6 除名処分
「あなたを『戦団』から除名することになったわ。カイン・ベルスト」
一週間後、俺はべリアム将軍に呼び出され、そう言い渡された。
彼女の後ろには数百人単位の兵が並んでいる。
まるで俺を威圧するように。
「除名……ですか?」
俺は眉をひそめる。
「リゼル教団からの申し入れがあったのよ。かの教団は我ら『戦団』の最大の出資者の一つ。上層部も無下にはできないわ」
と、べリアム。
「リゼル教団……?」
先日の、教団の神官であるトーマとのいざこざを思い出す。
奴は去り際に、俺のことを教団に報告すると言っていた。
その結果が、戦団への圧力と俺の除名勧告というわけか。
「待ってください。魔王軍残党との最終決戦が迫っています。今、俺がここを抜けるわけにはいかない」
「黙りなさい」
べリアムがいきなり剣を抜いた。
その切っ先を俺の前に突きつける。
「最終決戦が迫っているから、なおさらよ。魔族を滅ぼすための決戦で、味方の中に魔族を――あなたを引き入れるなど馬鹿げているわ」
「なっ……」
「とっとと消えなさい!」
べリアムがさらに剣を突きつける。
俺の喉に切っ先がわずかに触れた。
ツー……。
肌が裂け、血が流れだす。
「あら? 魔族でも血は赤いのね」
「な、何をやっているのですか、べリアム将軍!」
一人の女魔術師が走ってきた。
シリルだ。
「おやめください!」
「私はこの男に除名処分を申し渡しているだけ。引っ込んでもらおうかしら、シリル殿」
べリアムがフンと鼻を鳴らす。
「いいえ、退けません」
シリルは譲らない。
「カインは私たちの最大戦力です。しかも何度も人類を救った英雄ではありませんか」
「その英雄が実は魔族だった、と言っているのよ」
「何を馬鹿な――」
「リゼル教団からの申し出よ。彼は人類と敵対する存在になるかもしれない、と。少なくとも『戦団』の最終決戦のメンバーに加えるのは問題だと」
べリアムが告げる。
「突然、何を言い出すの!? カインをメンバーから外す? リゼル教団の言いなりになってどうするのよ!」
「口を慎みなさい! 魔王軍との最終決戦において指揮を執るのは私よ。逆らうなら、あなたも作戦から外すわ」
「……!」
シリルがべリアムをにらんだ。
べリアムもシリルをにらんでいる。
一触即発の空気だ――。
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