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魔王よりも強い【荷物持ち】は滅亡した世界から過去に戻り、『二周目の世界』を圧倒的な強さで無双する。  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第7章 一年後、切り開いた未来

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8 アリシア姫

 アリシアの周囲には護衛の兵士や数名の大臣もいた。


「おお、カイン様」

「ご活躍ぶり、聞いておりますぞ」

「魔王を討ち、その残党もことごとく討ち、あなたのおかげで世界に平和がもたらされております」

「我らの軍も幾度救われたことか……」

「あなたこそ、まさしく稀代の英雄――」


 大臣たちが笑顔で俺に一礼する。


「私ごときに過分なお言葉、恐れ入ります」


 俺もかしこまった言葉遣いで答礼した。


 国のお偉いさんたちが、俺にこぞって頭を下げてくると、こっちも恐縮してしまう。


『一周目の世界』では俺はただの荷物持ちだった。

 その後、勇者以上の力を得て魔王軍と戦ったけど、そのときには世界の大半は魔王軍に支配されたり、滅ぼされていたし、こんなふうに感謝される機会はほとんどなかったからな……。


 だけど、この『二周目』では世界への被害は最小限で済み、今では大半の国が平和を享受している。


 もちろん魔王軍の脅威が完全に去ったわけじゃないけど、残党たちは俺やガードナーたちで片っ端から討伐しているから、世界にとって大きな脅威にはなっていない。


「世界の主要国で定例会議が行われているのはご存じですよね。今回はこの都市で行われておりまして――」


 アリシアが俺に言った。


「会議の後には宴が催されます。どうでしょう? よろしければ、カイン様もご参加いただけませんか? 私たち各国の元首から、ぜひ感謝の意を表したく」


 と、微笑む。


 やっぱり――可憐だ。

 その笑顔には思わず見とれてしまう。


 もちろん、今のアリシアは俺の手の届くような女性ではないけれど。

 彼女への想いは、ずっと変わらない。


「あ、急にこんなお誘いをしてしまって……申し訳ありません。ただ、あたしもカイン様が来て下さったら嬉しいというか、えっと……」


 アリシアが照れたように頬を赤らめた。

 そう、照れ屋なところは『一周目』と変わらない。


「アリシア様からのお誘いが嬉しくないはずはありません。もちろん伺います」


 彼女の態度を微笑ましく思いながら、俺も微笑みを返した。


「ただ、戦闘用の格好で参るわけにもいきませんし、正装の用意に少し時間をいただければと……」

「も、もちろんです! あの、身の回りのものなどは、よろしければ我が国の方で手配させますので! カイン様はそのままお越しいただいて結構です! 来ていただけるだけで、みんな喜びますので! 特にあたしが!」


 めちゃくちゃ前のめりになってアリシアがまくしたてた。


「お、おう……」


 思わず『一周目』のときみたいな態度を取ってしまった。


「カイン様?」

「……失礼いたしました。では、宴の時間までに伺います」

「ふふ、楽しみにしていますね」


 嬉しそうにするアリシアの笑顔は、どこまでも可憐だった。


 俺もテンションが上がってきた――。




「宴かぁ」


 俺は宿屋に行き、顔がにやけるのを抑えられなかった。


 一直線に故郷に戻るつもりが、少し寄り道になってしまったけど、アリシアのいるパーティに出られるのは素直に嬉しかった。


 身分違いで、結ばれない恋だろうけど――『一周目』のときの想いは、今もくすぶっている。




「――ふん、すっかり英雄様だな」




 突然、声がした。


「えっ……!?」


 次の瞬間、俺は――見渡す限り純白の世界にいた。

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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