表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
機械仕掛けの人形師  作者: 六轟
第1章
5/110

5:

 俺がダロスになって2日目。


 昨日は、色々忙しくてあんまりジョブの確認ができなかったなぁということで、今日は朝からやっていきます!

 もうね、ウキウキとわくわくが止まりません!


 さて、最初に作った土の人形は、何となくで作ったからか見た目がまず酷かった。

 何の特徴もない棒人間みたいな形は、流石にモデラーとしてどうかと思う。

 いや、モデラーって言っても別にフルスクラッチばっかりしてるわけでもないからそんなものかもしれないけども。

 フルスクラッチはあれね、0から作るやつね。

 昔あった某子供向け雑誌読者にはなじみ深いと思うよ。


 2号機は、戦闘を目的にした物じゃなくて、乗り物だからなぁ。

 デザイン自体は気に入ってる。


 というわけで!

 3号機は、ちゃんと戦闘を主目的としたデザインで、尚且つしっかり細部まで拘って作ってみます!


 昨日家に帰ってから、一人でうんうん唸りながら念じてジョブの説明を見続けた結果、ある程度使い方が分かってきた。


 ―――――――――――――――――――――――――――――



 人形生成:人形を作りだすスキル。仮に既に人形として完成しているものでも、神人形師のジョブで利用するには、俺自身の人形にする工程が必要なためにこれを使わないといけない。これを使うと、人形自体の完成度や、スキル使用者の理解度に応じた人形レベルが設定される。因みに、昨日の土人形は人形レベル1だったようだ。2号くんは人形レベル5。ジョブレベルが上がれば、同じ材料で作っても人形レベルに補正が加わって強くなるんだとか。


 人形操作:人形を操作するスキル。昨日試してみた感じだと、人形とスキル使用者が離れれば離れる程操作性が悪くなるらしい。ジョブレベルが上がると、より離れた所でも操作できるし、正確性も増すようだ。操作する対象が多いと一気に操作難易度が上がる。昨日試してみた感じ、今の時点だと3体が限界。こっちもジョブレベルを上げたら、上限が増えて行ってくれる事を期待してる。もしくは、慣れの問題だろうか。


 人形強化:単純に人形を強化するスキル。ジョブレベルが上がれば強化度合いが上がるらしい。指定しなければ、現時点での最大レベルまで強化できるけれど、弱くする分には自由に指定できるみたい。レベル1の状態で土の塊を木の幹を砕けるまでに強化できたから、どこまで強くなれるのかわくわくする。



 ―――――――――――――――――――――――――――――



 とまぁ、こんな所だろうか。

 あくまで俺が読み取れたのを要約するとこんな感じってだけで、実際には色々違うのかもしれないけども。

 だってさぁ!これはどうなっているんだろうって思い浮かべると、その答えが存在してれば応えてくれるっぽいってだけで、詳細な説明書みたいなのがついてるわけじゃないんだよ!

 外国製電化製品の説明書よりはまだ詳しく書いてあるって程度!

 もうちょっと詳しく説明してくれてもいいんだよ神様。

 俺の心の声聞こえてる?聞こえてるよね?


 よく考えたら、神様たちってダロス君が辛い目にあってるのも面白がってた奴らだった。

 きっと今俺が悩んでるの見てゲラゲラ笑ってるんだ。


 まあいい。

 説明書も神様も当てにならない以上、自分で手探りでやっていくしかない。


 じゃあまずは、人形生成から実験していこう。

 説明を読む限り、このスキルが無いと始まらない。


 昨日は、1号は完全に適当に作っちゃったし、2号はある程度それっぽく見える程度の完成度になってしまった。

 だから3号は、昨日家に帰ってからシコシコ丁寧に作った。


 庭師の道具がしまってある小屋に入って、ノコギリやノミ、ヤスリなんかを盗……借りた。

 これらを使って、広大な公爵家の敷地内にある倒木を材料に、高さ1m程の人形を作った。

 この時に分かったんだけど、一から全部手作りなのに、驚くほど奇麗に作れた。

 人形生成か神人形師自体の効果なのかもしれないけれど、これは大きなメリットだ。

 何せ、何もかも自分で作らなくちゃいけないんだ。

 作り出す能力は、いくら高くても困らない。

 この世界にプラモがあればなぁとも思うけれど、無い物はしょうがない


 無いよな?無いと思う…だって、ダロス君の記憶にプラスチック自体無いし……。


 そんなこんなで完成した3号君!

 俺の趣味だと、近未来SFくらいのデザインが好きなんだけれど、今回はせっかくのファンタジー世界という事で、世界観を壊さないようにフルプレートアーマーっぽいデザインにしてみたよ!

