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不器用

僕は魔王国最強の魔王の息子として生まれ、その魔法適性には大きな期待がかけられていた。だけど、いざ魔法を撃ってみるとなにもおこらず、少し経つと魔王城の庭の木を全て破壊してしまっていた。その後希に見る魔法が遅れて発動するタイプかもしれないと言われる。

「不器用ってどういうことですか?」

「うーん、ちゃんと話そうか。」

すると、先代魔王の弟は、話はじめた。

「カイ君の魔法はすごい。たぶん魔王軍幹部でも上位に入るほどの魔法能力をもってる。だけど、魔族の魔法というのは元々完成されているものなんだよね。」

「ですから、カイ坊は一生そのまま遅れて魔法が発動する状態なのかもしれないということですな。」

「希に見る不器用タイプってことなんだよね。」

「え、・・・そんな。」

まさかこんな運命が待っているとは。

「僕は、・・・」

「大丈夫だ。カイ、我の子なのだ。いずれ安定して使えるようになる。」

「しかし、これほど協力な魔法使いで、魔法のタイミングが合わないとは、とても珍しいものですな。」

「もう一回やってみようか。さっきは初めてだからだったかも知れないしね。」

「わ、わかりました。」

もう一回さっき爆発した木を思い浮かべる。前に手を出して。

「ハッッ!!」


「・・・何も・・・おきない?・・・」

今度は時間が経っても何もおこる事はなかった。

「カイくん。君はもしかすると魔法を放つ機能が少し壊れているのかもしれない。僕が、調べてみるから、当分は魔法を使うのはやめよう。」

「そんな、これからマーム帝国との、戦争が始まるというのに。」

「うん、だけど、仕方がない。まだ不安定な魔法を連発すると、体が爆発してしまう可能性があるからね。」

そ、そんな。僕は異世界転生したばっかではあるけど、一応この国の魔王だ。その僕が戦争を前にして、魔法を使えないなんて。

「カイ坊の魔法は、不器用タイプというよりは、まだ未完成と言ったところですかな。」

「・・・未完成?」

「私の息子、今となっては魔王軍第三幹部をつとめておりますが、生まれたばかりの頃は、魔法が使えなかったのです。ですが、生まれてから何十年かした頃、「父さん、俺魔法が使えなかったんじゃなくて、魔法が完成していなかったんだ。」と言って次の日から普通に魔法が使えるようになっていましたよ。参考になるかはわかりませんが。」

「カイ、お前は魔法が使いたいか?」

使いたいか使いたくないかで言ったら、使いたいに決まってる。

「そりゃ、使いたいよ。」

「・・・だとしたら、エルフの森に行ってみてはどうだ?」

エルフの森は、昔から父が行ってる所だ。そこでなにかわかるのかな。

「エルフの森には我の弟より、知脳が高い者が、何十とおる。お前が魔法を使いたいなら、そこへ行ってみるのもなくはないことかもしれん。」

そりゃ、僕は魔王なんだ。魔法は使いたいし、魔王国の王が、魔法を使えないとか言ったらそれはもう国の終わりだろう。

「僕、エルフの森に行きたいです。」






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