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魔王よりも強い【荷物持ち】は滅亡した世界から過去に戻り、『二周目の世界』を圧倒的な強さで無双する。  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第8章 黒の魔剣士

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1 預言書と黒の魔剣士

「預言書にある……お前が『黒の魔剣士』だ。間違いないな」


 トーマは俺を憎々しげににらんでいた。


「我らリゼル教団はお前を世界への反逆者と認定する――」

「な、なにを言って……!?」


 俺は戸惑った。


 リゼル教団といえば、ターニャが所属する『ルルファリア教団』と勢力を二分する世界最大の教団だ。


 そんな彼らが俺を『世界への反逆者』として認定……?


 しかも俺のことを『黒の魔剣士』とかいう仰々しい二つ名で呼んでるし。


「ちょっと待って。それは聞き捨てならない」


 ターニャが割って入った。


「彼は一年前に魔王を討ち、世界を救った。さらに魔王軍の残党とも精力的に戦い、これを殲滅する日々を送っている……そんな彼をして『悪しき存在』とは?」


 凛とした口調で問い詰めるターニャ。


「っ……!」


 さすが最高司祭だけあって、トーマも気圧されているようだ。

 だが、トーマもキッとした顔で反論してきた。


「我らとて、先ごろまでは彼を世界の英雄であり救世主だと感じておりました。ですがその認識が間違いであったことを――我らが神は示されたのです。二日ほど前に」

「二日前に神託でも降りたっていうの?」

「左様です、ターニャ様」


 トーマがうなずいた。


「その神託の内容は――要約すると『カイン・ベルストこそいずれ世界に災いをもたらす『黒の魔剣士』――教団の預言書に記された絶対悪に他ならない』というものでした」

「俺が世界に災いを……?」


 思わず目を丸くした。




 いや――一つ、心当たりがある。




 心象世界でシャドウから明かされた事実。


『魔の力』が抑えきれなくなった時、俺は新たな魔王として降臨するかもしれない、と。


「その顔……心当たりがありそうだな」


 トーマが表情を険しくした。


「たとえ、お前に魔王を超える力があるのだとしても、俺たちはお前を討つ。この命を引き換えにしてでも、な」


 じゃきん、と腰のナイフを抜くトーマ。


 他の神官たちも同じくナイフを抜き、構えた。


 完全に戦闘態勢だ。


 リゼル教団の連中は、誰もが殺気に満ちていた。


 こいつら、俺を殺す気だ――。


「このルルファリア神殿内で、しかも世界を救った英雄カインに戦いを仕掛けるっていうんだね? なら、あたしも最高司祭として君たちを容赦するわけにはいかなくなる」


 ターニャがトーマを見つめた。


「あたしはカインを信じてるぞ」

「……つまりルルファリア教団は、その男に付くと?」

「根拠なしにカインと敵対する気はない、って言ってるんだ」


 トーマがうめくと、ターニャはピシャリと言い放った。


「あなたの判断が間違っていることをお教えしましょう。今、この場で――この私が!」


 言うなり、トーマが俺に向かって突進した。


 ナイフを腰だめに構えて――。


 こいつ……!?

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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