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魔王よりも強い【荷物持ち】は滅亡した世界から過去に戻り、『二周目の世界』を圧倒的な強さで無双する。  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第7章 一年後、切り開いた未来

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10 運命を変えるために


「で、俺が現れた理由だが――お前に一つ伝えたいことがあってな」

「伝えたいこと?」

「お前の中の『魔族の力』が増大していることは今伝えたよな。で、それに関連してもう一つ――あの『塔』のことを教える必要がある」

「塔?」


 ここからはるか遠い先に一本の塔が立っている。


 雲間にまで届く長大な塔だ。

 以前、この世界に来たときと塔の様子は変わらない。


「あれは、封印装置なんだ」


 シャドウが言った。


「封印?」

「『一周目の世界』において、お前は聖剣と魔族の力――つまり聖と魔の力を両方使って戦っていた。だからバランスが取れていた。だが今、お前からは聖剣が失われている」


 シャドウが語る。


「お前は魔の力だけで戦っている。するとどうなるか分かるか?」


 俺は黙って奴の次の言葉を待つ。

 心臓の鼓動がさらに跳ね上がった。


「お前はこのままでは魔の力に乗っ取られる。そして――やがては完全な魔族になるだろう」

「何……!?」

「そう、かつての魔王を超える存在――いや、お前こそが新たな魔王になるんだ」


 シャドウの説明に、俺はとっさに言葉を返せなかった。

 今や心臓は痛いほどに早鐘を打っていた。


「俺が……新たな魔王に……!?」


 突然聞かされた衝撃的な話に、俺は呆然と立ち尽くしていた。


「……それがさっき言った『俺がお前になる』という話につながるのか」

「ご名答」


 シャドウは嬉しそうだ。


「まあ、悲観するな。それを止める方法もちゃんとあるさ」


 シャドウが笑う。


「俺はそれを伝えるために、わざわざここまで主を呼び出したんだからな」

「シャドウ……」

「さっき言ったように、もともとお前は聖剣の『聖なる力』と魔族の『魔の力』の両方でバランスを取り、戦ってきた。で、聖剣が失われてバランスが崩れた……なら、それを取り戻す方法は一つだ」


 シャドウの笑みが消えた。

 真剣な表情で俺を見つめる。


「その方法とは――」




 そこで突然、景色が切り替わった。




「えっ……!?」


 気が付けば、俺は元の部屋の中にいた。


「肝心なことを聞けなかったな……」


 俺はため息をつく。


 あらためて、奴から言われた言葉を反芻した。


「俺は――」


 グッと拳を握り締める。


「シャドウ、お前にこの体は明け渡さない。そうだ、俺は」


 魔王になんて、ならない。




 夜になり、俺は宴の会場にいた。


 アリシアに用意してもらった黒い正装姿である。

 会場内には各国のお偉いさんが集結していた。


 その中には、もちろんアリシアの姿もあった。

 今日は赤いドレス姿で、一段と美しい――。


「カイン様!」


 俺に気づいたアリシアが駆け寄ってくる。


「色々と用立てていただき、ありがとうございました」


 俺は正装を用意してもらった礼を言った。


「いえ、こちらが突然お誘いしたので……その、お似合いですよ」


 アリシアが微笑んだ。


「アリシア様もお美しい」


 同じく微笑む俺。


「まあ……」


 たちまちアリシアの顔が真っ赤になった。


 こういう台詞は――社交辞令を含め――言われ慣れてると思うけど、そうでもないのかな?


「カイン様に言っていただけると嬉しいです。あたし」

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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