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MTーメタル・トルーパー戦記ー  作者: 蒼色ノ狐
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第45話 例え愚かであろうとも

少年は決意する。

その道を進むべきだと。

 「もう既に理解しているかも知れないが今現在ユースティアの軍部の大部分がここポイントXに集結しつつある。」

 ライアンは傷が痛むのか時々顔を顰めながらも説明をしだす。

 大分重要な話である可能性がある為現在医務室には四人しか居なかった。

 「それは理解出来ていますが…一体どうしてこの様な事に?国王は承知の事なのでしょうか?」

 ジャックがそう聞くとライアンは少し言いずらそうにだったが意を決したのか言葉を紡ぐ。

 「国王は…現在軟禁されている。…セリオン率いるクーデターによって。」

 「「「!!」」」

 アリックスとジャックそしてユーリが驚きの表情になる。

 三人とも予想していなかった訳ではないが実際に口に出されると身構えてしまう。

 それもあまり予想していなかった名前が加われば余計である。

 「セリオンというとあの王族の…。」

 「そうそのセリオンだ。」

 ユーリの確認に答えたライアンは何かを後悔するかのように俯きながら話す。

 「元々セリオンはガスアとの戦争に消極的な国王に対して不満を抱えていた。そしてフリーゼンの王女の保護という彼らにとっては絶好の機会に対し何もしない事でこの様な暴挙を起こすに至ったようだ。」

 「だが彼の勢力はそれほどでは無かったはずだが。」

 アリックスが不可解そうにつぶやきに対しライアンは頷く。

 「ええ、確かに彼の勢力はそれほどでは無かった。ですがセリオンは密かに現在の状況に不満を抱えている軍人や有力者と手を結んでいました。…無論警戒をしていたいましたが諜報部の方にも裏切り者がいた為に気付く事が出来ませんでした。」

 拳を強く握り悔しそうにするライアンにユーリは気になっていた事を聞く。

 「スコット…少将は今どうなっている?」

 再びMTに乗るきっかけであり自分やライアンの所属している諜報部の上官スコットの身を案じるユーリ。

 「少将はクーデターの部隊がなだれ込む前に私と一緒に逃げていたいたが私にMTでここに向かうように命令した後に別れた、が今どうなっているかは分からない。」

 「…そうか。」

 取り敢えずは無事であったという事で内心安心したユーリであるが完全には不安は取れない。

 セリオンは過激な思考をしてるらしいと聞いた。

 ならば自分に逆らう人間に対しどうするかは深く考えずとも想像出来てしまう。

 「しかしこれからどうすべきか。」

 アリックスの言葉に全員が黙ってしまう。

 このままガスアとの戦争になるのは避けなければならない。

 だが形式上は正式な命令の為何かしら行動を起こそうとすれば命令違反として処断されるだろう。

 そんな考えが皆の頭の中を巡る中ユーリは天井を見上げフゥと息を吐く。

 「どうした少尉、何か案があるのか?」

 ジャックがユーリに聞くとユーリは淡々としかし意を決した様な顔で話す。

 「艦にいる全員に現在の状況を説明する。」


 「そんな…!?」

 集められた中で誰かのそんな声が聞こえた。

 それが呼び水になったのかザワザワと騒がしくなっていく。

 (無理もないか…いきなりこの状況を受け入れろと言う方が無理だ。)

 アリックスは心の中でそう思っていた。

 最初は全員に話す事自体に難色を示していたがユーリが

 「後からバレて動揺されるよりマシ。」

 という意見に対して何も言えなかった為現在に至るがやはり失敗だったかも知れないとアリックスは思っていた。

 「静まれ!!」

 中々収まらない動揺にユーリの一喝が響く。

 多少静かになった中でユーリは周りを見渡しながら宣言する。

 「という訳で自分、ユーリ・アカバは軍から抜ける。」

 ユーリの衝撃の宣言に先ほどとは別の動揺が走る。

 (もしかして逃げる気なのでは。)

 そんな考えも一部の者の頭を巡る。

 そんな動揺の中アリックスがユーリに近づき問う。

 「一人で行くつもりか。」

 そう聞かれるとユーリは頭を掻きながら答える。

 「仕方ないでしょう。誰かが止めなくてはいけないが艦の皆を巻き込むわけにはいかない。だったらこれが一番今取れる中で一番でしょう。」

 「…無論、却下だ。」

 ユーリの眉がピクリと動く。

 文句を言われても却下される事は無いと思っていたからである。

 「少尉の実力は認めているがそれでも可能性の低い作戦に就かせる訳にはいかない。」

 「作戦じゃないですよ。ただMTを乗って脱走した元少尉がエリンに向かうだけですよ。」

 「…。」

 「それにこんな事に付き合ってくれる人間なんていないでしょう。」

 ユーリが肩を竦めながら話すのに対してアリックスが力強く答える。

 「ならば私が付き合おう。」

 「…は?」

 「やるならば私も向かおう。」

 「…いやいやいやいやいやいやいや。それを防ぐために抜けると言っているんですが!?」

 「ああ、だから少尉が抜ける理由は無くなったな。」

 「っ!…そうは言っても。」

 未だ何か言おうするユーリから目線を外しアリックスは皆の方を向く。

 「という訳だ。これから我が艦はエリンへと向かうがもしこれに付き合えないと思う者がいるならば艦を抜けろ。止めはしない。」

 アリックスが語り終えた後も誰一人として動く様子は無かった。

 「お前ら…こんな事に付き合わなくてもいいんだぞ。」

 ユーリが全員にそう言うがそれでも動きは無い。

 「これが全員の意思な訳だが少尉、これでも君は一人で行くのか。」

 そうアリックスに問われると大きく息を吐くユーリは諦めたように答える。

 「仕方ない…か、バカの仲間はバカという事か。」

 ユーリの物言いに若干の笑いが漏れる。

 だがその後ユーリが真面目な顔になると全員の空気が引き締まる。

 「この艦にいる全員の命、悪いが預からせて貰う!準備を開始しろ!」

 全員の承諾の声が艦内に響く。

 今ここに伝説の幕が上がろうとしていた。

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