3 聖なる力の探索
「『聖なる力』はこっちから感じます。うう、肌がぴりぴりするぅ」
俺はヴェイルの案内で、その場所に向かっていた。
「もっと近づかないと正確な場所は特定できませんが、たぶん村はずれにある林の中じゃないかな、と」
「ああ、あの林か。そういえば小さな祠があったから、もしかしたらそこが『聖なる力』の出どころかもしれないな」
俺が子どものころ、この林をよく遊び場にしていたことを思い出す。
リアムやアベルと一緒に祠にも何度か行ったことがあったっけ……。
懐かしい記憶に浸っていると、
「カイン?」
前方から誰かが歩いてきた。
「リアム!」
俺は思わず声を上げた。
「帰ってきてたの? もう、声かけてよ」
「悪い悪い、ちょっと用事があったんだ」
俺は彼女に言った。
やっぱり幼なじみに会えるのは嬉しい。
「その後でリアムのところに行こうと思ってた」
「本当?」
リアムがジト目になった。
「あたしのことなんて忘れちゃったのかと思った」
「忘れるわけないだろ」
俺は苦笑した。
「えっ、本当に――」
「大切な幼なじみなんだから」
「幼なじみ……」
あれ?
なんでガッカリしたような顔になるんだ、リアム……?
「そっか、そうだよね……ただの幼なじみだもんね」
「どうしたんだ?」
「なんでもない。べっ」
べっ、って舌を出されてしまった。
「あれ? そっちの人は――」
「えっと、こいつは――」
リアムも含め、村の人たちには死者兵のことは言っていない。
いちおう、『魔王軍が村を襲ったときに備えて、村を守るための仕掛けをしてある』という程度の説明はしてあるけれど、『実は魔族が村を守っています』というのは言わなかったのだ。
無用な混乱を招くかもしれないからな。
さて、ヴェイルのことをどう説明するべきか。
「俺が所属する『戦団』の兵士だよ。別件で一緒に来てもらったんだ」
「へえ……あ、カインの幼なじみのリアムです。いつもカインがお世話になっております」
「ご丁寧にどうも。僕はヴェイル。元魔王軍の七魔将の一人にして、今はこの村のぐぼあっ!?」
「いや、こいつは魔族のコスプレ大好きな単なる一兵士だから。それじゃ、俺たち急ぐんで――」
俺はヴェイルを一撃で悶絶させ、そのまま引っ張っていった。
「???」
リアムは完全にハテナ顔で俺たちを見送っていた。
【読んでくださった方へのお願い】
面白かった、続きが読みたい、と感じた方はブックマークや評価で応援いただけると嬉しいです……!
評価の10ポイントはとても大きいのでぜひお願いします……!
評価の入れ方は、ページ下部にある『ポイントを入れて作者を応援しましょう!』のところにある
☆☆☆☆☆をポチっと押すことで
★★★★★になり評価されます!
未評価の方もお気軽に、ぜひよろしくお願いします~!




