1 ガードナー強化
「くおおおおおおおおおおおおっ……!」
戦士ガードナーは全身から炎のような魔力を噴き出した。
腕が、脚が、全身が強化されていくのが分かる。
圧倒的な力が体の隅々にまで行き渡る。
それは人間の限界をはるかに超えた力だ。
そう、あのカイン・ベルストに匹敵するほどの――。
「ふうっ……」
しばらくの間、魔力を高めたり、逆に引っ込めたりとコントロールしていたガードナーはやがて、ふたたび魔力を消して元の状態に戻った。
「体への反動もない……やっと魔力の扱いを完全に会得したぞ」
ガードナーはニヤリと笑う。
と、
「とうとう魔族の力を完全に制御できるようになったようですね、ガードナー様」
小柄な青年が現れ、ぱちぱちと拍手を送る。
現在の魔王軍残党において、魔将の地位にある高位魔族ルイグだ。
「……お前のおかげだ、ルイグ」
カインへの敗北感から、さらなる力を求めていた彼は、そこで魔族ルイグに出会い、彼らのアジトに引き入れられた。
現在、世界の敵となっている彼らの元へ赴くのは、人類への敵対行為だと分かっている。
だが、さらなる力を得たい、という欲求には勝てなかった。
そして、自身の体に魔族の体を取り込み、融合することで人間の限界を超えた力を得られると教わった。
一度魔族と融合すれば、もう二度と元の体には戻れない――。
そう聞かされても、ガードナーに迷いはなかった。
強くなりたい。
誰よりも、強く。
その思いだけで、彼は魔族との融合手術を選択した。
そして――圧倒的な魔力を得た。
だが、それは容易にコントロールできるものではなかった。
少し魔力を噴出するだけで、周囲に破壊の波が吹き荒れ、敵も味方もまとめて薙ぎ払ってしまうほどの威力を発現した。
これでは、戦場では使えない。
それからというもの、ガードナーは自身の魔力制御の鍛錬に時間を費やした。
そして今日、ついにその技術が完成した。
「俺は――強い! 世界の誰よりも! 人間の誰よりも! 魔族の誰よりも!」
ガードナーは歓喜の叫びをあげた。
「カイン……お前にも、もう負けんぞ。さあ、早く決着をつけよう……」
いや、こちらから彼を訪ねて行った方が早いだろうか?
確かカインは『戦団』にいると聞くが――。
――そして。
「し、襲撃だ! 敵軍が攻めてきた!」
「何……?」
魔族の一人がやって来て叫んだ。
「例の『戦団』か?」
こちらに対して最終攻撃の準備をしていると聞いていたが――。
「い、いや、違う! 相手は一人! だが、とんでもなく強い! すでに軍の三割がやられた!」
魔族が青ざめた顔で報告する。
「ほう……?」
ガードナーがうなる。
「何者だ?」
問いつつも、すでに察していた。
「奴が、来たのか」
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