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機械仕掛けの人形師  作者: 六轟
第3章

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61:

 洞窟で破壊工作をしてから昼食をとっていた所、でっけー狼の群れに遭遇。

 APL3機を遠隔操作して殲滅したら、何故かアルゼを発見。

 こんな所に人がいるなんて思っていなかったけど、更にそれがアルゼであったため非常に困惑しているダロスです。


「なんでこんなとこにいたんだ?危なくないか?」

「いえ……その、私には淫魔というジョブがありますから……。ここまでも飛んできましたし、襲われても相手が生物であれば返り討ちにできますので……。」

「へー、飛べるのはすごいな!」


 なんでこの娘さっきからずっとプルプルしてるんだろう。

 こんなキャラだっただろうか?

 狼が怖かったのかな?


「昼食中で騒がしくてスマンね。アルゼもなんか食べる?」

「いえ……私はそういうのはちょっと……あ、この前お宅にお邪魔した際にご馳走になった個包装のクッキーがあれば……。」

「あれね。お茶請け用にいっぱい積んでるから大丈夫。いっぱい積んどかないと消え去るんだ……。」


 ドラゴンとファッションロリ3人が食い散らかすんだ……。


 クッキーを食べ始め、やっと落ち着きを取り戻したらしいアルゼ。

 そうなると、今度は俺たちがなぜこんな所にいたのかが気になるらしく、チラチラとこちらを見始めた。

 隠れ家作ってたら邪魔なモンスターがいたので、問題になる前に狩りに来たら、古代の巨大な魔道具を見つけたのでぶっ壊しちゃいました!

 なんて言えないしなぁ。


「いやー、実はさ、何日か前にたまたまこの辺りを通りがかったら、あんまり見たこと無いオオカミ型の魔獣とアリ型の魔獣を見かけてさ。倒してギルドに持ち込んだら、普通ならこんなに多くいない筈の種類だったんだよね。だから、何か問題が起きる前に間引いておこうかなって思って来たんだけど、思ったよりアリが多くて苦労したよ。殆ど倒したとは思うけどさ。」

「こんな所にたまたま通りがかった……?」


 やっぱり無理があったか……?

 いや落ち着け!

 ドラゴンのスケールならこの辺りなんて「ちょっとそこまで」レベルの範囲だ!

 実際、アルゼもここまで飛んできたらしいし……。


「あれ?そういや、アルゼがここまで飛んできたのは聞いたけど、どうしてここに来たのかについては教えてもらってないよな?」

「え!?えーと……、ギルドから第2王子の所に強力なモンスターの目撃情報が登って来て、飛行できる私が偵察にきた……ってコトですね。」

「武装もしてない女の子がそんな事させられてるのか……。」

「いえ、私あまりそこらの物を触りたくないので、武装に関しても身に着けたくないなと……。」

「命大事にしろよ。」


 まあ、本人が納得しているならある程度はほっとくけど、1回第2王子はしばいといたほうがいいんじゃなかろうか。

 何はともあれ、とりあえず俺たちがここにいた理由は誤魔化せたようだ。

 こっちの目的は大方完了したし、家に帰ろうかな。


「俺たちは、そろそろ王都に戻ろうと思ってるけど、アルゼさえよければこのまま一緒に帰らないか?」

「えーと、お邪魔では……?お邪魔ですよね……!?」

「いや別に?」


 そんなに畏まらなくてもいいのに。

 俺とアルゼの仲だろ?

 顔見知り程度だけど。


「アルゼだっけ?ボクも一緒に帰った方がいいと思うな。楽しそうだし!」

「ひっ!?」


 おっと、今度はディオネが行ったか。

 でもなんかめっちゃビビられてる?

 女神だってわかってる俺らならともかく、そんな怖がられる要素あったか?

 おっぱい大きいって事くらいか?

 いやそれならアルゼも負けてないしな……。


「もぐもぐもぐ!そうですわ!せっかくですからお父様に送り届けて貰えばいいんですのよ!」

「お父様!?ダロス様には既にこんな大きな娘さんが……?」

「いや、そいつ自称俺の娘なだけだし、見た目は大人だけど0歳だからな?しかもドラゴン。」

「……はぁ。」


 うん、理解を放棄した顔してるな。

 いい傾向だ。


「イリア殿下までいらっしゃるんですね。」

「まあのう。将来の夫とお出かけというわけじゃ。」

「……関係が良好そうでなによりです。」


 王室から機会があれば確認しておくようにでも言われたのかな?

