表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
機械仕掛けの人形師  作者: 六轟
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/110

43:

我が家の玄関に、自称ドラゴンのお父さんという方が参られています。

うちには、既に自称俺の娘であるドラゴンの女の子がいます。

そこから導き出される答えは?


「ばかばかしい。私の母と私を作っておきながら、母が死んでも今まで放置していた貴方なんて、仮に本当に血のつながりがあったとしても他人ですわ。」


他人だってよ。


「雌のドラゴンが雄である私に逆らう権利など無い。ドラゴンの社会において強さこそが絶対。雄の方が雌より体も大きく、力も上だ。であれば、生れたばかりの娘が父親に逆らうことなど許されないのだ。」

「そう言うのは、己がいない間も雌を養える甲斐性がある者にのみ許される発言ですわ。私の母とされるドラゴンが死んでから最低でも半年近く経った今、やっとここにたどり着いた役立たずの雄なんてお呼びじゃありませんの。」


天災級の生き物が2頭、我が家の玄関先で親子喧嘩してる。

今は、言葉での応酬なために被害は出ていないけれど、いざ戦闘となったら周辺の被害は甚大なものとなる可能性が高い。

それが、今この瞬間に実現したとしても不思議ではない状況。

爆弾処理を素手でさせられているような恐怖が俺を包む。

さっきまで奇麗な女の子たちに囲まれてキャッキャウフフしてたのになぁ……。

いや、割と政治的で面倒な話とかしてたわ。


とりあえず、姫様は裏手の勝手口から逃げ出せたようだ。

今、ナナセに抱き上げられて姫様専用カラーの高貴な感じの紫色に塗ったタルタロス2号機に乗ったようだし、そのままエイルと一緒に人形操作で少し離れた所に退避してもらっておこう。

周辺住民の避難指示はタルタロス3号機でスルーズにお願いしておく。

3姉妹みたいに遠く離れていてもリアルタイムで意識などを共有なんてことはできないけど、タルタロス内のモニターにメッセージを表示するくらいなら俺にもできる。

……いや、いっそのことタルタロスのスピーカーから声を出させるか?

でも、俺の生の声からの入力情報じゃなくて、人形操作で喋らせると結構不気味な声になるんだよな……。


タルタロス1号機は、俺用に残しておく。

4号機と5号機は、1号機の直掩とする。

APLは、ヒルデの操作で待機だ。

慣性制御なんてアホな事させなければ、ヒルデだけでも動かすくらいわけないはずだし。


今回の勝利条件を設定するなら、周辺に被害を出さず、こちらのメンバーからも被害者を出さず、目の前のファフナーとか言う奴が帰ってくれる事かなぁ。

ニルファを連れ帰らせるつもりはないけど、かと言って戦闘には発展させたくないな。

生れたばかりのドラゴンであるニルファですらあれだけでたらめな戦いができるんだから、その父親ともなったらどんな強さなのか見当もつかない。

未来の俺!これどうしたらいいんだ!?


「ふん、人間に育てられると、ドラゴンでもここまで蒙昧な個体になるのか。」

「その人間の格好になっておいてよくもほざけますわね。どうせ、ドラゴンの格好のままだと不便な事が多すぎたのではありませんこと?ドラゴンの体なんて、ただ強いというメリットしかありませんもの。」

「ニルファ、それは違うぞ?ドラゴンの体はカッコいい。」

「ありがとうございますわお父様!」


思わずドラゴンのロマンについて語りたくなり、口を出してしまった俺。

そこまではまあいいんだけど、ニルファが「お父様」と言った瞬間にファフナーおじから俺への雰囲気が一気に剣呑になった気がした。

口は災いの元なんて言うけど、天災級の災いは勘弁願いたいな。

各地にある竜神様のお社とかってそう言う事のためにあるんだろうし。


「貴様がこの娘の父親だと……?どういうつもりでそう呼ばせているのだ?」

「お父様から呼び方を指示された事なんてございませんわ。タマゴの時から良質の魔力を提供してくれた方なので、お父様と私が勝手にお呼びしているだけですの。自称とはいえ私の父を名乗るのであれば、もうすこし美味しそうな匂いをさせてくれなければお話になりませんわ。」

