14 アベルの末路、そして
「【異空間創生】」
魔法を発動しながら、俺は魔力剣を振り下ろした。
ずずず……っ。
空間が切り裂かれ、その奥に血のように赤い異空間が見えた。
「これがお前の檻になり、棺になる」
「なんだと……!?」
「お前をその状態で異空間に封印する。これ以上、もう何もできないように」
俺はアベルを見つめた。
「ここは時間の流れが外界とは比べ物にならないほど遅い。お前は何万年か、何億年か、あるいはもっと……永遠に近い時間を、ここで過ごすんだ。そして祈れ」
俺はかつての親友に言った。
「世界の平和を祈り続けろ。人々の幸せを祈り続けろ。お前が殺し、壊してしまった無数の幸せに懺悔し続けろ。この先、何十年も、何百年も、何千年も、何万年も――」
「い、嫌だ――」
アベルの顔が青ざめた。
「そんな場所に永遠に閉じこめられるのは嫌だ……! だいたい、この状態だと痛みがひどい……せめて手当を――」
「甘えるな。その痛みも、お前は永遠に背負っていくんだ」
俺の言葉とともに、アベルの生首が浮かび上がる。
異空間にゆっくりと引き寄せられていく。
「嫌だ……嫌だぁぁぁぁ……っ」
アベルは涙を流していた。
鼻水や涎も流し、秀麗な顔はみっともなくグシャグシャになっていた。
「これがお前の末路だ、アベル」
俺は奴を見つめた。
異空間に引き寄せられ、やがて奴の生首がその中に吸い込まれていく。
同時に、空間の裂け目がゆっくり閉じていった。
「嫌だぁぁぁぁぁっ、助けてぇぇぇぇぇ――」
声は、唐突に途切れる。
空間が完全に閉じたのだ。
「終わった――」
アベルは永遠に封印され、これからはせめて自分の犯した罪と向き合い、懺悔を続けてほしい。
そして、いずれは世界のために祈れるようになってほしい――。
それが俺の願いだった。
仲間たちや人類すべての無念を晴らすために、奴を殺すことだけを考えた時期もあった。
けれど、最終的には俺はこの結論に落ち着いた。
一瞬の死よりも、絶望と苦痛の果てに、人を想う心を取り戻す――そのための、永遠に近い旅路を。
俺はアベルに贈ったんだ。
――その後、俺は神殿周辺で暴れる超魔族の討伐を行った。
俺やガードナーがアベルと戦っていた間、シリルやクレイン、ターニャが中心となって、その場の騎士や魔術師たちをまとめあげ、超魔族に対抗していた。
おかげでお偉いさん方の死者はゼロ。
軽傷者が何人かいた程度だ。
俺とガードナーもすぐに戦線に加わり、超魔族たちを殲滅していった。
やがて超魔族たちは突然苦しみ出し、体が崩壊していき、一人残らず絶命した。
アベルが言っていた通り、強化に体がもたなかったんだろう。
かくして、魔王軍との戦いは『魔王を討つ』という大戦果を挙げ、いったん終結したのだった。
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