2 神官トーマ
「【ブレスエッジ】」
トーマがつぶやくと、構えたナイフに白色の光が宿った。
神の力を借りて邪悪な存在を切り裂く対魔族系の魔法だ。
「……ちっ」
俺は大きく跳び下がった。
「なぜ避けた?」
トーマが俺をにらんだ。
「この神聖魔法は邪悪な者だけを切り裂く。ただの人間が食らってもノーダメージなんだ」
……ああ、知ってる。
だから避けたんだ。
俺の体には魔族の要素が少なからず混じっている。
あれで斬られたら――ダメージを受けるからな。
「今の行動は、お前が魔族である証じゃないのか」
「いきなり斬りつけられて、反射的に避けただけだ」
俺はトーマを睨み返した。
「なら、次は避けるな」
「……!」
「俺がお前を斬る。もちろん殺さない程度に、だ。それで傷を受けなければ、お前は邪悪な者じゃない」
トーマの眼光は鋭くなる一方だった。
「もしお前が邪悪じゃなければ、俺は謝罪しよう。お前の好きなように処分してくれて構わない。だが、もし邪悪な者だと立証できれば――」
眼光が、最大限に鋭くなる。
「リゼル教団の総力を挙げてお前を討つよう、俺は上層部に進言する」
「っ……!」
俺は言葉を失った。
リゼル教団から狙われる――。
どうして、そんなことになるんだ?
俺はずっと世界を守るために戦ってきた。
俺の不注意で人類を滅ぼされて、もう一度過去からやり直すチャンスをもらって、そして魔王を倒して――。
ずっと、ずっと……人間のために戦ってきたんだ。
なのに、どうして今――俺は人類の敵みたいな扱いを受けようとしている……!?
そんなの、あまりにも理不尽じゃないか……!
「はいはい、そこまで」
ターニャが割って入った。
「確かに彼には魔の力が宿っている」
「えっ」
いきなりストレートに明かすとは思わず、俺は驚いて彼女を見つめた。
「だけど、たとえ魔に起因する力でも、それを善なる目的のために使えば――聖なる力と変わらない」
「戯言を! こいつは人の姿をしただけの魔族だ!」
トーマが叫んだ。
人の姿をしただけの魔族――。
奴の言葉に、俺は絶句する。
確かに、そうなのかもしれない。
俺の体は人と魔族が交じり合ったもの。
『一周目の世界』において、人間のままでは聖剣を振るうことはできなかった。
勇者でもなんでもない『ただの人間』の体では、聖剣の力に耐えられなかったのだ。
だから俺は魔族と融合することを選んだ。
「ルルファリア教団の考えがどうであろうと、俺たちは――正義の教団としてこいつを討つ!」
トーマが右手を掲げる。
「来い――【天使兵器】!」
同時に彼の背後の空間がぐにゃりと歪む。
ずおおおおお……!
その向こうから巨大なシルエットが出現した。
全長10メートルほどの白い神像――。
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