Story 3
次の日ー
「おっはよーさーん」
虎雅が出勤してきた。
「ん?」
「?どしたん」
「香水付けてるんですか?」
姫那は匂いをかぐ。
「そうやねん。付けてみてんけど、どう?」
「イケメンの匂いがします」
「ほんま?イケメンになっちゃったか〜これからモテちゃうなぁ」
虎雅は笑いながらデスクに座った。
先輩急にどうしたんだろ?
姫那は不思議そうな顔で首をかしげた。
✱✱✱
姫那は財布を持って、自動販売機の前に立つ。
「ん〜林檎ジュースかなぁ」
「これ?」
程よい低い声が鼓膜を震わせた。
ゾクッと甘い感覚が体中を走る。
ガコン
「お疲れさん」
虎雅は小さい林檎ジュースのペットボトルを渡した。
「あっ、ありがとうございます」
「あのさ......」
「聞いた?神田さんってフリーだって!」
「ウソ!」
「かっこいいよね〜」
「わかる!ハイスペ男子!」
虎雅は頭をかいた。
「今何か言いかけました?」
「また今度でええわ」
「?」
彼はブラックコーヒーを買うと、その場を去った。
虎雅はコーヒーをぐびっと飲む。
「ダッサ」
彼は溜め息をつく。
「河合さんって彼氏いないんだっけ」
「別れたらしい」
「一生懸命だし、小柄でかわいいよな」
「だよなぁ」
虎雅は「わかる」と小声でつぶやく。
「このままじゃあかん」
コーヒーをぐびぐびと飲んだ。
✱✱✱
3日後ー
カタカタカタ
「姫ちゃん、ごめん」
「?はい」
「これ打ってほしいねん。予備なくて」
虎雅は資料を渡す。
「わかりました。3枚、かな」
「あれ得意やろ?何とかタッチ」
「えっと......ブラインドタッチ?」
彼はうなずいた。
「文字打つだけならすごい得意です。任せてください!」
「頼んだで」
虎雅は姫那の頭をポンポンと叩くと、自分のデスクに戻った。
✱✱✱
夕方ー
「お疲れ様でした」
姫那は部屋を出た。
「待って!」
虎雅が追いかけてきた。
「虎雅先輩?」
「伝えたいことあって」
「?」
「姫ちゃん、良かったら……俺を彼氏候補にしてほしい」
姫那は目を丸くした。
「それだけやから」
彼はデスクへ戻っていく。
「えっ」
えー!?
彼女は驚きでしばらく動けなかったーー。
それから虎雅を男性として意識してしまい、姫那は申し訳ないと思いながら彼を避けるのだった。