 まあ、こっちとしては構わんけど。

 結婚する以上幸せにする義務があるし。


 同乗者たちと一通り話すことで安心したのか、一緒に帰る事になった。

 まあ、一番安心した理由は、ハコフグに奇麗なトイレがある事だったようだけど。

「乗り物にハンドソープで手が洗える洗面台付きのトイレが付いているんですか!?」と驚愕していた。


 帰りの車内では、ずっとガールズトークが続いていた。

 そこそこワイワイ盛り上がっていたようだけど、最後までアルゼがディオネに慣れる事は無かった。

 生理的に無理ってやつだったんだろうか?


 王城に送り届ければいいのかと思っていたけれど、今日はこのまま直帰するとのことだったので、家まで送ることにした。

 アルゼによると、お取り潰しになって空いた貴族邸を買い取って自宅として使っているらしい。

 何人かの女の子が迎えに出てきていたし、一人で住んでいる訳では無いようだ。

 服装から察するに、使用人というわけでもなさそうだけど、シェアハウスか何かなんだろうか?


「ねぇダロス。あの娘には気を付けた方がいいよ。」


 アルゼが見えなくなった途端にディオネが真剣な顔で話しかけてくる。

 真剣な顔できるんだなこの女神。


「何か気になる事でもあったか?仲良くしてもらえなくて拗ねた?」

「彼女は、僕が女神だってことに気がついてたみたいだよ。分け御霊の僕を女神だと判別するのって普通の人間じゃ無理だからさ。あと、仲良くしてくれなかったのは普通に悲しかった。」

「そう……。」


 確かに自分を孕ませろって言ってくる美少女を初見で女神と見破るのは難しいかもしれない。

 別の意味で女神だと思われるかもしれないけども。

 きっと何か秘密にしていることがあるんだろうけれど、無理に聞き出すのも難しいし、留意しておくだけに留めておく。


 家に着いたのは、まだ午後3時ごろだった。

 まだ夕食まで時間もあるけど、今から外に出かけてやりたい事も特にない。

 さぁ何をしようかと考えた所で、丁度地下からTBMが全てトンネルを掘り終わった反応があった。

 3時のオヤツだと騒ぐ女子たちを余所に、地下室を製作しに向かう。


 人形生成と人形操作で掘削すること約1時間。

 高速エレベーター付きの地下プラットフォームが出来上がった

 問題は、隠れ家とここを繋ぐ乗り物を何にするか……。


 俺が操縦するならともかく、緊急時の避難に使うわけだから、誰でも動かせるようにしないといけない。

 となると自動運転機能は絶対だ。

 それに、地下トンネルである以上あまり速いと空気圧を調整するのも大変だ。


 というわけで、シンプルに地下鉄にしておこう。

 拘りポイントは、車輪にゴム製のタイヤを使っている事。

 札幌で使われていた奴だ。

 加減速がしやすいので駅間の間隔が狭い場合に便利だし、走行音も比較的小さいためヌルヌルとした乗り心地。

 まあ、普通のゴムだと劣化や摩耗が怖いので、神粘土を使って作ったそうそう劣化も摩耗もしないゴムというアホみたいなものなんだけど。

 オリハルコンとかミスリルより、こっちの方がよっぽど人類の進歩に役立ちそうな気がする。

 本当に作れた時は飛び跳ねて喜んだね。

 多分誰も理解してくれないだろうけど、すごい事なんだよ?マジでマジで。


 この地下鉄、ボタンを1つ押すだけで各隠れ家とこの王都のプラットフォームを自動で行き来してくれる楽ちん設計。

 自分が乗りたい場所に車両が無い場合は、近くの乗車ボタンを押せば戻ってきてくれる。

 試しに動かしてみると、公爵邸裏手の森の隠れ家まで3分で着いた。

 直線で障害物も無いとここまで早くなるのかと感動。

 すぐに家まで戻って皆に拠点間ネットワークが完成したと興奮気味に伝えた。


「そうですか。」

「おめでとうございます。」

「お疲れさまでした。」

「お茶飲むっスか?」

「競争がしたいですわ!」


 等、非常に冷めた返事をもらった。

 あとドラゴンとの競争には負けた。


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