Story 12
姫那と虎雅は彼女の家に着いた。
ふたりで中に入り、2階に上がる。
「衣類だけでいいです、か……」
姫那は虎雅を見ると、目を丸くした。
「……?どしたん?」
「あー、えっとー」
「ん?」
彼の鎖骨の下が赤くなっていたのだ。
何も考えずに付けちゃった!
「あっもしかしてこれ?」
虎雅はキスマークを指差し、ニヤッと笑う。
「付けられたん初めてや」
「すみません!」
「俺も今度姫那に付けようかな」
彼は彼女の胸元に人差し指を当てた。
「こことか」
「ダメです!」
「えー」
姫那は大きなポーチに下着を入れ、それをキャリーケースに入れた。
「衣類だけでいいですかね?」
「あとコスメな」
「あっ、そうだった」
虎雅は目を細めた。
✱✱✱
虎雅はキャリーケースをトランクに乗せた。
「ありがとうございました」
「何か足りんかったら買いに行こな」
「はい」
彼は助手席のドアを開けた。
「ありがとうございます」
姫那が助手席に乗ると、虎雅はドアを閉め、運転席に乗った。
✱✱✱
次の日、ふたりは一緒に出勤し、社長室に入った。
「河合さん、大変だったね。ごめん」
「謝らないでください!」
「葛本は昨日付でクビにしたから」
姫那は目を丸くした。
「でしょうね。俺の姫那を傷付けたんやから」
「お、俺の?」
彼女は彼を見た。
「で、俺はどうします?」
「どうもしないよ」
「え?」
虎雅は驚いた顔をした。
「社内で交際した場合、報告すること」
社長秘書は規約を読んだ。
「まさかこのふたりがねー」
「普通、社内恋愛禁止なんじゃ……」
「うちは禁止じゃないよ。ただ報告してねって話」
ふたりはきょとんとした。
「で、結婚するの?」
社長はにやつく。
「まだそれは……話し合ってるというか……」
「するときは言うようにね」
「はい」
姫那と虎雅は顔を見合せた。
✱✱✱
ふたりは社長室を出た。
「びびった〜」
虎雅は胸に手を当てた。
「葛本さんのこと言ってくれれば良かったのに」
「姫那の前であんま言わん方がいいかなって」
「でも、ありがとうございます」
彼女は笑みを浮かべた。
虎雅は姫那を抱きしめた。
「虎雅くん?」
「はよ家帰って姫那に触れてぇ」
「!が、我慢してください!」
「……うん」
ふたりは笑みを浮かべた。
おわり




