同僚を殺したが、殺してなかった。2
昨夜東京湾で女性の遺体が見つかりました。
状態がひどく身元不明の様です。
諒子「あら、やだもうこんな時間」
純「どうした、今日は休日だぞ」
諒子「いや、実は今日ね、近所の佐藤さんとお茶会の約束がありまして、そろそろ出ないといけないの。てゆうことだから、適当にご飯済ませといてね」
といって諒子はすぐに支度をし、家を後にした。
今日は何をしようかなと考えていると一本のメールがきた。
宛名:不明
件名:話がある。例のビルといったらわかるかな?
12時に来い
と一件のメールがきた。
正直驚いている。このことを知っているのは、刑事さん、おそらく亡くなった綾香、そして、松井の3人だ。
まさか、松井からか。
しかし、松井の場合リスクが大きすぎる。
俺は一度あの男を殺そうとした。いやなんなら殺したと思っていたんだぞ。そんな男が接触しようとしてる訳は、復讐。
それ以外あり得ない。
このメールは見なかったことにしよう。
それが最善だ。
と結論付けた瞬間一件のメールがきた。
件名:もし来なかったら、今日近所の佐藤さんと出かけたお前の奥さんどうなるかな?
まさか、監視されてるのか?
行くしかないのか…
と不安になりながらも、護身用にカッターを持ち、家を後にした。
そしてビルに着き、予定の12時に
屋上に辿り着いた。
そして数分が経ったころか、
屋上のドアが空き、そこには黒いフードを被った男がいた。
松井「よう、久しぶりだな。」
純「お前まさか生きていたのか⁉︎」
松井「ああ、おかげさまで、死にかけたがな」
純「なにが目的だ?復讐か?」
松井「そんな安っぽいことをしねぇーよ。
今日はお前に話があってきた。」
純「なんだ話って?(隙をついて奴をこのカッターで次こそを確実に息の根を止める)」
松井「とその前に右ポケットに入っているカッターを捨ててもらおうか?」
純「なんのことだ」
松井「まあ、いいか。それで本題の話だが、奴に会ったのか?」
純「奴…?」
松井「その様子じゃまだの様だな。それじゃまだ、この話をするわけにはいかねー」
純「どうゆうことだ?一体誰なんだ?奴とは?」
松井「そのうち嫌でも知ることになるよ。やつにあったらまた会いに来てやる。じゃあな」
と後を追いかけようとしたが、もう松井の姿は見えなかった。
一体松井の言っていた奴とは?
嫌でも知ることになるとは?
と疑問に感じながらもビルを後にした。
そして、家に戻り、テレビのニュースを見ていた時だった。
テレビ「今日12時ごろ、東京湾でまたもや女性の遺体が見つかりました。
状態がひどく、身元不明のようです。
警察は連続殺人の可能性を考え、捜査を進めています。」
最近物騒だな。
純はため息をついてテレビを消した。
その瞬間、スマホがまた震えた。
【宛名: 不明】
【件名: 君のすぐそばにいる】
【本文:
さっきテレビを消した理由はなんだ?
“物騒”という言葉、軽すぎ】
血の気が引いた。
(……見られてる。まさか家の中に?)
次の瞬間、ドアのチャイムが鳴った。
――ピンポーン。
恐る恐る覗き穴を覗くと、そこには配達員のような人が立っていた。
だが、目が合ったその瞬間、そいつは笑った。
ガチャガチャ、とドアノブが回される。
その時、またスマホに通知が入る。
【件名: なし】
【本文: 次に死ぬのは、君の奥さんかもしれない。
それとも——君自身か?】
俺は慌てて、あるところに電話をした。
田中「はい、もしもし、こちら捜査一課田中ですが、どなたですか?」
純「家の前に怪しい男が!助けてくれ!」
田中「その声は松井さん。わかりました。至急伺います。」
とすぐにタンスに隠れた。
あれから、何分たったのか?
インターホンの音がなった。田中さんか、これで助かると思ったその瞬間、
ガチャという音が響いた。
開いた?まさかさっきのメール人物かと、足音がこっちに向かっている。
ガチャそして、俺のいる部屋が開いた。
その足音は俺のいるタンスの前でとまり、思わず息を止めたが、もう遅かったのかタンスが開いた。
諒子「何してんの?こんなところですごい汗じゃない。そんなことより、刑事の田中が来てるわよ。」
と思わず、安心してしまい、平常心に戻った。
田中「大丈夫ですか?」
純「はい、なんとか」
田中「ではさっきのこと聞かせてください。」
と俺はありのままあったことを話した。
田中「となると、犯人の顔は見てないと?」
純「はい、マスクをかぶっていました。」
田中「特徴があまりにも酷似していますね。」
純「何と酷似しているんですか?」
田中「今日12時ごろ東京湾であった殺人事件ですよ。これらの周辺で聞き込みをしたところ、今純さんがおしゃった特徴と酷似しているんですよ。
身長は179cm細身というところまで、そして、
配達員のような格好をしていたと。おそらくそいつは純さんに見られてはいけないのもの、もしくは、知ってはいけないことを何か知っているんじゃないでしょうか?」
田中「なにか心当たりはありませんか?」
純「心当たりですか?」
田中「なにか思い出したらまた連絡してください。今日のところはまだ仕事が残ってるので」
と田中さんは何か思い出したように家を後にした。
田中「間違いない、この事件だ。」
そこには、3人の被害者がいた
1人目は、20代女性
2人目は、30代女性
3人目は、10代学生と
事件の詳細を見ていくと、見覚えのある名前があった。
15歳、松井萌香
この子の両親は…
いやでも、松井は行方不明。
そして、松井綾香は今朝の遺体で見つかった。
まさか、これは10年越しの松井夫婦による復讐。
松井は、その復讐のために純を利用しとしたら、予想外のことが起こり、松井綾香は死んだ。
となると、その予想外のこととは?