「人間が単体でドラゴンを孵化させるほどの魔力をだと?……貴様、その魔力は何だ!?人間の枠を超えているではないか!」

「お父様は、女神様からの寵愛を一身に受けてこの世界に舞い降りた尊きお方なのですわ!」


いや、そんな大層なもんでもないけども……。

なんか恥ずかしくなるな……。

実際には、神様たちの娯楽の対象なんだけど……。


「ほう……?では、貴様と私で勝負をしようではないか!勝った方が娘を好きにできるというのはどうだ?強さで決めるのが結局のところ一番手っ取り早いではないか!」

「は?いやいや、突然出てきてその理屈はちょっと脳筋すぎやし」

「その必要はありませんわ!この無礼なドラゴンは、私が叩きのめしますもの!」


多分だけど、ドラゴンは基本脳筋だ。



全力で戦いたいという事で、場所を山脈や樹海で覆われた地域に移した。

とりあえず、町中でガチバトル始められるという事態は避けられたので、それは良かったと思う。

ただ、ドラゴン2体の全力での戦闘となると、何が起こるかわからなくて怖い。

まあドラゴンと言っても、1体は正体不明のオッサンドラゴンで、もう1体はセクシィな人間体で俺が作ったロボットに乗ってる変わり種ではあるんだけども。


「その体、擬態では無いな?どういう力によるものだ?」

「お父様から借り受けたお力を使って作り変えただけですわ!お父様と暮らす以上、お父様と同じ種族になるのが一番便利ですから!」

「その力、人間の手に余るものではないか?神代の力のように感じるが……。」

「女神様の依り代だって作れるそうですわ!」

「なんと……。それであの魔力量と質というわけか。道理で我が娘が絆されるわけだ。しかし!今は奴の事は置いておき、娘とのことに集中させてもらおう!」

「ですから!私は貴方なんかの娘ではありませんわ!」


いやでもさ、話し方がハキハキ迫力あるとこなんかは似てるよ?

人間が知らなかっただけで、ドラゴンって結構普通に話してたのね。

ニルファは、人形生成利用して自分の体を人間体に作り変えてるけど、ファフナーの方は擬態とかいうスキルを使ってるっぽい?

ドラゴン皆がそう言う事ができるのかはわからないけど、ドラゴンの体のままだと上手く話せないから念話使ってるだけで、人間の体になれば普通に話せる程度の能力はあったんだろう。

一応タルタロスたちでこの光景を撮影しているけど、これプロメに見せたら興奮しすぎて卒倒するんじゃないかな。

前世で言えば、ティラノサウルスが実は羽毛でモッサモサで、しかも空を飛べたって言われるくらいのビックリさじゃないだろうか?

いやもっとか?


「えーと、じゃあ開始の合図はこのダロスがさせていただきますね。双方全力で、且つ相手の命はとらないようにお願いします。」

『よかろう!』

「構いませんわ!」


ドラゴン体になったファフナーと、APLに乗ったニルファが睨みあう。

本当にあのおっさんドラゴンだったんだなぁ。

改めて周囲をタルタロスたちのセンサーで確認するけど、人間の反応は無し。

姫様たちには、遠く離れた貸し家で中継映像を見てもらってる。

具体的に言うと、3号の目にプロジェクター機能をつけてみた。

ナナセもいるから護衛も万全だし、安全だろう。


こっちに来ているのは、戦う張本人であるニルファと、ヒルデ・エイル・スルーズの3姉妹。

そしてこのわたくしダロスですよろしく。


対して、相手チームのメンバーを紹介しましょう。

対戦者ファフナー。

以上。


悲しいな。

雌を手当たり次第に孕ませて放置するからそんな事になんだよ。

……俺も早めに王都に帰って嫁さんたちと過ごさないとな……。



「それでは!ドラゴンファイト!レディーゴー!」



瞬間、俺たちの目の前の空間が弾けた。

ファフナーとAPLがぶつかり合った事によって起こった事象であると理解できたのは、それから数秒後だった。

うん、タルタロスごと衝撃波でフッ飛ばされたよね。


まあ、踏ん張ってなかったし、固定用のアンカーも打ってなかったから、あれだけの衝撃を生み出されたらそうなるかもだけど、流石に予想してなかったなぁ。

だって、地上でソニックブームみたいなのと、あの輪っか状の雲みたいなのが出来たんだよ?

加速時間なんて1秒もないはずなのに。

流石にそんなのバトルマンガでしか見ないよ……。


ふざけて、昔見たアニメのレフェリーをポーズごと真似してたのがダメだったのかもしれないけど、それを認めると怒られそうだから俺は謝らない。

ドラゴンファイトより、ドラトルの方がよかったか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