 まだ人形生成を使ってないにもかかわらず、既にお店で売れるレベルになっている気がする。


 もし公爵家を追放になったら、これ売って稼ぐか?

 なんかサロメちゃんもついてくるって言うし、養ってやらんとな。

 可愛いし、おっぱい大きいし、なんかエッチもOKらしいから。

 いいのか……?本当に……?


 よし!作業に戻ろう!

 昨日は、とにかく大急ぎで人形が作りたくて適当に人形生成をしたけど、今日はじっくりやってみよう。


 まず、3号くんの細部まで理解を深める!

 まあこれに関しては、一から自分で作ってるから、最初からできていると思ってもいいだろう。


 次に、人形の完成度の確認だ。

 これによっても性能が変わるらしいから特に注意が必要だと思う。

 単純にこだわりがあるってだけでもあるけれど。

 紙やすりまで使って滑らかにしたんだ。

 きっとなかなかの完成度と評価される事だろう。

 できれば、ニスか何か使ってあげたかったなぁ。


 よし!じゃあ行くぞ!人形生成!

 …………うん、見た目は変わらんな。

 それで肝心の性能だけれど、これは自分が人形化したものに関しては、念じれば見る事ができるらしい。

 って言っても、人形レベルだけなんだが。

 握力が何kgとか、そういう細かいことまではわからないっぽい。


 それで3号君だけれど、人形レベルは10だそうだ。

 適当な1号君はともかく、2号君よりも上なので俺は満足である。

 素材を金属にしたり、色を塗ってあげたらもっと人形レベルが上がるんだろうか?

 今後確かめてみたいけれど、自由にできる金属が見当たらないため予定は未定。


 あれ?

 人形生成と、人形レベルを確認していたら、どうもジョブレベルが上がった気がした。

 頭の中でそうなったのがわかったっていう何とも説明のしにくい感覚だったけれど、とにかく上がったっぽい。



 ―――――――――――――――――――――――――――――



 神人形師:レベル2

 解放スキル:人形生成、人形操作、人形強化



 ―――――――――――――――――――――――――――――



 スキルは、特に増えてないっぽいな。

 でもジョブレベルが上がったんだから、人形生成の補正は上がってるはずだな。

 既に人形化した物の上書きもできるんだろうか?

 やってみよう!


 というわけでやってみました人形生成おかわり。

 結論からいうと、問題なく上書きできました。

 その結果3号君は、人形レベル11になりました。

 ジョブレベル1ごとに、人形レベルにも1がボーナスで入るって事か?

 1レベルの差がわからないから何とも言えんな……。


 ゲームっぽくするなら細かい性能も見せてくれればいいのにさぁ。

 なんだっけ?STRとかDEFだっけ?HPとかもあったか?

 まあ、実際に体力がどこまで持つかとかになると、ゲームみたいにきっちり決めておけるわけでもないか。

 仮にHPなんてものが表記されてたら、HPが1しか残ってない相手は、デコピン1発で死ぬのかな。


 まあいいや。

 とにかくこの3号君は、1号君の11倍強いって事なんだろう。

 もしかしたら、レベル2が単純にレベル1の2倍強いって事ではないのかもしれないけれど、細かい数値が分かるわけでもないから、今調べることもできんな。


 よし次だ!人形操作!

 おおう!?1号君や2号君とは、レベルが全く違うというのが分かるほど滑らかに動くぞう!?

 因みに、現在俺の視界は2つある。

 自分でもよく分かってないけれど、自分の視点と、人形の視点が同時に見えてるのが頭でわかるというか。

 正直、かなり気持ち悪いというか、酔いそうだけれど、慣れの問題かな。


 1号君は、目みたいな部分は作ってなかったし、2号君はそもそも頭が無い。

 3号君も、浅い人形操作なら視界を共有するような事にはならなかったんじゃないかって気がする。

 本能的にそれがわかる。

 ただ、3号君は完成度も高くて、目に当たる部分も作ってしまった。

 そのせいで、1号2号には存在しない機能が発生したんだと思われ。


 1号とに2号には、「あっちへ行け!」とか「走れ!」なんて指示しかしてなかったけど、3号なら自分の体を動かす感覚で操作できるっぽい。

 いいぞ!感覚共有タイプのロボットは大好物だ!あの手の作品は大抵主人公が碌な目に会わないけれど!


 あっそういう意味ではダロス君にピッタリですね……。


 気を取り直して、3号機の性能テストだ。

 昨日は、イレーヌさんちの木を殴って確かめたから、今日は公爵家の庭に森のように生えてる木を使いましょう。

 3号機を木の傍まで移動させる。

 俺自身も一緒に動かさないと操作性能が落ちるようなので、後に続く。

 その時、視界もそうだけど、体の感覚も共有しているっぽいと気が付いた。


 そうなると、こいつに攻撃させるときは、俺の戦闘センスが活かせるのか。

 いやそんなもんないぞ?

