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機械仕掛けの人形師  作者: 六轟
第3章

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51:

「……ねぇ、初めての女の子相手にぃ、激しくし過ぎじゃなぁい?」

「神様に女の子って表現使っても大丈夫なのか?」

「そこ次突っ込んだらあなたの性別を女にするから。」


 クールな表情になったアフロディーテちゃんも素敵ですね!!!!!!!!


 愛を司る女神様のお力で、既に受精着床からの妊娠まで終わったそうです。

 愛ってなんだ?


「でもぉ、長年の夢がやっとかなったわぁ!やっぱりぃ、自分の中に新たな命が宿るのってすごいわねぇ!」

「神様的にもそうなんだ。ナナセたちもそう言ってたぞ。」

「寧ろ神だからこそかもしれないわよぉ?私たちぃ、体内に微生物も寄生虫も絶対に存在しないからぁ。あーでもぉ、他の神を飲み込んで体内に保管しておく神様なら結構いるわねぇ。」

「神様って倒錯し過ぎじゃない……?」


 現在、人形生成で適当に作った小屋の中にいます。

 1LDKで風呂トイレ別です。

 家賃?女神様割引で無料かな?

 流石に女神様の頼みでも外でするのは、ちょっとまだレベルが高いっていうか……?


「そういえばさ、ナナセやガラテアみたいに、俺が作った人形が妊娠した場合の赤ちゃんって、普通の人間になるのか?」

「そうよぉ?だってぇ、その方が将来が楽しみじゃなぁい?」

「そういうもんか……。」


 神様たちは、やっぱりランダムが好きなんだな。

 予想できない事態を楽しみたいみたいだし。


「今日はぁ、本当にありがとうねぇ?次顕現するとしたらぁ、この子を出産する時かしらぁ?……あ、ガラテアちゃんが絶対自分で産みたいってぇ。なら諦めるしかないわねぇ。」

「……出産か……。痛くて辛いんだろうな……。」

「大事にしてあげなさぁい?じゃあ、またねぇ。」


 そう言って目を瞑ったアフロディーテ様は、そのままお帰りになったようだ。

 再び目を開けたときには、ガラテアの雰囲気になっている。


「……しちゃったな。」

「……うん。」

「2人で嫁に謝りに行こう。」

「……アフロディーテ様の意向だし、許してもらえないかな?」


 許してもらえるとしても、賢者となっている状態の俺には、謝らないといけないという気持ちが非常に強い。

 やっちゃったなぁ……。


 それはそれとして、ここに来る前に約束した通り、ガラテアと2人きりで1時間ほどゆっくりした。

 特に会話は無かったけれど、ガラテアもずっと抱き着いて満足できたみたいだし、よかった。

 にへらっと幸せそうに笑っているのが最高に可愛い。

 前世でこんな彼女いたら、美少女フィギュアは全部捨てても良かったかもしれない。

 プラモは無理。それは絶対必要なもの。



 森を後にし、家へと戻った俺たち。

 とりあえずイレーヌとサロメを前に地面に正座して、土下座の準備をする。

 ガラテアは、もちろん椅子に座らせている。

 大事な体だ。


 そして、今日あったことを話せる部分はできるだけ話した。

 行為中の事と、ガラテアの魔術でブイブイ言わせてたかもしれない部分は省いて。


「成程、つまり女神様は、ダロス様が沢山の子供を設ける事を望まれているのですね?」

「そうらしいです。ただ、絶対じゃないそうです。」

「そうですか……。」


 考え込むイレーヌ。

 最近家にいる間、俺の脳みそは殆どイレーヌの指示に従っている気がする。


「話はわかりました。ですが、ダロス様が私の知らない方と行きずりの関係を持つのは許せません。」

「もちろんです。俺としても、流石にそういうのはどうかなと思います。愛は大事です。」

「ですので、今回のような場合はともかくとして、関係を持つ前に確実に私たちに一声かけてください。」

「わかりました。温情ある判断をして頂きありがとうございます。」

「今回のペナルティとして、夕飯を手作りして振舞ってください。妻や婚約者、それに妊娠させた女性にはあーんってするんですよ?」

「はい。」


 沙汰が下った。

 あとはやるだけだ。


 家族全員分のオムライスを作った。

 これには、使用人として住み込みで雇っている2人の分も含まれる。

 そして、自分が責任を取るべき女性たちにあーんをしていく。

 あーんをするには人数が多いので、非常に忙しい。

 こんな忙しないあーんが果たして過去にあっただろうか。

 若干1名、恥ずかしがって辞退しようとした者もいたが。


「確かに妾は婚約者じゃし、今はここに住まわせてもらっておるが、人前であーんはちょっと恥ずかしいんじゃが……。」

「あーん」

「いや、聞いとるか?」

「あーん」

「……妾だけ未経験じゃし、まだそこまでいろいろ割り切れてないんじゃがなぁ……。あーん!」


 コンプリーテッド!


