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機械仕掛けの人形師  作者: 六轟
第3章

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67:

 むにっ。


「やっ♡」


 むにむにっ。


「貴様っ♡」


 むにむにむにっ。


「やけに感度がっ♡」



 ………………は!?

 危なかった!

 どうも魅了に掛かっていたようだ……。

 くそ!人形になる直前に最後っ屁でなんて攻撃を……!



 うん、なんか相手もかなりダメージ受けてるっぽいので、とりあえず座らせる。

 潤んだ瞳で荒い息をしているのがとってもセクシー……。

 まさか魔眼による魅了か!?

 心をしっかりもたないと……。


「気分はどうだ?」

「……これは、貴様がやったのか?体が全く動かん……。」

「そうだ。俺のスキルでその体を俺の支配下に置いた。」

「卑劣な真似を!乙女の体を発情させて不埒な真似に及んでまで勝ちたいのか!?」

「いや発情は多分お前が、っていうよりその淫魔ジョブの付属効果か何かじゃ……。」

「何!?いや、確かにこの変な卑猥な衣装が勝手に纏われてからやけに敏感に周囲の状況を把握できるようになったとは思っていたが……。」


 絶対それだよ。

 人のせいにすんなよ。

 俺をどっかの忍者集団相手に戦ってる悪の組織みたいに言いやがって。

 俺は、ギャグにまで昇華されたエロは求めてねーんだよ!


「まあいい、どうせ我は負けたのだ。煮るなり焼くなり好きにしろ。」

「じゃあ好きにするけどさ、今から俺がお前を魂ごと新しい体作って移植するから。」

「新しい体?貴様は何を言っているんだ?」


 あ、感覚バグってたけど、そういや人体一から作るのって普通じゃないのか。

 魔王がハトが豆マシンガン食らったような顔してる。


「ディオネ……ディオーネー様が顕現してたの見ただろ?あんな感じでお前の体を作って、そこにお前の魂を定着させるだけ。」

「貴様、それは相当不味い能力ではないか?神共が争奪戦を起こしそうだ。」

「争奪戦ではないけど、俺の因子をもった子供をガンガン作れってお便りがいっぱい届いてるらしいよ。お前も産むか?」

「遠慮する……。」


 さてどうしたものか。

 天使っぽい女の子の人形なら作ったことあるけど、ガチ天使の体はよくわからんな。

 それに、1から作り出したお手製の魂ならともかく、元々自分の肉体を持っていたやつの魂を入れて不具合起きないかもちょっと気になる。

 ガラテアとかディオネの体みたいに、女神が俺の頭に身体データでもぶち込んでくれれば楽なんだけどな……。


「……んん!?」

「なんだ!?変な声を上げるな!」

「いやスマン……神様ってほんとデタラメなことするなって思っただけ……。」


 非難の視線をぶつけてくる魔王から目をそらしながら、今起きたことを考える。

 データを集った直後に、最近かなり強引に行われた覚えのある感覚が再度あった。

 ジョブレベルが上がるアレだ。



 ―――――――――――――――――――――――――――――



 神人形師:レベル9


 解放スキル:人形生成、人形操作、人形強化、神粘土、魂付与、遠隔操作、複数操作、神魂支配、ディオーネー、魂簒奪(小)、魂身逆算



 ―――――――――――――――――――――――――――――




 ジョブレベルが9になり、魂簒奪(小)と魂逆算という2つのスキルが増えていた。

 効果を見るに、魂簒奪とは相手の魂を奪い去るもので、(小)が付いている場合は自分が支配している相手からしか奪い去れない劣化スキルという事らしい。

 劣化してなかったら死神そのものじゃねぇか……。

 魂身逆算は、魂の情報から肉体のデータを呼び出せるため、人形生成によって元の肉体に非常に近い人形を作ることができらしい。


 正直、最近既存のスキルの性能がどのくらい上がっているかの調査すらしていない程持て余してるんだけど、この短期間で更にジョブレベルが上がるとは思わなかった……。

 そして新スキルの内容!この強引なやり口はディオーネー様だろう……。


 まあいい、折角だし便利に使わせてもらうか。


「ルシファー。これからお前の肉体を作るにあたって、何か注文はあるか?」

「注文だと?我にそんな権利などないだろう。好きにするがいい。」

「じゃあおっぱいを地面に付くくらい垂れさがらせて……」

「やめて!わかった……胸を、その……もとより少しだけ大きくしてくれ……。」

「喜んで!!!」


 なんならボインボインにしてもいいんだけどな?



