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機械仕掛けの人形師  作者: 六轟
第3章

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69:

 2日間とちょっと寝込んでばっちり回復したダロスです。

 今回は、大型のロボットを操作していなかったからか案外早く体調が戻りました。

 もう2~3日サボろうかとも思いましたが、流石に立場が宙ぶらりんで不安になっているであろう女性が7人もいる状態でそれも不味いだろうと考え、敢無く活動開始しました。

 王城に事情聴取されに行くのはその後で良いだろう。

 話を合わせておく必要もあるかもだし……。


「じゃあ、これからキミらがどうしたいのかについて話し合おうか。」


 そう言って、俺はテーブルを囲む7人の女性たちを見渡す。



 ルシファー:元ブラック企業所属で、クソ上司に耐えかねて堕天した自称魔王のヤサグレ美人天使さん。


 アルゼ:第2王子の秘書で、元貴族の娘で潔癖症の淫魔ジョブもち。第2王子に人質を取られた上に、今後どう考えても失脚するだろうと考え、ダロス男爵(私ですが)に自分が庇護する令嬢たちともども乗り換え。


 リリス:アルゼの異母妹で実家が色々やらかしてたもんだからお取り潰しになった色々ピンクな元伯爵令嬢。アルゼ以外とまともに会話していないため、何を考えているのかよくわからない。


 フェリシア:元侯爵家令嬢で第3王子の婚約者だったが、第3王子を制御しきれなかったとかなんとかで責任とらされて実家から放逐された可哀想な娘。


 サンドラ:女性であるにもかかわらず剣の道に進んでフェリシアの護衛も任されていたが、フェリシアと共に責任を取らされて実家から放逐された元伯爵令嬢。アルゼに拾われてからは屋敷の護衛をしていた。


 セシル:お家騒動で伯父に家督を奪われた末両親が死に、使用人のようにされていた所、伯父一家がピュグマリオン公爵の謀反作戦に乗っかってナナセ達に殲滅されたため、領地経営が事実上不可能になりお取り潰しになった元男爵令嬢。


 ローラ:公爵家の出身で、回復魔法が使えたために聖女候補とも言われていた元第1王子の婚約者だが、第1王子が他の伯爵令嬢に惚れて、婚約破棄するために色々なでっち上げの罪状で断罪し、その結果実家からも勘当された娘。その後、王子がカリストに躾けられたため、ローラを陥れていた事を自白し名誉は回復したが、実家からの関係修復は本人の意思で拒否している。因みに、第1王子を誑かした伯爵令嬢は、現在カリストによって第1王子と共に躾けられている。



 上記の事を事前にアルゼから教えられています。

 俺が言うのもなんだけど、運が悪いというかなんというか……。


 因みに、アドバイザー兼見届け人として俺の後ろの席に姫様が控えている。



「何か希望がある人はいる?あ、ルシファーだけは流石に責任もって俺の監視下に置かないといけないから、あんまり俺から離れるような生活はできないと思ってくれ。」

「……我、貴様の子供なんて絶対に産まないからな!」

「そう言われると産ませたくなるからやめとけ。」


 誘い受け的な奴か?

 俺がその気になったらお前は逃げられないってこと考えながら言えよ?

 お前なんて俺の好みドストライクなんだからな?


 アルゼが挙手したため、発言を促す。


「私は王子の秘書を行っておりましたので、今後は貴方の秘書かそれに準じた仕事をさせて頂ければと思います。」

「美人秘書か……。いいな!採用!所でこの前の衣装ってもう着ないのか?」

「いえ、アレは限界まで身体能力を無理やり上げた副産物のようなものなので……。」


「もったいないです!!!!!!」

「んを!?」


 突然、今までずっと黙っていたリリスが叫んだ。

 あまりにも予想外で、リリス以外の全員が驚いているけど、リリスの話は止まらない。


「アルゼはもっと自分の武器を使っていくべきです!貴方が本気になればダロス男爵の愛人だっていくらでもなれるでしょう!?今この瞬間ですらあなたが本気を出せばこの場の全員を発情させて酒池肉林にできるというのに!ダロス男爵の目を見てください!この数分間の間に何度貴方や私たちのおっぱいに目線が移っているか!絶対に行けます!即妊娠できますよ!まあ貴方は潔癖症ですから、ダロス男爵とエッチな事をするのは気が引けるかもしれませんが、だからこそ私は貴方がその嫌悪感の果てに得る快楽に抗えなくなっているところが見たいのです!」

「リリス……。」


 ……え?なにこれ?

