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機械仕掛けの人形師  作者: 六轟
第1章

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10:

 今日も清々しい朝だ。


 こっちの世界に来てからも前世からの習慣で、日の出とともに起きるようにしている。

 別に、朝早くから何か用事があるわけでもない。

 ただ、好きに寝起きしているとどんどん夜型になってしまうので、それを防ぐために無理やり早寝早起きをしているだけだ。


 学生時代の夏休みは、大体1週間あれば生活サイクルが24時間ズレていた。

 流石に人としてどうかと思ったので、早寝早起きを心がけたら、頭の働きが活性化し、気持ちも溌溂として、おまけにお金も儲かって彼女もできまくりでした!

 ウソですお金は別に儲からなかったし彼女もできませんでした。


 それで今日も朝日と共に起きたわけだが、人生で最もすっきりと目覚めた気がする。

 理由は、何となくわかっている。

 俺の腕に抱き着いてる美少女の存在だ。


 昨日、あれからそのまま眠ってしまったが、サロメも腕に抱き着いて離れなかったようだ。

 意地でも離れないぞという意志すら感じる。

 うん……女の子と一緒に寝るのってこんなに幸せな気持ちになるんだね……。

 なんかやわらかいし……良い匂いするし……。

 何より、1人でも自分の存在を認めてくれてるのがわかるってだけで、生きる気力がみなぎる……。


 変態でしょうか?ごめんなさい。

 でも、こんなかわいい女の子に抱き着かれて手を出さなかった俺の鋼の精神は褒められるべきだと思うんだ。


 サロメは、どうも朝に弱いようなので、起こさないようにそっと腕を引き抜こうとするも、必死の抵抗にある。

 結局、腕が解放されるまでに20分かかりました。

 長時間抱きしめられていたからか左腕の感覚が無いんだけど、大丈夫だよねこれ?


 服を着替えて出かける準備をする。

 ボロ小屋から出ると、朝もやのかかる公爵邸が見える。

 あちらの使用人たちもそろそろ仕事始めの時間らしい。

 職員用の宿舎から何人かが歩いて出てくるのが見える。

 頑張って働いてほしい。できるだけブラックな環境で。

 ダロス君も喜ぶよ多分。


 あれ?うちのねぼすけ姫様も一応メイドだった筈では?まあいいか。


 広大な芝生を森に向かって歩く。

 手前には、未だ禍々しい雰囲気を漂わせる3号を先行させている。

 目的地は、昨日魔猪を倒した場所だ。

 理由は簡単、他人の目につくと不味い実験をするためだ。


 実験とは言いつつも、これは俺の……いや、俺たちの夢でもある。

 そう!巨大ロボットを作って乗り込むんだ!

 3号で人型の操作方法に慣れ、4号で実際に乗り込んで動かすこともできた。

 じゃあさ?デカいの作って乗るよね?あたりまえじゃん!


 ルンルン気分で獣道を辿る。

 暫く進むと、森の中の開けた草原にたどり着いた。

 昨日、でっかいイノシシがウンコしながら木の根をバリバリ食べてた場所だ。

 といっても、あのウンコスペースには近寄らないようにしよう。

 嫌だもん。


 自然界でウンコをすると、糞虫と呼ばれるやつらがウンコを食べてくれて、いつの間にか消えている。

 これによって疫病などが発生しないようになってるらしい。

 日本にも結構いるけど案外知名度はない。

 でも、無駄に色が奇麗なのも多いから知らずに触ってる人もいるかもしれないな。

 クリスマスツリーの飾りみたいなんだし。


 まあ、奇麗に処理されてたとしてもやっぱり近寄りたくはないんですけども……。


 開けた場所で精神を集中する。

 昨日一昨日と人形生成をやってみて、何となくだけれど直感的にわかって来たことがある。

 手作りした人形を基に人形生成を行うと、完成度はともかくとして、人形自体の理解度は上がるからか人形レベルが上がる傾向にある。

 完成度の評価基準は、今の所イマイチわかってないけれど、多分ヤスリとかかけて奇麗にしたら上がるんじゃないかな?

