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3 魔王軍の侵攻が始まる

「えっ? えっ?」


 リアムの方は事態について行けないのか、ポカンとして俺と魔族を交互に見ている。


「くくく、喜べ人間よ。この世界は間もなく魔王様のものとなる!」


 魔族が叫ぶ。


「やはり、魔王軍の侵攻か……」


 予想より少し早い――?


 戸惑いつつも、俺はすぐにリアムを見つめ、


「逃げろ、リアム」

「で、でも、あんな怪物……カイン一人で戦うつもりなの?」

「……いや、違う」


 俺は魔族を見据えた。


 ぶんっ!


 右手を軽く一振り。

 吹き荒れた衝撃波が魔族をズタズタに引き裂き、消滅させる。


「殺すつもりだ――って、もう殺したけど」


 よし、やっぱり俺の戦闘能力は失われていない。

 俺はさらにもう一発、衝撃波を放って二人目を引き裂いた。


「ば、馬鹿な! ただの村人が、こんな力を――」


 うろたえる残り一体を、俺は拳一発で粉砕した。




「ち、ちょっと、どうなってるの……!?」


 リアムは呆然としていた。


「なんで、カインがそんなに強いの……っていうか、さっきの化け物たちは何? 魔族って言ってなかった? それっておとぎ話に出てくる、あの魔族――」

「もう少し落ち着いてくれ、リアム。あと質問多すぎだ」

「ぜいはあ、ぜいはあ」


 リアムは呼吸を整えているようだ。


「ち、ちょっと、どうなってるの!? なんでカインがそんなに強いの!?」

「いや、それさっきの繰り返しだろ」

「だって、あんまりびっくりしたから……」


 リアムは言いながら、まだ呆然とした顔だ。


 一周目の世界だったら、今ごろ彼女は食い殺されていたのかな……。

 助けることができて、本当によかった。


 ――と、感慨にふけるのは後にしよう。

 魔族の尖兵が村にやって来たということは、おそらく本隊もそう遠くない場所にいるはず。


「リアムはここで待っていてくれ」


 俺は彼女に言った。


「俺は奴らの本隊を叩きに行く」


 そう、ぐずぐずしていたら、俺が魔族を倒したことを本隊に知られてしまうだろう。

 そうなれば、奴らはここに増援を送ってくるかもしれない。


 そうなる前に――。

 村が危険にさらされる前に、俺が奴らを滅ぼす。


 一匹残らず、殺す――。


「えっ? えっ?」

「大丈夫だ。村のみんなは――いや、もっといろんな人たちを、俺が全部護る」


 そう、そのために俺は過去に戻ったんだ。


 ――とはいえ、俺が離れている間に別の魔族が村を襲う可能性もあるな。


「番人を置いておくか」


 俺は魔族たちの死体に向かって手をかざした。


「【作成・死者兵】」


 呪術系の魔法だった。


 おおおおお……っ。


 俺が放った魔力を受けて三体の魔族がゆっくりと起き上がる。

 俺が引き裂いたり砕いたりした体も同時に再生しておいた。


「ひ、ひいっ……」

「心配するな。こいつらはただの死体だ。俺が制御している」


 おびえるリアムに説明する。


「し、心配するなって言われても、めちゃくちゃ怖いんだけど――」

「見た目の怖さにまで気を遣える状況じゃない。我慢してくれ」


 俺は苦笑交じりに言った。


「俺が魔族の本隊を倒しに行っている間は、こいつらに村を守らせる。できるだけ早く戻ってくるから、それまでリアムは念のために家の中にいてくれ。危険を感じたら、他の人たちと一緒にすぐ逃げろ!」


 言うなり、俺は飛び上がった。


「【飛翔翼(スカイウイング)】!」


 飛行魔法を発動し、空を翔けていく。


 目指すは、ここら一帯への魔王軍の侵攻部隊だ。

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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