表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/15

風を感じて。

「僕ってやっぱり不器用なんですねぇ。」

僕は不甲斐ない気持ちでいっぱいだ。せっかくユメミルが魔法を教えてくれているというのに。

「いえいえ、カイ様は、いずれ基本魔法以外の術も覚えていくわけですから。悪いことではないですよ。」

そう言ってくれるが、僕がユメミルにかけてしまった束縛の呪いというのは、呪いの対象が選べないランダム技らしい。今、先代魔王の妻たちはこの部屋から出て行ってて、部屋にはユメミルと僕しかいない。だからユメミルが呪いの対象になったのだ。そこで僕は、タイマン戦においては最強の、呪いなのではないかと思ったが、束縛の呪いは、強い魔法使いには、全く効かないらしく、現にユメミルは、すぐ呪いを解除していた。呪いの中では一番弱いんだって。

「魔法って・・・難しいですね。」

「カイ様は、たんに経験が少ないだけかもしれません。経験があったほうがイメージもしやすいでしょう。」

なるほど。確かにそれもあるかもしれない。僕は前の世界で、なかなかの陰キャだった。音楽には自分で少し才能を感じていたが、この世界に音楽魔法なんてものはない。

指揮とかなら感覚で行けるんだけどなあ〜

「経験・・・しにいきますか?」

「・・・?どういう事?」

「風になるのです。他の魔法なら少し難しいですが、風魔法は、高い所から落ちたりするのがいい経験になりますよ。」

そうか。そうすればいいのか。僕はそのとき、ユメミルに教えてもらうのを火魔法にしなくてよかったなと思った。焼かれる経験なんてしたくもない。

「具体的にはどういう感じ?」

「そうですね・・・、有名なのだと縄で体を縛り付けて、1000mの高さから落ちるとかが一番の近道ですかね。」

このおじいちゃん平気でやばいこと言ってる。それは多分バンジージャンプだ。バンジーとか絶対嫌だし、1000mとか、バグってるって。意識飛んじゃうよ。

「ごめんユメミル・・・他のでお願い。」

「・・・顔色が悪いですが大丈夫ですかな?」

「う、うん、大丈夫。」

「他のものとなりますと、うーん、特にありませんな。」

なんでやねん!?極端すぎだろ!?バンジー1000mやるしかないのか!?

「よし、ユメミル、経験とかそういうのは諦めよう。僕は練習して魔法を使えるようになりたい!」

「ほう、良い心意気ですな。その調子なら、ちゃんと使えるようになるまで、そこまで時間はかからなそうですな。」

僕は逃げただけなんだけど。ユメミル優しい。

「では、最初はイメージですな。初めてお会いした時の私の魔法をイメージすると良いですよ。」

まずい、一周回って振り出しに戻ってきてしまった。だけどとりあえずやってみる。

ユメミルが最初に見せた魔法。木を粉々にする、あの魔法を

「出来ました。」

「では、それを少し抑え気味に使うのです。試しにその時と同じ木に狙いを定めて。」

狙いは・・・あの木だ。ユメミルに粉々にされたあの木。手に魔力を込める感覚。

いけっっっ!!

シューーーーーバリンッッッ!!

「これはこれは、魔法使えましたぞ。」

「本当??やった!!」

しっかり魔法が使えたことに僕は喜んでいた。

粉々にしたのは木じゃなくて、窓ガラスだったけど。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