 まあ、基準が分からないのは置いといて、理解度というのが重要だ。


 つまりはだ、完璧に理解できているなら、手作りせずとも人形生成のみで人形を作ったとしても、人形レベルを高くできるんじゃないかと思うんだ。

 3号みたいに小さい人形ならともかく、俺が今から作りたいのは20mくらいのロボットをイメージした物。

 だったら一々手で作るより、頭の中で完璧にイメージして人形生成で一発成型しちゃおうぜって話だ。


 幸いなことに、ロボットのプラモならいくらでも作ってきた。

 それこそ戸棚に飾り切れない程作って、押し入れに押し込まれている状態だった。

 だからイメージするのは、多分難しくないんじゃないかなーと期待している!


 とはいえ、人間の脳みそでできるイメージなんて限界があるだろうし、できるだけ簡素化するために飾りのようなものを省略していくしかない。

 そう考えると、出来上がるのはスーパーだのリアルだのってロボットたちじゃなく、武骨なゴーレムみたいになっちゃうんだろうか?


 うん!嫌いじゃないよそういうの!

 飛行能力はつけなくていいよな!?

 俺作画の関係で途中からどいつもこいつも飛び回る展開嫌いなんだ!

 ガッシャンガッシャン走り回ってくれ!

 装備を変更できる機体の場合大抵装備全部取っ払った素の状態が一番カッコよく見えるし!


 というわけで!5号機は、ちょっとスマートなゴーレムみたいな感じにします!

 イメージ……!イメージするんだ……!

 脚は、安定性のためにちょっと短め……。いや本当は長いほうが好きだけど、俺は初心者だし……。

 腕は長くて太めで、指はつけない……。攻撃方法はパンチとスタンプ……。

 胴体は、真ん中にコクピットがある形にして、それを囲むように土で肉付けしていく……。

 頭は、目だけが何故か光るお約束のデザイン……。

 中身は、機械じゃなくて土がギュウギュウにつまったファンタジーっぽい奴で……。

 動力?今までの人形も何で動いてたのかわかんねーからそれは放置。

 少なくとも何とか粒子とか、原子力ではないと思うけど。

 ヨシいける!


「人形生成!!!!!!!」


 ゴゴゴと音を立てて地面が盛り上がる。

 木々が根こそぎなぎ倒され、徐々に土でできた巨人が出来上がってきた。

 音が収まると、まさにイメージ通りの武骨なやつがそこで寝そべっていた。

 すばらしい……。5号よ!今から乗り込んで動かしてやるからな!


「人形強化!!!!!!!」


 念のため、乗り込む前に強化しておく。

 テンションが上がっているので技名を叫ぶのも忘れない。

 イメージでは、中まで素材でギュウギュウに固めてあるはずだけど、相応にデカいために強度はいくらあっても困らないだろう。


 お腹をよじ登り、みぞおち付近へ向かう。

 ハッチは開けたまま生成しているので、そのままコクピットへ乗り込む。

 立ち上がった時に正面を向けるよう座席を作っているので、現在は後ろに引き倒されているような状態だけど、これはこれで乙な物だ。


 さぁ!準備は整った!今歴史は変わる!全てのロボットよ道を譲れ!

 こっちは初心者マークだ!近寄ると危ないぞ!


「人形操作あああああああああああああ!!!!!!!!!!!!?」





 結論から言うと、吐きました。

 動かすとかそれ以前の問題でしたね。

 ボディを構成する土とか、そこに混ざった砂利とか、巻き込まれた可哀想な虫たちの情報が一気に頭に流れ込んできて、頭がパーンってする所でした。

 現在、酷い頭痛とめまいに襲われています。

 コクピットの中がゲロ臭いけど、このままちょっと休憩しますね……。



 1時間ほど経っただろうか?

 大分体調が良くなってきたので、コクピットから這い出してみる。

 うん、5号は完成した状態から微動だにしていない。

 コイツはこのまま廃棄だな……。動かせる気がしない……。

 ありがとう5号機!キミの事は忘れないよ!トラウマだよ!!!!!