まさかあのビルで起きたのか?
純は田中がいなくなった後、疲れたのか
横になっていた。
まさか、松井が言っていたやつがこんなにも恐ろしいやつとは…
今一度今日のことを振り返り、恐怖心に駆られていた。
そこに一本のメールがきた。
まさかと内容を見てみると、
件名:なし
内容:どうやら、奴に会ったようだな。
明日12時例のビルで落ち合おう。
答えは最初から決まっている。
奴の排除。そのためには、情報がいる。
松井を利用し、奴を殺す。
そう心に誓った。
松井「きたか」
純「ああ、奴に会ったよ。とてつもなく恐ろしかった。」
松井「約束だ。本題を伝える。奴を殺すぞ」
純「同感だ。あんなやつ野放しにできない
奴に関する情報が必要だ。何か知ってるんだよな?」
松井「そう、焦るな。まず、奴の正体はジータ。10年前にも連続殺人事件を犯していて、3人殺している。そして、今回の事件ではすでに2人。最大の特徴は女性しか殺してないということ。そして、今回の事件の被害者の1人が、俺の妻綾香だ。」
純「なに?綾香だと。」
松井「ああ、入院中のお前にあった綾香、あれはジータだ。
ジータは声色、そして、容姿の変装を得意としている。そのせいか、ジータは警察に捕まらない。」
純「まてよ、前回が3人、今回は2人、まさかもう1人殺されるのか?」
松井「おそらくな。そして目星もついている。
それはお前の奥さんだ」
純「なんで、俺の奥さんが?」
松井「それは、お前を誘き寄せるためだ。」
純「なんで俺を…俺が何かしたのか?」
松井「ああ、おそらくだが…」
と松井が理由を説明しようとした瞬間、
大きな銃声がなった。
純「おい、松井、大丈夫か⁉︎」
ジータ「喋りすぎですよ。松井くん。まさか、私を欺き、そこまで調べ上げたとは、天晴れです。しかし、それもここまで、ゲームオーバーですよ。」
とまた一つ銃声がなり、松井は倒れた。
純「おい、松井しっかりしろ!!ジータ!
貴様、よくも松井を」
ジータ「さあ、物語もフィナーレです。純さん、あなたにも後に退場してもらいます。」
とジータは姿を消した。
純「松井おい、しっかりしろ」
一件の未読のメールがきて。
松井はまるで自分が死ぬことを予言していたのか。ジータの居場所をメールで送っていた。
そして俺はすぐさまそこに向かった。
重苦しい空気が満ちる、密閉された地下空間。
椅子に縛られた妻の前に立つのは、かつて“人”であった存在――ジータ。
ジータ「よく来ましたね、純さん。さあ、これで“最後”ですよ」
純「……どうして、俺を狙う」
ジータはゆっくりと歩きながら語り始める。
ジータ「あなたの父親。かつて私の家族を見殺しにした男。あの日、裁かれるべき者を庇い、私の家族は奪われた。真実を捻じ曲げ、嘘の証言で罪を逃れた……あなたの父親こそ、正義を殺した人間なんですよ」
純「……それでも、罪は俺じゃない!」
ジータ「血はつながっている。それだけで、あなたは十分に“報い”を受ける資格がある」
純が動いた。拳銃を向けるジータに突っ込む。
だが――
パンッ!
銃弾が純の脇腹を貫いた。
そのまま床に転がり、立ち上がれない。
ジータ「さようなら、純さん。これで、儀式は完成です」
銃口が、純の額に向けられる。
その瞬間――
パンッ!
ジータの肩が弾け飛ぶ。
ジータ「ッ……!?」
背後の暗がりから、ゆっくりと現れたのは――
松井。無傷のまま、黒のコートを羽織って。
ジータ「……お前は……撃ったはずだ……致命傷だった……!」
松井は無言で、ジータを見据える。
ジータ「なぜ生きて……!」
松井「……」
その問いに一言も返さず、松井はジータの胸に銃口を当てた。
パンッ
ジータは崩れ落ちた。
そのまま二度と動かない。
純がゆっくりと顔を上げる。
純「……お前……無事だったのか……」
松井「……防弾チョッキくらい……準備してなきゃな」
それだけ言うと、松井はジータの遺体に目もくれず、踵を返す。
純「おい、どこに行く――」
松井「……もう俺の役目は終わった」
そう言って、松井はそのまま、闇の中に姿を消した。
追うように、警察の突入部隊が到着する。
だが――すでにそこに、松井の姿はなかった。
白い天井を見上げながら、純は目を閉じていた。
傍らには妻の姿。
警察はジータの死と、事件の真相を発表。
連続殺人事件は終焉を迎えた――はずだった。
だが、純の胸には一つだけ、答えのない疑問が残っていた。
「なぜ、松井は生きていたのか?」
その疑問が解消されることはあるのか
事件から数日後、
松井は静かな郊外の墓地に立っていた。
ひんやりとした風が頬を撫でる。
彼の目の前には、小さな三つの墓石。
そこに刻まれた家族の名を一つ一つ、ゆっくりと見つめる。
松井「お前たち……やっと少しは……報われたか」
手に持った花を静かに供える。
松井「だが……これは終わりじゃない。まだ、やらなきゃいけないことが残っている」
空を見上げ、強く拳を握りしめる。
松井「必ず――真実を、全部……暴いてやる」