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宵の明星

作者: 星野☆明美

金星は、地球より太陽の近くを公転しているから、明け方と夕方に見ることができる。、って言ったのは誰だ!

学校帰り、ズタボロになりながら見た夕焼けは赤く、眩しすぎて金星なんてどこだかわかんなかったよ。

今日は一日中駆けずり回っていた覚えしかない。

それが青春なのか?

そんな青春なんていらない!

聞いたことがある。妖怪が、人間の1日の記憶を食べてお腹いっぱいになるんだ。その間、妖怪はその記憶の主の姿になって、記憶を反芻するらしい。だったら、今日のぼくの記憶、食べておくれよ。

赤い夕焼け雲はやがて、紫のグラデーションに変わり、地上のオーケストラは新世界交響曲を奏でる。

壮大な1日の締めくくりに相応しく、地球が踊っている。

遠き山に日は暮れて♪

ああ、やがて逢う魔ヶ刻がやってくる。黄昏。たそがれ。誰ぞ彼。

「みろよ、金星、出てるぢゃないか」

言われて、ひときわ明るい星を見つめた。

自然と涙がこぼれて、ふと気づく。今の誰?

「よーかいだ、よーかいがでた!」

なにしろ、今日の記憶は空っぽになっている。

やがて来る夜に向けてパノラマの景色が広がる。

ぐすん、と鼻を鳴らして、とにかくいい日だったな、と思った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「夕焼け企画」から拝読させていただきました。 こうやって生きていくんですね。
[一言] 地球が踊っている、という言葉が好きです。 何があったとしても、最後に「今日はいい日」と思えたなら、間違いなくそれはいい日なのだと思います。 星野さん、ありがとうございました。
[良い点] たそがれどき。 向こうからやってくるのは妖怪。 その妖怪は出遭った人間の1日の記憶を食べるとは……ちょっと怖いですが、とても面白い発想でした。 ラストは夕焼けのようなぬくもりを感じました。…
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