 多分だけど、1号も同じ土人形だったのに、今回みたいなことにならなかったのは、単純に材料の量の差だろう。

 中身がゴチャゴチャでも、1号くらいのサイズなら特に問題なく操作できる。

 2~4号機は木製だけど、あれはあれで純粋な素材ではないから、木製だとしても20mの巨大ロボット型にしたら頭パーンしちゃいそうだ。

 このままだと俺までダロスすることになるな……。

 大型ロボット計画は、しばらく凍結するしかないか……。



 そういえば、無茶な事をしたからかジョブレベルが上がったようだ。

 昨日、俺より格上っぽい魔猪を倒しても上がらなかったのに今上がったのは、敵を倒して経験値を稼ぐゲーム的な要素では無いって事なんだろうか。

 それとも、単に魔猪分の経験値だけじゃ上がらなかっただけだろうか。


 まあいいや、考えてもわからんし。

 さっさとどうなったか調べてみよう。



 ―――――――――――――――――――――――――――――


 神人形師:レベル3

 解放スキル:人形生成、人形操作、人形強化、神粘土


 ―――――――――――――――――――――――――――――





 なんか、新しいスキルが解放されてるんだが?

 神粘土……、ダジャレか?

 でも神って付く位だからすごい性能を秘めているんだろうと思うけど、イマイチわかんないな。

 これは、説明を読まねーと!





 ―――――――――――――――――――――――――――――


 神粘土:不純物の無い、純粋な素材。何にでもなれるが、全て製作者のイメージによって構成されるので、扱うには相応の適性が必要。


 ―――――――――――――――――――――――――――――





 ほーん?

 つまり超便利だけど使い方次第でゴミになるポリパテって感じか?


 あれ?不純物が無い?

 ってことは、5号機の問題点を解決できるすごいものなんじゃ?

 おおおおおおおおお!!!!

 もしやまだ俺の巨大ロボットへの道は絶たれていないのか!?


 ってちょっとまて。

 なんでそんなピンポイントなスキルが解放されてんだ?

 今まさにこの瞬間欲しいもんが手に入るって、流石に俺はそこまで運良くないぞ?

 なんなら、サロメに気に入られたって時点で、この人生の運は使い切っていたとしても驚かない。

 2択をカンで答えたらほぼ確実に外す男だ俺は。


 というわけで、俺の中でこれは何かズルによる産物だと判断します。

 そうだよなアフロディーテ様!いえーい!みてるー!?


 まさか俺の痴態をリアルタイム視聴なさってるとは……。

 俺がトイレ入ってる所とかもゲラゲラ笑いながら見てるんだろうか……?

 もしや、昨日の夜風呂であんなことしてたシーンも……?


 気持ち切り替えて行こう。

 とにかく、この神粘土ってやつはすごいものなんだろう。

 だったらさっそく使ってみよう!


「神粘土!!!!!!」


 とりあえずスキル名を叫んでみると、目の前の空間にモリモリモリっと白い何かが出現した。

 これが神粘土……か?

 見た感じは、形がついてないソフトクリームみたいなもんかな。

 触ってみると、何故かいくらでも形を変えられるのに、手を離すとその形が保持される。

 ほへぇ……なんかよくわかんないけどすごぉい……。


 多分この神粘土は、人形生成で成型していくのを前提としたものなんじゃないだろうか?

 混じりけの無い純粋な物質だって言うなら、できるだけ手で弄らないほうがいい気がするし。


 ところで、俺は見られているとついつい驚かせたり嫌がらせたりしたくなる男だ。

 今もアフロディーテ様が俺を見ている。

 そしてここには、形を自由に換えられる素材がある。

 じゃあさぁ、いろいろやりたくなるよね?

 さっきまでの辛さが減り、何故か悪戯心がモリモリ湧いてきた。


 俺は再度、神粘土を出現させる。

 量は、大体人間一人分だ。

 アフロディーテ様をイメージする。


「人形生成!!!!!」」


 まずは顔から……。アフロディーテ様……アフロディーテ様……。

 うん!なかなかいい感じだ!この顔面だけでもお高く売れそう!

 次は髪の毛。一本一本まで作れるのかこの神粘土は……すごい……すごすぎる……あっという間にサラサラしっとりツヤツヤピンクヘアーの出来上がりだ!

 なんでピンクなんだろ?生まれつきなのか?


 後はボディだよボディ。

 手足はスラっと長く、それでいて肉も決してデブと言われず、かといってセクシーな量をつけ、それでいてクビレも忘れない。

 おっぱいも服の上から見た感じこのくら……いや、なんだか突然3サイズくらいでかくしたくなった!

 どんなに盛ってもいいですからね!

