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家族たちの思い思いの希望をある程度聞いたので、今度はイレーヌに言われた通り場所を決める事にする。
大雑把に、公爵邸の裏の森の中と、王都の中と、メーティスまでの途中のどこかの3か所に作ることだけは決めているけれど、細かい場所は全く決まっていない。
ついでに言うと、王城にも非常通路をつなげておこうと姫様に提案されているので、こちらの出入り口選びも重要だ。
まあ後は、王様たちから許可を取れるかって事なんだけども……。
王城地下に訳の分からない通路作っていいのか?って話だし、仮に作るとしたらそれを知っている人間は極少数であるべきだ。
秘密の通路が秘密でなくなったらただの危険なものになってしまう。
やりたい事とやるべき事がどんどん増えていき、体が幾つか欲しいくらいだ。
「先に言っておくけど、今回の作業に妊婦は参加不可だから。」
「ジブン、まだ妊娠したてだから大丈夫だと思うっスよ?」
「……私も。」
「不可だから。」
ナナセとガラテアは、仲間外れにされるのが不満なようだ。
でも、これ絶対だから。
「というわけで、今回の役割分担を発表します。」
「「「はーい!」」」
今回隠れ家建設予定地を探しに行くのは、見た目が幼い娘達と、見た目は大人だけど生後数か月のドラゴン娘だけのメンバーとなりました。
質問がある場合は、挙手して先生に許可を貰ってからするように。
因みに、おやつは500円まででバナナはおやつに入りません。
「まず、公爵邸の裏の森に関しては、ディとフレイが慣れてるはずだから2人に任せる。」
「ラジャー!」
「わかりました。」
多分俺よりあの辺りの地理に詳しいであろうこの2人。
ナナセの方が詳しそうだけど、妊婦を外回りに出す気はありません。
「次に、王都の中の拠点候補地は、ヒルデ、エイル、スルーズの3人にお願いする。子供の姿だと衛兵に心配されるから、大人の姿で動いてくれ。」
「「「了解しました。」」」
3人で常時情報交換しながら行えば、市街地でも効率よく調べられるんじゃないかと思う。
場合によっては飛べるし。
「最後に、王都とメーティスの途中の辺り……って漠然とした広いエリアを担当するのは、俺とニルファだ。それぞれ人形に乗っていくぞ。」
「わかりましたわ!」
「今回は1人で乗るんだから、慣性制御使うなよ?」
「努力しますわ!」
一番心配だけど、一番機動力がありそうな奴は、目を離さずに活用する必要がある。
町中だと何やらかすかわからないというのもあるし、ニルファはここ以外おけそうにない。
「探索に行くグループは、良さそうな所があれば渡しておいたビーコン設置しておいて。作動させれば専用の受信機でしかわからない魔力波でマップに表示できるから。」
「「「はーい!」」」
いいお返事!
「姫様はここで待機。ガラテア達を探索に連れていくことはできないけど、守りに関してはそこまで負担かからないらしいから続行してもらう予定だし、安全のためにも家にいて。王城側の通路作る時は仕事してもらうから。」
「仕方ないのう。家の事は、妾に任せると良い!」
「頼む。」
仮に、妊娠してる嫁たちに何かあっても、姫様がいれば回復してもらえるんじゃないかという打算的な考えもある。
そもそも、この人王族だから本来最前線に出ていく方がおかしいんだ。
俺と一緒に戦争眺めて、グロさにゲロってるのはおかしいんだ。
「メイド母娘は妊婦たちが無理しないか見張っといて!」
「「かしこまりました。」」
メイド服を着たエリンの破壊力はすごい。
男を発情させるスキルは封じたはずなのに、それでもなお俺の目線を奪う。
エクレアさんも、エリンが幽霊になってた間の追い詰められた状態じゃなくなったからか、エリンという大人になった娘がいるとは思えない程若々しくなった。
こちらもそこそこ胸が大きい。
「ダロス様、私も最近妊娠したからか更に胸が大きくなってきましたよ?」
「愛してるよサロメ。」
「知ってます。」
そんなこんなで、現在我々は樹海の奥地におります!
見てくださいこの雄大な大自然!
見渡す限りの巨大な木々に、それに見合った巨大さを持つ魔獣の数々!
その真っただ中に棒立ちしているあの赤いロボット!
まるで、ドラゴンの女の子でも乗っているかのようですねぇ!
それでは、ここでクエッション!
あのロボットのパイロットは、魔獣に取り囲まれた状況で何をしているでしょう!?
