8 聖剣との語らい
「俺は――」
声が、震えた。
一周目の世界において、世界滅亡の運命を変えるため、自らを犠牲にして俺を二周目の世界へと送り込んでくれたラスヴァール。
ここにいるラスヴァールは、一周目のそれとは別の個体ということだろうか。
それでも構わない。
最高の相棒に、もう一度会えた。
それだけで万感の思いだった。
「俺――は……」
泣きそうになるのをこらえ、俺は話し始めた。
俺がここまで経験してきたすべてを。
一周目の世界が滅亡し、二周目の世界にやって来て魔王を討ち、今はその残党を最後の決戦を繰り広げようとしていることを。
「……なるほど。二周目の世界、か」
ラスヴァールがつぶやく。
「いきなり言われても信じられないよな? けど、俺は」
「いや、君の話には整合性がある。理屈は通っている。真実である可能性は十分にある」
ラスヴァールが言った。
「ただし確たる証拠があるわけではない。したがって事実だと断定することもできない」
「だよな」
そうだ、こいつはそういう奴だった。
俺はあらためて懐かしさがこみ上げた。
「はは、お前はやっぱり聖剣ラスヴァールだよ」
「提案がある」
ふいにラスヴァールが言った
「しばらくの間、私は君の元にいよう」
「えっ」
「君という人間を見極める。そして君の言うことが真実だと確信できたとき、私は君の剣となろう」
「ラスヴァール……!」
光が晴れて、俺は元の世界に戻って来た。
俺の手には聖剣がある。
言葉通り、暫定的ではあるが、ラスヴァールが俺に力を貸してくれるということだろう。
「お、おい、その剣を勝手に取るな!」
トーマが叫んだ。
「この剣は俺が使うことになった」
俺は首を左右に振る。
「正式に所有者として認めてもらえたわけじゃないけどな。とりあえず、お試し期間らしい」
「……何を言っている」
「現時点では、俺が聖剣の使い手だってことさ」
「ふざけるな!」
トーマが激高した。
「人類の希望たる剣を、無断で持ち出すなど許さん! いでよ、天使兵器!」
巨大な白い神像が出現した。
以前にも戦った天使兵器か。
だけど――、
「悪いけど、そいつじゃ俺とラスヴァールは止められない――いくぞ」
「了解だ、マスター」
聖剣から声が響いた。
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