 でも内蔵とかは流石にわかんねぇな……。


 神様も内蔵あるんだろうか?

 人間だとしても何となくでしかわからないけどもさ。

 うーん……、ん?何故か人間の内臓の知識がモリモリ湧いてきたぞ!?

 ……よし!体の内側も完成だ!


 問題は、やっぱり股間だよなぁ……。

 見たこと無いんだけど……。モザイクかけとくか?


 おおお!?あの……アレの知識がいきなり頭に入ってくる!

 すごい!これはすごいぞ!一気にアフロディーテ様人形が完成に近づく!

 あ……あああ!完璧だ!これぞ1/1 アフロディーテだ!

 販売価格10兆円くらいかな!?


 …………あれ?なんで俺こんなハイテンションだったんだ?

 なんかすごい物作っちゃったし……。


 人形とは言え、女の子裸にしておくのもちょっとな……。

 しかもすごくリアルに作っちゃったし……、すごい美人だし……。

 とりあえず俺の上着でも着せておこう。


 そう思い、1/1 アフロディーテの上半身を起こしてから服を着せていると、いきなりアフロディーテ様が目を開けた。

 心臓が口から出るかと思うくらい驚く俺。


「んっ……ん~!あぁん!いいわぁ。久しぶりに肉体よぉ。ありがとうねぇ。」

「……あのぉ、アフロディーテ様なんです?」

「そうよぉ。今この体に憑依することでぇ、限定的な顕現ができているのぉ。」

「はぁ……。それはまあそれでいいとしてですね、脚組むのやめてもらっていいですか?見えるので。」


 今現在、アフロディーテ様は5号の腕の上に座って脚を組んでいる。

 つまり、俺の方からあの部分が見える。


「別にみてもいいわよぉ?へんたぁい。」

「あ!いいならガッツリ見ますね!」


 許可されるなら見るよそりゃ!だって童貞だもん!


「それで、なにか用?神様が顕現だか降臨するのってなかなか大事なんじゃないの?」

「そうねぇ、1000年に1度くらいかしらぁ?別にしちゃいけないってわけでもないんだけれどぉ、どうしても影響が大きいからぁ。今回に関してはぁ、ダロス君が素敵な肉体を作ってくれたからぁ、折角だしって来てみただけだけどねぇ。」

「……すみません、なんか、急にアフロディーテ様が作りたくなってしまったんです。しかもこんなエッチな感じですけども、悪気はなかったんです。信じてください。訴えないで下さい。」

「気にしなくてもいいわよぉ。というよりぃ、私がそうなるように思考誘導したんだものぉ。」


 は?何言いだすんだこの女神?

 思考誘導?怖い事言うなよ……。


「知らないはずの知識がいきなり頭にあふれてきて、不思議に思わなかったぁ?私のおっぱいの形とかぁ、色なんて貴方知らないでしょう?」

「……あー、アレってアフロディーテ様がやったんだ?俺の頭がおかしくなったのかと思った。」

「そうよぉ。まあ、その直前、あの大きな人形を動かそうとしてたときぃ、ギリギリ脳が壊れる前にスキルを解除させたのも私なんだけれどねぇ。」

「その節はどうも。危なくダロスするとこだった。」

「そうねぇ。流石に私もぉ、使徒が2人も続けてダロスするところは見たくないわねぇ。周りの神様たちは楽しむだろうけれどぉ。」


 うん、やっぱダロスなんてしたくないな。


「そうそう!私が介入したとはいえ、貴方は最高クラスの依り代を作ったわぁ。だからぁ、ジョブレベルが上がっているはずよぉ?」

「え!?マジか!ちょっと確認してみる!」


 頭の中で神人形師と念じる。



 ―――――――――――――――――――――――――――――



 神人形師:レベル4

 解放スキル:人形生成、人形操作、人形強化、神粘土、魂付与、遠隔操作



 ―――――――――――――――――――――――――――――



 遠隔操作はわかる。それは欲しかった。

 でも魂付与?なんだそれ?ヤバい系じゃない?


「気に入ったかしらぁ?」

「いや、よくわかんないんだけど、魂付与って何?」

「簡単よぉ。魂をデザインしてぇ、人形に与えるスキルってことぉ。」

「……やばくね?」

「神様一歩手前ねぇ。」


 この女神何してくれてんの?