 俺が今までにやった事がある武道と呼べるものなんて、スポーツチャンバラくらいだ。

 一応世界2位だぞ?子供の部で参加者3人だったけど。


 まあ……、考えても仕方ない。

 とにかく、パンチだ!ただ単純にまっすぐ殴る!

 すると、目の前の幹が爆ぜて、上の部分はそのまま倒れた。

 なにこれ凄い。


 レベル1の土人形で、木の幹に負けて手が消し飛ぶ状態だったのに、レベル11の木の人形だと幹が砕けるのか。

 じゃあ、人形強化したらどうなるんだろう?

 やるぜやるぜやるぜ!


「人形強化!!!!!!」


 テンションが上がってきたため等々技名解放である。

 ただ今日は、イレーヌちゃんというお手本のようなギャラリーがいないため、ちょっとだけ虚しい。

 婚約とかそう言うのは置いといて、遊びに来てくれないかな。


 強化された3号君は、見た目はあまり変わらないように見える。

 ちょっとだけツヤツヤになったかな?

 人形基準でイケメンになったような感じだ。


 じゃあ強化3号君の性能実験をするぞ!

 さっき砕いた木の隣の木の前に移動する。

 今度もさっきと同じように、ただまっすぐに拳を叩きこむ。

 すると……。


「えぇ……?これどういう状況……?」


 なんと、拳の形に幹がくり貫かれた。

 どうも、威力が強すぎて逆に効果範囲が狭まったらしい。

 木の幹にできたトンネルに、3号の腕がすっぽりだ。

 とりあえず腕を引き抜いて確認すると、拳に傷は一切ないように見える。

 木の幹の裏側を見てみると、くり貫かれた木は、後ろの木にぶつかって貫通したらしい。

 これ、強化した3号君は、人形レベルどのくらいの性能に準拠してるんだろう。


 っと思ったら、人形強化は単純に人形レベルを上げてくれるようで、今の3号君は人形レベル13って表示されてる。

 ジョブレベル1の時に確認していなかったからわからないけれど、人形レベル11から2上がってるって事は、ジョブレベル分人形レベルが追加されるって事だろうか。

 人形レベルが低い物しか作れないうちは、割合的にお得かもしれないな。

 人形レベル100とかになったら、2レベル上げたところで大したことないかもだけれど。


 そういえば、この世界にはもっと性能の良い人形なんかも存在しているんだろうか。

 一応俺のジョブは、人形師に神がついてるわけだけれども、所詮はジョブレベル2。

 このジョブレベルもまだよくわかってないけれど、きっと2は高いほうではないだろう。

 だって、ちょっと木を殴って、乗って走り回って、人形3体作っただけで到達したんだから。


 ダロス君の記憶によるとこの世界には、あの有名なドワーフとエルフがいるらしい。

 名工と名高いドワーフたちは、手先がとても器用で、かつ力もあり、寿命もそこそこ長いため、腕のいい職人が多いそうだ。

 一方のエルフは、元々手先が器用なのもあるけれど、寿命がとにかく長いので、ものづくりに目覚めた物は、頭がおかしいレベルですごい技術を持ってるんだとか。

 といっても、その辺りは個人差がかなりあるから、エルフの腕のいい職人を見つけるのは難しいらしいけれど。


 そうだよなぁ。

 人間なんて俺の前世の世界でも、精々100年生きたらいいほうだもんなぁ。

 この世界に平均寿命という考え方は無い、というより戸籍データ自体を集めていないみたいだけれど、大体70年くらい生きれば、人間としてそこそこの長生きとみられるんだとか。

 寿命の差は、如何ともしがたいってことかぁ。


 そういや俺は、女神の使徒って事になるんだろうけれど、寿命は延びてたりするんだろうか?

 まさか無限?

 えぇ……?もしかして俺これからずっとこのショタをちょっと卒業した見た目……?

 いやそれはそれでいいけどね?


 話を戻すと、ドワーフやエルフの作る人形なら、もっと人形レベルの高い人形にできるんじゃなかろうか。

 つっても、人形自体この世界では出し物の道具くらいにしか思われないから、戦闘用の物は難しいかもだけれど。


 そもそもの話だけど、人形の基準ってなんだ?

 あの棒人間みたいな土でも人形判定なら、割となんでもありなんじゃないか?

 もしかしたら、俺が人形だと思えば人形ってくらいアバウトなものかもしれない。

 爺ちゃんちにあったオグリキャップのぬいぐるみでも動かせたかな?

 その辺りは、また今度考えよう。


 実は、今日の性能試験の本番はこれからだ。


 3号機君の今日の最重要ミッション!

 それは!

 狩りです!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