伸びをした。
スマホを開くと、メッセージが来ていた。
メッセージアプリを開く。
『姫那会いたい』
誰かと思えば元彼だった。
「削除だけじゃダメなのか」
ボソッとつぶやく。
『会いたくない』と返事をした。
『なんで?』
『付き合ってた頃すげー俺のこと好きだったじゃん』
いや、付き合ってた頃でしょ?
しかも付き合ってた最初の方
大きな溜め息をつき、もう一度『会いたくない』と返事をした。
元彼とのトーク画面を消し、彼をブロックする。
「……」
虎雅は不思議そうに姫那を見つめたーー
✱✱✱
ずずず!
姫那はうどんをすすった。
「今日は肉うどんか」
目の前で虎雅が座った。
「今日はチャーハンなんですね」
「そやねん。そういう気分でな」
彼はチラッと彼女を見た。
「何かあったん?」
「え?」
「さっき少し機嫌悪そうやったから」
姫那は苦笑いした。
「大丈夫です。たいしたことないので」
「ふーん……ならええけど」
虎雅はチャーハンをれんげですくい、口に入れた。
「まぁ、なんかあったら言いや?話聞くから」
「はい」
「困ってることあったらフォローするし」
「ありがとうございます」
彼は視線を落とす。
俺ら両想いやんな?
なんか今までと全然変わらんくない?
もっとこう……何でも話し合える関係というか、親密にというかさ
考え事をしている間に姫那は食べ終わり手を合わせた。
「じゃあわたしはこれで」
「うん」
立ち上がる彼女に虎雅は手を振った。
「うーん……」
『なんか思ってたのと違う』
過去に付き合ってた彼女に言われたことがある。
『草食系なんて知らなかった』
大切にしたいという気持ちが強すぎて、自分から触れられなかった。
その後2人ほど付き合った。
『重い』
『わたしにはちょっと重い……』
尽くしたいと思ったらそう言われ、別れを告げられた。
結果恋愛に臆病になってしまった。
「恋愛ってムズイなぁ」
虎雅は小さく溜め息をついた。