 内気な娘かと思ってたけど、これってもしかして自分の好きな話題だけは延々語るタイプの人?

 前世の俺に近い感じの……。

 しかも趣味がかなりダーク……。

 えー……?


「決めました!ダロス様、私作家になりたいです!ロマンス小説が書きたいです!」

「ロマンス……?」

「はい!今まで頭に湧いてくるエッチな妄想が漏れ出るのを防ぐばかりでしたが、これからはそれをバンバン世に出していきたいのです!垂れ流したいんです!もうお父様もお母様もいませんし、ダロス様さえ許して頂けるのであれば、私を止める物は法律だけです!」

「あ、うん……いい……よ?」

「ありがとうございます!」


 いいんだろうか?


 まあいいか……。



 次に挙手したのはフェリシアだ。


「私は、ダロス様の子供が産みたいです。」

「いいよ。」

「フェリシア様!?」


 反射的に了承してしまう俺。

 止めに掛かる護衛のサンドラ。

 だってさぁ、美人にお前の子供が産みたいと言われて我慢できる男なんてそうそういないよ?

 一夫一妻制でもない限り。


「王子の妻となるために、私は今までの人生の大半を費やしてきました。ですが、あの方は夫にしたいとは微塵も思えない人間性の持ち主でしたので、なんとか婚約を解消したいと思っていました。それが例の騒動で行方不明となり、それを収めたのがダロス様だとイリア様からお聞きして、なんといいますか……。こう、ダロス様の子を生みたいと思ったと言いますか……。とにかく、貴方に孕ませて頂きたくなってしまいまして……。この屋敷に来たあの日、イレーヌ様とダロス様の熱烈なキスを見てから更に体が火照ってしまっていて……。」

「成程、じゃあ結婚しようか。」

「え!?いえ、私は今平民ですので、愛人にして頂ければ……。」

「俺の妻は2人いて、片方は元貴族の平民だから、別に今平民だとしても気にしないよ?」


 神様たちにも、子供ポンポン作るようにお願いさ入れてるしな。

 流石に後でイレーヌとサロメには土下座が必要だけれども。

 姫様はどう思ってるんだろうか?


「妾は良いと思うぞ?何ならそこの7人全員を娶れば良いのではないか?」

「嫁9人ってどうなんだ?」

「前例が多いわけではないが、いないことも無いぞ?それにダロスのような新興貴族の場合、一族を作るためにも子供は多いほうがいいからのう。ましてや、今回の件で領地でも与えられたら猶更じゃな……。」


 領地?

 え……面倒なんだけど……。

 そういうの無いお気楽な立場だって言ってたじゃん……。


「ダロスが領地を欲しがっておらぬのはわかっておるが、これ以上おぬしに渡せる報酬が今この国には無いじゃろ。金で喜ぶわけでもなし、女は妾含めて何人も囲っておるしのう。前回は妾を与えるという方便で他の報酬を辞退できたにすぎん。今回はそれも無理となると、領地か、伯爵にでもするか、そんな所じゃろ。公にはできんが、魔王討伐じゃぞ?」

「どっちも面倒な事になりそうで嫌だなぁ……。魔王も倒しはしたけど今そこでチョコレートぼりぼり食べ続けてるし……。」

「情けない話だが、我こんな美味しい物食べた事食べた事なかったから……。」


 いっぱい喰え。


 そろそろ新型のロボットも作りたかったのになぁ……。

 面倒事はお腹いっぱいだぞ……。


「そこでじゃ!フェリシアは、妾の知る限り中々の勉強家でのう。兄上との婚約が破棄された時のために領地経営の勉強もしておったはずじゃ。妻にしてしまえば、領地を任せる事に何の支障も無くなるぞ?」

