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足固め

カイは、群衆の前で見せつけられ、正式な魔王になった。だが、魔王国はマーム帝国との戦争を目前にしている。この困難にどう立ち向かう!?

「カイ、お前は今から魔王になるのだ。その自覚はあるか?」

・・・自覚、ない。

いきなりの事すぎて、まだ頭が現実に追いついてない。

だって僕まだ言葉もうまく喋れないよ。それなのに魔王なんて。

「・・・ほぉ。お前さては、まだ言葉がうまく喋れないのか。・・・うーん。少し成長が遅いな。」

え?魔族ってそんな急成長するの?

「なぜだろうか。仕方ない、魔法をかけて、成長させよう。」

え?そんなことできるの?

先代の魔王は僕の頭の上に手を置いて力を込めた。

僕は、脳が回るような未知の感覚に襲われた。

先代の魔王が魔法をかけ、僕は10歳くらいの少年の姿になった。

「よし、これで大丈夫だ。お前ら、カイに、たくさん話しかけておけ。」

「かしこまりました!」

「我は少し出かける。その間カイを頼む。」

「はい!カイト様。・・・今回はどこへ?」

「エルフの森へ行ってくる。カイの紹介にな。」

「わかりました!お気をつけください!」

そう言って元魔王は、城を出ていった。

「エルフの森?」

すごい、ちゃんと話せたぞ。

「えー、エルフの森には、主にエルフとハーフエルフが暮らしていて、エルフの森は、人族と魔族との戦争には無関係で、どちらの国とも友好的な関係を保っている所です。」

「そういえば魔王様。私たち自己紹介がまだでしたね。」

そんな急に魔王様とか言われると、ちょっとびっくりする。

「私たち、正式な名前はないのです。一応立ち位置としては、全員カイト様の妻のような感じです。」

「・・・名前がないというのはどういうことですか?」

「私たち、全員元々奴隷として働いていて、とても貧乏な生活をしていたところを、魔王様が助けてくれたんです。」

「・・・そうなんですね。すみません辛いことを聞いてしまって。」

「いえいえ、今はカイト様の下で働けていて、とても裕福で全員満足していますよ。」

「・・・なら良かったですが、・・・」

先代魔王の周りにいる女性たちは、全員とても美しい。だけど、その美しさからは想像できない過去があったんだ。

「前の魔王、カイト様の事なんて呼んだらいいと思いますか?」

「ふふ、そうですね、パパなんて言ったら喜ぶのではないでしょうか?」

「それはなんか怒られそうですね。」

結構自然な会話をする。

「てか、エルフの森に行ったら危なくないですか?前まで魔王だったのに。」

「そこは、大丈夫です。カイト様は、エルフの森へ行く時、匂いを人族の匂いにしたり、擬人化して、細心の注意をはらっています。」

「エルフの森へは何をしに?」

「それが、それは私たちにもわかりません。カイト様は定期的にエルフの森へ行っているのですが、理由だけは、一向に教えてくれないのです。」

「隠し事でもあるんですかね。」

「本当に私たちは何も知りません。」

まぁ誰にもいえない隠し事の1つや2つ誰にでもあるだろうし、本当に知らなそうなので追求したりは、しなかった。

「ただいま帰還したぞ。」

30分くらい、結構早く帰ってきた。

「おかえりなさいませ。カイト様。」

「おかえり、お父さん。」

「・・・こいつらに悪知恵を吹かれたのか?」

「いえいえいえ、滅相もないです。」

「・・・そうか。気分は悪くない。・・・」

ちょっと照れてる。

「それより、エルフの森で聞いたのだが、あちらの国は、コツコツとこちらへ向かう戦力を固めているとのことだ。」

「それは、戦いのはじまりが近いということですね。」

「・・・そうだ。」

戦争か。展開早いな。でも戦争が終われば落ち着くだろう。僕は魔王という存在に飲まれていたが、元々は異世界人なのだ。あまり、戦い事に本気になる必要はない。たぶん。

「カイ、お前は戦争中、魔王の大将としてずっと座っていろ。問題は我らで片付ける。」

「・・・わかりました。」

「お前が我に敬語を使う必要はないぞ。」

「・・・わかった。」

「そうだ。」

「これからお前はこの国を背負っていくのだぞ?」

「何回も言われなくてもわかってるよ。」

「・・・そうか。」

先代の魔王にタメ語で話せている自分に自分でとても驚く。

「それでは我らも準備を始めるぞ。」

「はっ!」






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