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魔王よりも強い【荷物持ち】は滅亡した世界から過去に戻り、『二周目の世界』を圧倒的な強さで無双する。  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第7章 一年後、切り開いた未来

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9 ふたたび白の世界へ

 気が付けば、見渡す限り純白の世界にいた。


「ここは……!?」


 一度、来たことがある。


 俺の心象の世界。


 そう、あれは一年前――。

 俺はここで自分の中の『魔族の力』の象徴ともいえる存在に出会った。


 シャドウ、と名乗ったそいつとの戦いを経て、俺は『魔族の力』を完全にコントロールできるようになり、今までの数倍の魔力を得られたわけだが――。


「ひさしぶりだな、主よ」


 俺の前に一人の人物が出現する。

 俺そっくりの顔を持ち、角や翼を備えた魔族然とした姿――。


「シャドウか」

「魔王を倒し、その残党を討ち続け、すっかり世界の英雄じゃないか」


 シャドウがニヤニヤと笑う。


「俺も鼻が高いよ」

「……なんの用だ」


 俺は警戒心を強めていた。


 ここ一年、奴が現れたことはなかった。

 あのときの戦いで、奴は俺の中に取り込まれ――完全に俺と一体化したのかと思っていた。


 それが今ごろ、なぜ――。


「お前の中の『魔族の力』が増大している」


 シャドウが言った。


「見ろ」


 空の一角を指さす。


「っ……!?」


 かつては空の一部に黒い染みのようなものが広がっていたが、今は様相が変わっている。


「空が……」


 俺は呆然とうめいた。


 空の二割ほどが黒く染まっている……!?


「前に言ったよな? あの『黒』が、この『白』の世界を埋め尽くしたとき、お前は完全な魔族になる」


 シャドウが爛々と光る目で俺を見つめた。




「すなわち、お前は俺になるということだ」




 どくん、と心臓の鼓動が跳ね上がる。


 自分が自分でなくなるような錯覚で全身に強烈な悪寒が走った。


 違う。


 俺は、俺だ。

 他の何物にもなりはしない――。


 そう言い聞かせながら。


「お前は――何者なんだ、シャドウ」


 俺はあらためてたずねた。


 こいつが、俺の中にある『魔族の力』の精髄であることは以前に聞いた。

 じゃあ、こいつは本当に『もう一人の俺』というべき存在なのか?

 それとも――。


 俺の中にはもう一つの想像があった。


 こいつは『もう一人の俺』なんかじゃなく……。


「俺と融合した高位魔族……その魂」

「ほう? 少し違うが、まあ遠からずといったところだ」


 シャドウが笑う。


「俺が『お前』だということも間違いではない。ただ俺の本質はあくまでも魔族――かつて『一周目の世界』でお前と融合した高位魔族の残留思念さ」

「俺を乗っ取ることが目的なのか?」

「そうできりゃ最高だが」


 シャドウがまた笑った。


「第一の目的は、お前に生きてもらうこと。この体は俺にとっても大切だからな。俺が存続するためには、お前に無事でいてもらわなきゃならない」

「一蓮托生ということか」

「そういうことだ。だから、これからもよろしく頼むぜ、相棒。くはははは!」


 シャドウは愉快そうだった。


 だけど、その笑顔は信用ならない。


 どこまで信用していいのか分からない――。

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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