「だってぇ、それが無いとぉ、この体に上手く憑依できなかったんだものぉ。」

「つまり、自分が顕現したいから、すごいスキルを押し付けたと?」

「そういうことぉ!すごいわぁ!こんな素敵な依り代初めてよぉ!普通依り代なんて作れないしぃ、数千年に1人くらい依り代が作れる職人が生まれてもぉ、一瞬で限界が来て壊れちゃうのぉ。でもぉ、この体はまったくそんな気配がないわぁ!」


 5号の腕の上に立ち上がり、くるくると楽しそうに踊りだすアフロディーテ様。

 妖艶な女神様だけど、この時だけはただの女の子のようにも見えた気がした。

 ただ、見えちゃいけない所が見えてるのでやめたほうがいいですよ?

 指摘はしないけど。


 うん、5号はクソみたいなできだったけど、ステージとしてはよかったな。


「それでアフロディーテ様は、その体でこの世界に居続けるの?」

「そうもいかないのよねぇ。他の神様たちにぃ、ずるいずるいって言われちゃうしぃ。だからぁ、たまに遊びに来る程度かしらぁ。それ以外のときはぁ、代わりの魂を付与しておいて貰えるかしらぁ?」

「まあそれは構わないけどさ。どんな魂にしたらいい?魂の作り方とか全くイメージがわかないんだけど。」

「別になんでもいいわよぉ。自殺さえしないようにしておけばいいんじゃないかしらぁ?あとぉ、性交も貴方と以外は禁止って事でぇ。」

「……俺とならいいんです?」

「その方が見てて面白いでしょう?昨日の夜も、互いに限界まで我慢してる姿が最高だったわぁ。」


 邪神か?滅すか?


「失礼ねぇ!私は愛も司っているんだからこの位当然よぉ!何ならもっとドロドロしててもよかったわぁ!」

「ああそう……。じゃあ、適当に清楚な感じの女の子ってイメージで製作しておきますね。」

「ありがとぉ。アドバイスしておくとぉ、自分で一からデザインするよりぃ、ある程度ランダムにしておく方が面白いわよぉ。」

「成程、ランダムとかあるんだ。わかりました。」


 自分で可愛い女の子作るのって、なんか虚しいもんな。

 ネトゲで自分のアバターを自分の理想の女の子にすると、なんで周りの奴らのために俺が愛嬌ふりまかないといけないんだって気になるし。

 まあ、男で作ると衣装に何のこだわりも持てなくなってすぐやる気なくなるんだけど。


「そうそう、最後に一つ伝えておくわねぇ。あの第3王子のイカロスって子、他の神様の使徒だからぁ、早めに殺しておくといいわよぉ?」

「え!?そうなの!?てかそう言うの知らせていいんだ?」

「本当はダメだけどぉ、その子を使徒にした神様がぁ、あんまりのラフプレイに怒っててぇ、注意しても辞めないから排除したいんだってぇ。」

「そう言う事もあるのか……。つまり神様は、たとえ自分の使徒だとしても直接人間殺すことできないのか……。」

「私だけはぁ、この世界で動ける体を手に入れちゃったから、できるようになったけどねぇ?」


 怖い怖い怖い!俺はなんてもんを作り出してしまったんだ!?

 こんなのエッチな場所見るだけじゃ割に合わねーよ!


「冗談よぉ。そんなつまらない事しないわぁ。アナタたちが苦難に抗う様を見せてもらう方がいいものぉ。」

「ああそう。趣味の悪い事で。」

「うふふ。じゃあ、今日はこの辺で帰るわねぇ。」

「はいはい、また何かあったら気軽にどうぞ。引き受けるかどうかはわかんないけど。」

「楽しみにしてるわぁ。それじゃあね。」


 そこまで言ってから、アフロディーテ様は俺の耳元まで近寄って囁く。


「私の体、楽しんでねぇ?」


 ニヤニヤしながらそう言うと、1/1 アフロディーテから力が抜ける。

 どうやら戻って言ったようだ。

 あの女神様、趣味の欄に俺を揶揄う事って書いた方がいいんじゃないか?


 そんな悪態を頭の中でつきながら、5号の腕の上まで1/1 アフロディーテを運ぶ。

 途中おっぱいを揉んでしまったのは事故だ。しょうがない。



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