「フェリシアそんなこともできるの?」

「え……ええ、まあ……。ですが、本当に宜しいのですか?」

「よろしい。結婚しよう。」

「……はい!」


 婚約者1人増えました。


「ダロス様!フェリシア様が貴方と結婚し領地の管理をするかもしれないのであれば、私はこのままフェリシア様の護衛をさせていただけないでしょうか?」

「サンドラ……。」


 今度はサンドラが自分の希望を語りだす。

 段々と皆自分が何をしたいのか口に出すイメージができてきたようでサクサク進むな。


「因みにだけど、サンドラってどのくらい戦えるんだ?」

「以前、王宮の近衛騎士たちと模擬戦をした際には負けなしでした。ジョブとスキルが強力なため、格上相手でも戦えますよ!」

「そっか。わかった、サンドラがそうしたいならそうしてくれ。」

「ありがとうございますダロス様!」


 なんか犬っぽい娘だな。

 フェリシアに向かって尻尾をブンブン振ってるように見える。

 頭撫でても良いだろうか?


「いけませんよダロス様。」

「え?頭撫でたらだめ?」

「……何の話かはわかりませんが、サンドラを私の護衛にするのはいけません。」

「フェリシア様!?」


 またサンドラが驚いてる。

 ちょっと面白くなってきたなこの娘の驚き芸。


「この子はずっと私に尽くしてくれました。これからはもっと自分自身のために生きてほしいのです。なので、サンドラにもダロス様の愛をお与えください。」

「いいよ。」

「何を言っておられるのですかフェリシア様!?」


 愛ってアレだよな?

 結婚してあげてってことだよな?

 いいよ?


「サンドラ、貴方言っていたじゃないですか。私が人質に取られ、そのせいで貴方も成すすべなく捕らえられていたあの日、私たちを拘束していた者たちを流れるように倒してしまった人形。あれを操っていたダロス様はどんな方なのか、きっと素敵な方に違いないと。それはもう恋する乙女のような表情で。」

「そんな表情してましたか!?ですがそれとこれとは……。だって、捕まっている所を助けられたらドキッとしちゃうじゃないですか……。別に恋とかそいうのでは……。」

「ゴチャゴチャうるさいです。貴方も私と一緒にダロス様の物になりなさい。」

「う……、あの、私なんかが妻になっても良いのでしょうか?女性らしい事なんて殆どできませんし……。何より、その……この服の下は結構筋肉質と言いますか……。見たらガッカリされてしまうと思うのですが……。」

「筋肉質なの好きだから問題ないよ。結婚しよう。」

「あ、はい……。」


 婚約者が2人増えました。


 残るは2人。

 先に手を上げたのはセシルだった。


「私はメイドになりたいです。」

「何故に?」


 貝ならともかくメイド?


「私のジョブはメイドでした。だからかはわかりませんが、伯父たちに強いられていたとはいえ、使用人として働くのは苦ではありませんでしたし、何よりメイド服を着るのが好きなので。」

「へぇ……。うちは結構秘密にしたい事多い家だからさ、外から人を呼び込むのって中々難しいんだよね。だから使用人として働いてくれるならそれは確かにありがたいけど、本当にいいのか?」

「はい!掃除からダロス様の性欲処理までお任せください!経験はありませんが頑張ります!」

「あー、まあ、その時がきたらな……。」


 貴族社会におけるメイドってやっぱそんな感じなのか?

 サロメの実家もそうだったって話だけど、それは特殊な事象じゃなかったんだろうか……。


「じゃあ最後に、ローラはどうしたい?」

「ダロス様のあの大きな人形を動かす役目なんてどうでしょうか?私、大きい物が好きなのです!アナタがイレーヌ様とサロメ様との結婚式で動かしていたあの人形を見た時に、ビビッと電流が走ったような気がしました!是非アレの動かし方を伝授してください!」

「あー、あれ見てたんだ?わかった!本当はスキルで動かすんだけど、スキルが無くても考えるだけで動かせるようにもできるから大丈夫!一緒に趣味に生きよう!」

「わぁ!ありがとうございます!」


 前世でも中々この趣味に理解を示してくれる女性はいなかったので、これは貴重な人材が手に入ったぞ!

 最高の機体を渡してやらねば!



「それでダロス様!姉も妻に迎えてくださいますよね!?」

「リリス!私は結婚なんてしません!ダロス様との子供だけ欲しいです!」

「流石ねアルゼ!」

「それもどうなんだ?」



 その夜、ダロスは人生で最も長い時間土下座をした。

 一週間妻2人を腕枕で寝かせる事で決着がついた。


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