 ニルファとディとフレイが自分もと騒ぎ、3姉妹が無言でずっとこちらを見つめ続け、エクレアさんも参戦しようとしてエリンさんに止められたり、なかなか騒がしかった。



 そして深夜。

 現在ダロスくんは、ベッドで2人の嫁さんに挟まれております。


「認めはしましたけど、不安になりそうなので、今夜は私たちと寝てもらいますね?」

「私は、ダロス様がどれだけ多くの女性を愛そうと構いませんが、常にお傍にいたいとは思っています。」


 そう言って、ベッドにもぐりこんできた2人。

 お腹も大分大きくなり、自分が父親になるのだと強く実感させられる。


「今日アフロディーテ様に聞いたんだけどさ、ナナセやガラテアが妊娠してる子供たちも、ちゃんと普通の人間として生まれてくるんだってさ。」

「そうですか。もし領地を得たら、代官として送り込める人員が増えますね。有力貴族と婚約させれば、それだけでも価値はあります。貴族として考えるなら、ですが。」

「私は、貴族ではなくなりましたが、それでも愛する人さえいれば幸せです。無理に、貴族の義務を課す事は無いと思います。本人の意思を尊重して頂きたいです。」


 貴族の子供として育てるか、あくまで使用人の子供として育てるか。

 経済的に困窮させるつもりは全くないけれど、お金以外に親が考える事っていっぱいあるんだな。


「実はさ、ナナセ達の子供は、本物の天使みたいになって生まれてくるんじゃないかってちょっとだけ予想してたんだよね。」

「翼を出している状態のヒルデさんたちみたいにですか?」

「そうそう。ナナセとガラテアは女神様の体を基に作ったからさ、子供は半分神様だったりして、それのせいで将来苦労したらどうしようとか思ってたのさ。」


 人間と殆ど変わらない体だとは聞いてたけど、やっぱり確認しないのは怖かった。


「そんな悩み、人類で直面したのはきっとダロス様くらいですね。」

「過去に1人くらいはいたんじゃない?」

「「いませんね」」


 珍しく、イレーヌとサロメの声が重なる。

 普段後ろに控えていることが多いサロメと、自分の考えをバンバン話すイレーヌで、こんな風になるのはそうそうないだろう。

 俺たちは、思わず吹き出してしまう。


「ダロス様は、きっと神様たちにとって最高の玩具なんでしょうね。」

「貴族なのに、私と2人で掘っ立て小屋に住まわされて、いきなり戦争に駆り出されたり、ドラゴンと戦わされたり、演劇にしたら話題になりそうです。」

「本当にそんなことになったら、家族みんなで見に行こうか。きっと、かなりカットしないと子供たちには見せられないけど。」

「「おっぱい見過ぎですからね」」


 今度こそ笑い出してしまう3人。

 笑い声が落ち着いて、やっと続きを話せるまで1分以上かかった。


「4人も子供が生まれるんだなぁって思うとさ、やっぱり多少不安になることもあるんだよね。もちろん、お金はあるしさ、絶対に一生ご飯食べて行けるようにはする自信はあるけど。」

「そうですね……。私たちも出産は初めてですし、その際に命を落とす可能性もありますから、残されるダロス様が泣かないか心配ですね。」

「絶対泣くよ。」


 イレーヌが冗談っぽく言う。

 だけど、実際に出産というのはリスクがあるものだ。

 まあ、よっぽどのことが無い限り俺なら治せるし、なんなら神聖女なんてすごいジョブもちの姫様もいる。

 なんとかなるさ……と自分に言い聞かせる。


「出産したら、またダロス様のお世話は私がしようと思っていますので、何が何でも死ぬつもりはありません。」

「朝早く起きれるようになった?」

「……出産を終えたら、頑張ります。」


 朝寝坊常習犯だったサロメ。

 まあ、仮に何もせず昼まで寝ていたとしても、隣にいてほしいと俺としては思っているんだけど。


「1年後も、10年後も、こうやって未来を語り合っていたいな。」

「1000年先でもいいですよ?その場合、ダロス様の人形生成で延命をお願いすることになりますが。」

「ダロス様の専属メイドの座だけは、未来永劫渡したくありません。私もお供します。」


 そういえばナナセによると、俺の寿命は位階上げ?とかいうので数千年を超えているんだっけ。

 そんな未来に、この2人がいてくれると思うと、それだけで今夜はぐっすり眠れそうだ。


 窓から見える満月。

 今いるこの惑星も月は1つで、太陽も1つだ。

 地球とそっくりな環境だけど、俺にはこの惑星がどんな場所なのかまったくわかっていない。

 そもそも惑星なのかすら断言はできない。

 実は調べたら平面で、端っこからは海水が流れ落ちてるというファンタジーなものである可能性も捨てきれない。


 最近、1つ不安な事を考えると、後から後から不安な事が思い浮かんで寝づらい。

 1人だったらドツボにハマってしまい、きっと常に睡眠不足だっただろう。


 そんな不安も、1000年経っても俺を覚えていてくれる人がいるなら我慢できる。

 1000年経っても、愛し続けてくれる人がいるなら乗り越えられる。

 その人たちを守るためなら、俺はどこまでだって強くなれる気がする。


「じゃあ寝ようか。……明日は昼まで2人とベッドに居たいな。」

「お付き合いしますよ。」

「私は、お昼まで寝てしまっているかもしれません……、」

「それならそれで構わないさ、」


 その時は、俺が起こすから。



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