第1章の世界観・文化
惑星アトランティアでは魔鉱石に含まれる「マナ」という力価エネルギーを利用した魔導技術を発展させた世界です。30年前はヴァナヘイム帝国が魔導技術で他の国々より1歩も2歩も進んだ技術体系をもっていました(艦艇の推進方式や人型兵器等、地球の技術より進んだ部分もありました)。しかし、トリアイナ王国との戦争に敗北して民事・軍事両面の技術情報開示は講和条件に入れられ、トリアイナ王国はこれを全世界に公表したことから、世界中の魔道技術が一気に開花しました。
さらに、ロランド大陸だけでなく、パルティカ大陸、オスマニア大陸においても魔鉱石の大鉱脈が複数発見されたことから、豊富で安定したマナの供給がなされ、この世界の国々の生活水準とともに軍事技術も大幅に向上し、各国では独自に魔導技術を使った戦闘艦艇、陸上兵器、航空兵器を開発し、保有するに至っています。
【トリアイナ王国について】
戦艦大和を始めとする日本艦隊によって、ヴァナヘイム帝国との戦争に勝利したトリアイナ王国は異世界(日本)の技術を公表せず、魔道技術に対抗できるものとして、国を挙げての技術開発態勢を整えて研究するとともに、内燃機関の燃料となる石油開発に力を入れてきました。その結果、トゥーレ島北方にあるサハ島周辺に大規模な海底油田を発見したことから、既存の油田と共にサハ油田から得られた石油と天然ガスを利用した発電事業と化学工業及び機械工業が発展しました(これらの資金にはヴァナヘイム帝国からの巨額な賠償金が大いに役立ちました)。
一方、魔道技術も捨てたわけではなく、民間利用は主に魔導技術を利活用しており、この世界本来の魔導技術と異世界の機械技術を両立させています。
なお、軍事に関しては帝国を始めとする他の国々と異なり、世界で唯一、異世界(日本=地球)の技術を使い発展させています。これには、異世界からもたらされた物理学、機械工学、航空力学が大きな役割を果たしています。
この物語では、魔導技術と異世界技術のぶつかり合いも大きな見どころにしたいと考えています。
【世界観その1】
アトランティアは4つの大きな大陸と多数の島々からなる惑星です。海洋比が大きく地球に似た感じの惑星です。パルティカ大陸はユーラシア、南北ロランド大陸は南北アメリカ、オスマニア大陸はオーストラリアを、テーチス海は太平洋、エルトリア海は大西洋をイメージしています(パルティカ大陸のエウロペ地方はヨーロッパだとお分かりになったと思います)。
北半球の島国の位置的関係を説明しますと、トリアイナ王国は日本、マルティア諸島は沖縄、シルル諸島は南太平洋の島々、スケリアはインドネシアの位置にあると想像してください。また、南半球の大きな島はサフルだけで、これはニュージーランドの位置になります(南極大陸に相当する極大陸もありますがこの物語には無関係なので割愛)。
文化は基本的に近代ヨーロッパ風で、スケリアやサフル等一部の国は東南アジアの文化に類似しています。
なお、トリアイナは日本文化も組み合わされた和洋折衷というよくわからん感じになってます。話の中に結構日本の衣食住も出てきますので楽しみにしてください。
艦船、航空機、地上兵器等軍事技術は概ね地球の1960~70年代を想定しています。
なお、序章の解説にも書きましたが、魔導技術は地球には無い技術体系なので、人型兵器等、地球より進んだ部分もありますが、これらの兵器もその手のアニメにあるような無敵兵器にはしておらず、航空力学や各物理法則に縛られていて、通常兵器でも十分対抗できるようにしています。
(人型飛行兵器にしたって、アニメのロボットのようにゴテゴテした装備付けたら重いし、空気抵抗も強く受けて早く飛べるわけないですからね。そんなんで音速超えたら間違いなく空中分解してしまいます。その点もしっかり表現していきたいと思います)。
【世界観その2】
<トリアイナ王国の文化>
トリアイナ王国では日本からもたらされた内燃機関及び機械・電気技術を取り入れ、国内各地に火力、水力発電所が建設されたことで、王国全土で電気利用が進み、各家庭の照明は従来の魔導灯から電灯に切り替わりました。
さらに、機械技術の進展に伴い、電動だけでなく、ディーゼル及びガソリンエンジンの車両が開発され、都市部を中心に電車やバス等の公共交通機関が発達しつつあります。更に地方の都市を結ぶ中長距離鉄道網も整備されつつあります(自家用車は高価なのでまだあまり普及していません)。
一方で、安価で構造も簡単な家庭用品では従来の「マナ」を利用する魔導具(調理コンロや湯沸かし器等)も多く使われており、機械技術と魔導技術が共存している形になっています。このため、様々な製造業が大いに発展し、家庭生活の水準も一気に向上しました。
なお、王国では日本の技術には輸出規制をかけているので内需オンリーですが、王国の人口は7千万人まで増加しているのでまだまだ伸びしろはあります。
この、魔導技術に代わる機械技術は文化面でも大きく王国を変えつつあります。テレビはありませんがラジオは一般的に普及し、音楽番組は国民の間で人気となっています。また、映像文化として映画もあって各地の主要都市に映画館もでき、大衆娯楽として定着し始めています。
<トリアイナ以外の国々>
地球(日本)の技術は軍事的観点から魔導兵器に対抗できる技術として他国には非公開とし、トリアイナ王国が独占している形としています。一方で、ヴァナヘイム帝国が持っていた先進的な魔導技術が公開されたこともあって、他の国々では従来の魔導技術を発展させてきました(地球の機械技術は習得するのが困難で、模倣もほぼ不可能という面も影響しています)。
つまり、全てのエネルギーを魔鉱石から抽出・精製したマナという魔力エネルギーで賄う社会です。例を上げると、自動車を始めとした車両も各種あって、見た目は内燃機関同様の形態をしていますが、動力は魔導ジェネレーターでマナを駆動力に変換して稼働させています。また、電池のようなエネルギーパックもあり、ラジオのような魔力通信を受信する機器によって、音楽やニュース、娯楽に情報といった様々な番組が提供されています(この辺は地球と変わりません)。
基本、使用するトリアイナと他の国々はエネルギーが違うだけで、文化的には地球と大きな違いがない世界なのです(作者が地球と異なる独自文化を考えるのがメンドクサイという部分もあります)。このことから、当然家電製品に似た家庭用器具もあります。




