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魔王よりも強い【荷物持ち】は滅亡した世界から過去に戻り、『二周目の世界』を圧倒的な強さで無双する。  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第6章 二度目の最終決戦

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15 そして、世界に平和が訪れる


 魔王との、そしてアベルとの戦いから一週間が過ぎていた。


 この一週間は目まぐるしかった。

 世界を救った英雄として各国に招かれ、連日のパーティ。

 もちろんアリシアとも色々と話すことができた。


 正直、彼女を見ていると、想いがあふれそうになる。

『一周目の世界』では恋人同士だったからな。


 とはいえ、この世界のアリシアは『一周目』のように国を滅ぼされて、レジスタンスの剣士になったりはしていない。

 当然、王女としての生活を送っている。


 俺とは住む世界が違う――。


「寂しそうだね、カイン」


 シリルが声をかけてきた。

 彼女もあの戦いで各国のお偉方を超魔族の手から救った功績で、俺と同じく英雄として称えられていた。


 他にクレインやターニャ、ガードナーも同じだ。


「平和っていいなぁ、って思ってさ」

「そうだね。もう戦わなくていいなんて嘘みたい」


 シリルが微笑む。


「まあ、魔王軍の残党が各地に潜んでいるみたいだから、これを倒すためにまだまだ戦闘に長けた人間は必要だ。もうひと踏ん張り、ってところかな」


 俺は気を引き締めた。


 それから右腕に視線を向ける。

 黒い甲冑に覆われた右腕。


 それは魔法技術によって造り出された義手だった。

 アベルに斬り落とされた右腕は結局、再生できなかったのだ。


 といっても、この義手は以前の腕と変わりなく動くし、日常生活においては不便を感じていない。

 戦闘になると、壊さないように戦い方に工夫が必要だが――。


「カイン様、シリル様、こちらにいらっしゃいましたか!」


 一人の兵士が走ってきた。


 胸元に月の紋章が刻まれた黒い鎧を着ている。

『戦団』の兵士のようだ。


 連合王国戦団。


 通称を『戦団』。


 それは魔王軍の残党を倒すため、各国が手を取り合い、設立した世界組織的な軍である。


 俺やシリル、クレイン、ターニャ、そしてガードナーはここに所属し、魔王軍の残党を日々戦っているのだった。


「新たな魔王軍残党がディルム公国を攻めている模様――ご助力願います」

「分かった。すぐに向かう」

「私も一緒に」


 と俺を見つめるシリン。


「じゃあ、行くか。魔王軍を打ち滅ぼす日まで――」

「そうだね」


 俺たちは歩き始めた。


「ねえ、カイン」

「ん?」

「魔王軍が地上からいなくなったら……その後、カインはどうするの?」

「んー、そうだな……」


 俺は思案する。


 完全に平和な世界が訪れた後、俺がしたいことは――。


    ※


 彼らは、世界を憂いていた。


「カイン・ベルスト?」

「はい、魔王を討ち滅ぼした――まさに真の勇者といえる存在です」

「しかし、この反応……あまりにも禍々しすぎる」

「一説によれば、魔王すら超えるほどの魔力を持っているとか」

「あるいは、彼こそが新たな魔王という可能性も」

「魔王の脅威が去っても、まだまだ世界平和というわけにはいかんか」

「むしろ、これから先が真の世界の危機という可能性もありますな……」


 彼らはただ、世界を憂いていた。


 そして、彼らの憂いが現実のものになるのは――。


 それから一年後のこととなる。

※次回から新章になります。二週間ほどお休みをいただき、12月1日から再開予定です<m(__)m>



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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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