4 祠の中へ
俺はヴェイルと共に『聖なる力』が漂ってくるという場所に進んでいた。
「さっきは悪かったな、ヴェイル。その、お前が魔族だってことは村の人たちには内緒にしたいんだよ。怖がられるかもしれないから……」
「いえいえ、平気ですよ~!」
ヴェイルはケロッとしていた。
「気にしないで下さいね。いつでもどんとこいです!」
「明るいなぁ……」
とても魔族とも死人とも思えない明るさだ。
しばらく進み、
「ここです」
ヴェイルは村はずれの山――そのふもとにある小さな祠まで俺を連れてきた。
「この中に感じるんです」
「聖なる力か……【探知】」
俺は探知魔法を発動した。
すると――。
確かに強大な力が……その一片が漂ってくるのを感じる。
禍々しい感じはせず、ヴェイルが言った通り『聖なる力』なのかもしれない、と思わせる波動だった。
「――ん?」
そこまで感知したところで俺はハッと気づいた。
この力の感じは、覚えがある。
清涼感があり、それでいて触れた者を癒やすような温かな波動――。
「まさか、これって」
俺はゴクリと息を飲む。
「どうかしましたか、マスター?」
ヴェイルがキョトンとした顔をする。
聖剣の、波動――!?
「……いや、なんでもないんだ」
俺は首を横に振った。
どのみち、ここからでは確かなことは分からない。
「行ってみよう」
俺はヴェイルと共に祠の中を進んだ。
と、前方に人影を発見する。
「誰だ……!?」
俺は身構えた。
「――敵ですか? 僕が殺しましょうか?」
隣でヴェイルがたずねる。
「相手を確認してからだ。お前はすぐに殺そうとするなよ」
「了解です」
やはり性格が変わったとはいえ、魔族は魔族だ。
「俺が許可しない限り、殺しはするなよ」
「もちろん。常にそうしていますよ」
ヴェイルがにっこり笑う。
「マスターの指示があれば容赦なく殺す。なければ殺さない。それだけです」
「なら、いいが……」
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