 ここからは遊びは無しだ。

 体を作るのはともかく、生きている人間に憑りついている魂を取り出して、それを他の体に移植するのは初めての行為。

 しかも今回は、おっぱいも大きくしなければならないのだから責任重大だ。


 いや、おっぱいはよく大きくしてるけど。



「魂簒奪!!」


 座っている魔王の頭に手を置き、早速魂簒奪(小)を使う。

 すると、アルゼの中に2つの半透明の球が見える。

 へー、魂ってこんな感じなのか……。

 スキルの効果で分かりやすいように可視化してるだけなんだろうけど、もっとエリンの生霊みたいに幽霊的なのが見えるのかと思ってたよ。


 球をよく見ると、片方にはアルゼと書かれており、もう片方にはルシファーと書かれている。

 わかりやすいけど、なんかチープな感じ。

 お祭りで金魚の代わりに掬えるあのゴム製のボールみたいな質感だ。

 因みにだけど、アレの市販されてる最大サイズが浮かべてあったらポイという掬う道具の口径よりデカいから簡単に掬えてお勧め。

 店員が死んだ目になるけど。


 アルゼの魂を残し、ルシファーの魂を取り出したいなと念じると、特に抵抗もなくぬるっと体外で出てきた。

 ルシファーの魂が抜けたからか、アルゼがその場で力なく倒れる。

 そのままではあまりに忍びないので、あおむけにして寝かせておく。

 下は俺とルシファーでボッコボコにした地面なので、きっと寝心地は最悪だろうけれど。


「魂身逆算!からの人形生成!!」


 ルシファーの魂から、ルシファーの元の体のデータを読み取る。

 それを基に、神粘土を使って人形を作りだす。

 おっぱいは、平均より上とのことだったので、ナナセサイズにしておいた。

 余は満足でおじゃる。


「神魂支配!魂付与!」


 もしかしたら天使だから必要ないかもしれないけれど、一応ディオネみたいに神魂支配をかけてから新しい体に魂を付与する。

 付与する際に、俺が作る他の美少女型人形たちと同じ魂の縛りを追加しておいた。

 せっかく助けるのに自殺されたら困るし……。



「ん……。」


 新しい体になったルシファーが目を覚ます。

 長い黒髪に、少し気難しそうだけど絶世の美女と言える程の美しい顔。

 瞳は碧く、肌は透き通るように白い。

 そして、主張の激しい大きな胸の頂上には桜色のチク


「キャあああああああ!?なんで裸なんだ!?」

「あ、そういや服作るの忘れてたわ。ほいっと!」


 すぐに下着を作り見えちゃいけない所を隠した後、黒いドレスを着せる。

 肩から背中にかけて大きく開いているため、天使でも問題なく翼が出せるだろう。


 あれ?翼ねーぞ?


「うぅ……。初めておっぱい見られた……。私……誰にも見せたこと無かったのに……。」

「なぁ、天使って翼あるんじゃないのか?」

「……アレは、神力や魔力で作り出しているに過ぎない。先ほど我と戦っていた時も後から翼を作り出していただろう?」


 そういうもんなのか。

 てっきり、天使の体じゃないからしかたなく魔力で代用してるとかそう言う事かと思っていたけれど。


「神力で作れば白い翼に、魔力で作りだせば黒い翼になる。我は敢えて黒い翼にしていただけだ。ディオーネー様に神気を封印された以上、神力を作り出すこともできないからもう白い翼は作り出せなくなったが……。まあ、構わないさ。」

「それは知らんかったな。うちにも天使っぽい翼生やせる奴等いるんだけど、あいつらは白い翼を生やせるっていう条件で設計したしなぁ。」

「貴様は天使のまがい物まで作っているのか……。」

「違うって。俺の血を吸いたがるから吸血鬼だよ。」

「もっと怖いわ!」


 使ったこと無いスキルを多用したからちょっと不安だったけれど、これだけ普通にしゃべれるって事はとりあえず一安心だな。


「体に異常は無いか?」

「多少、胸が大きすぎる気もするが、とりあえず動かすのに支障はないようだ。ただ……。」


 そこまで言って、俺から目を逸らすルシファー。

 何か言いにくい事でもあるんだろうか?


「どうした?」

「……貴様にさっき指摘された通り、我はかなり無理をして戦っていた。そのせいで、魂の疲労が限界のようでだな……。情けないが、体を起こすこともできん……。」


 それでさっきから大人しく横になったままだったのか。

 魂の疲労……、初めて聞いたけれど、そういえば俺が自分を人形化した時に感じるあの激しいダルさもそう言う事なんだろうか。


「あの……、すみません……。」


 ルシファーの相手ばかりしていて忘れていたアルゼが起きたようだ。

 ただ、こっちも起き上がってこない。


「目が覚めたか。アルゼの中にいた魔王は取り出して今新しい体に入ってるぞ。」

「そうですか……。すみません、王城の中庭でリリスが解放されたと教えてもらった辺りから記憶が無くて、今なぜ森の中で寝かされていたのかわかっていないのですが……?」


 俺は、ルシファーとの激しい追いかけっこについてアルゼに教えた。

 決め手がアルゼの体の感度がブチアゲしたことであろうことまで含めて。


「それで、隣に寝ているのがその魔王ルシファー。」

「貴方が……。」


 首だけ動かし、ルシファーを見るアルゼ。

 ルシファーの方も同じように首だけ動かしてアルゼの方を向く。


「……迷惑をかけたな。」

「いえ、私も貴方に助けられた面もあります。貴方がいてくれなければ、私は未だにあのゴミのような家族に搾取されるだけでしたでしょう。きっかけはともあれ、あの時、確かに私は自分の意志で行動していました。ですから、貴方の負うべき罪も、罰も、共に受けましょう。」

「すまない……。」


 2人の会話は実に淡白だったけれど、それだけで十分だったようだ。

 一応初対面の筈だけれど、一心同体……いや、二心同体だった彼女たちにしかわからない何かがあるのかもしれない。


 さて、とりあえず解決したことだし、何の説明もないまま王城飛び出してきたから、そろそろ戻るとするか。

 俺は、俺自身の人形化と人形強化を解いた。

 戦闘も終わったし、これ以上自分を削るべきではないだろう。

 それでも、既にかなりダルさを感じているんだけれど、もう一息頑張るか!


「すみません、ルシファーさんが魔力で強化して無理やり動かしていたからか、全身バキバキの筋肉痛で動けません……。」

「我も動けんぞー……。」

「……。」


 女の子2人を左右の肩に担ぎ、パワードスーツのホバー走行で王城を目指す。

 自分を人形化したことによる頭痛が酷いけれど、流石に動けない女の子を外に放置するわけにもいかない。


 頭がダロスになるリスクを抱えながら、俺は城へと戻った。




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