ドゥルッドゥルッドゥルッドゥルッドゥル~
「頭が割れそうですわ!!!」
「だから慣性制御使うなっつったろうが!」
あまり飛び道具使うとまたファンタジー金属鉱床が出来上がっちゃうから、できるだけ近接戦闘でとどめておこうと思ってたのに、早速銃とミサイル乱射してAPL1を守っております。
取り囲んでいるのは、名前もよくわからないオオカミ型の魔獣。
地面から背中までの高さが3mくらいあるのが30頭ほど俺たちの周りを取り囲んでいる。
そこまで強い魔獣っていうわけではないけれど、やっぱり大きくて数が多いとめんどうだ。
一応APLには魔獣を識別する機能付いてるけど、そもそも魔獣のデータがまだ殆ど登録されてないから、殆どが『unknown』と表示されている。
データを収集して役に立つ機能は、データ集めをサボっているとクソの役にも立たない。
ごめんなさい。
「普段息をするように使っている機能が使えないと不便ですわ……。」
「いきなり慣性制御使う器用さがあるのに、なんで使わないって事ができないんだろうな……。」
「でも、そんな時でもお父様が守ってくれるので安全ですわね!」
そりゃ……守るけどさ……そんな満面の笑みで言われたらさ……。
それにしても、中々いい場所が見当たらない。
というか、どういう場所が良い場所なのかがわからない。
藪の中に秘密基地を作ったことはあっても、魔獣が練り歩く大樹海や山脈に隠れ家を作った経験なんて当然ない。
どうしたものか。
「こんな所に隠れ家作っても、すぐ魔獣に壊されて終わりそうだよなぁ。」
「洞窟の中には、大きなアリとかオオカミがいっぱいでしたわ!」
「身を持って体験したもんな。」
洞窟の中を調べようとしたら、「この方が早いですわ!」とドラゴンブレスを撃ち込んだ奴もいた。
ワラワラと牛みたいなサイズのアリが無数に湧いてきたときは焦った。
「もういいや!ここにしよう!丁度線路も見える距離だし!」
「ここだと隠れ家がすぐ見つかる気がしますわ。」
「地下基地にしよう!」
「地下ですの!?」
そうだよ、何も地上部分に目立つ建造物が無くたっていいんだ。
良くあるじゃないか、森の中の地面が開いて地下からロボットがせり上がってくるやつ。
あんな感じでいいよ。
問題は、作るのが大変な事だけど……。
まあ、地下トンネルを王都からここまでつなげるのに比べたらわけないな!
土木機械を作って穴を掘っていこうかと思ったけど、ここだとあまり大きな機械は目立つ。
というわけで、人形生成と人形操作で表面部分を順繰り片側に押し付けて圧縮していこう。
穴を掘る上で困るのが出てくる土だ。
これをどう捨てるかが毎回問題になって、大きなスポーツ施設とか作ると、近くに謎の小山がある公園ができたりする。
それをここでは、俺のスキルで可能な限り圧縮することで処理してしまおうって魂胆だ。
スキルをガンガン使う事で、大体1時間ほどで100m×30m×50m程の空間が完成した。
このままだと魔獣が入って来放題なので、サクサクと神粘土で外壁を作り、地表部分は一部開閉できるハッチを付けて開放できるようにした。
ロボットを何機か保管できる程度の格納庫を作り、残りは居住スペースだ。
といっても、あまりここで長期間生活するつもりもないので、短期間滞在するのを前提とした設備で良いだろう。
万が一ここまで逃げてきたとしたら、後はもうメーティスまで逃げるか、更にその先の他国まで行ってしまうかになるだろう。
あんまり考えたくない状況ではあるけれど。
とりあえず、水のタンクを付けたところで肝心の水をどこから持ってくるのかという事になるので、水道は全て魔具にしてしまおう。
魔力を流せば水が出る蛇口と、更に魔力を取られるもののお湯を出せる蛇口をキッチンと洗面所、トイレにシャワールーム、あとは格納庫にもつけておけば大丈夫かな。
水道じゃないから、凍結して破裂する心配も無し。
長期間放置する類の施設としてはいいんじゃないだろうか?
うちの家族ほとんどが魔力大量に持ってるしさ。
エクレアさんたちは、ちょっとだけ大変かもだけど、まあ一般人でもこの手の魔具だか魔道具だかは使ってるらしいから何とかなるだろう。
必要なら俺が無限の魔力に物言わせて出しまくるさ。
シャワーでも任せろ!
ベッドも作るし寝具も行ける。
この人形生成、人形と言いながら相変わらずガバガバ判定でなんでも作れるけど、まあ使う分にはその方がありがたい。
ついでに着替えも置いておくか。
全員分のピッチリパイロットスーツだ!
一応ボタン一つで姫様が希望したようなフリフリドレスモードにできるようにしておく。
生身でも銃弾くらいなら弾ける強度があるから、非常時には便利だと思う。
パワードスーツみたいに身体能力も向上してくれるから、是非試してほしい。
何なら常日頃から使っててもいいんだけど、姫様はあんまり着てくれない……。
「こんな感じかなぁ。後何か必要なもんあるか?」
「修練場がありませんわ!全力で殴っても壊れない的が欲しいんですの!」
「お前の全力で壊れない施設ってなると、核シェルターくらい外壁厚くしないといけなくなるからここでは無理だ。すまんけど諦めてくれ。」
「残念ですわ……。」
ドラゴンの全力殴打は、オリハルコンの装甲でも歪むんだぞ……?
とりあえず完成したという事にしてビーコンを設置する。
これでこの場所は、いつでもマップを参考に来ることができる。
あとは、トンネルを繋げるだけだな……。
その方が大変そうだけど……。
「なあニルファ、ドラゴンって穴を掘る魔法使えないの?」
「少なくとも私は、穴を掘るなら魔法より拳という認識ですわ!」
「そう……。」
しゃーない!作るか!トンネルボーリングマシン!
ドーバー海峡よりは距離短いから大丈夫だろ多分!
恐らく、家族のほとんどにすら理解されないロマン満点の作業が今始まる。




