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魔王よりも強い【荷物持ち】は滅亡した世界から過去に戻り、『二周目の世界』を圧倒的な強さで無双する。  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第6章 二度目の最終決戦

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10 カインとアベル、最後の対峙4


「っ……!?」


 地面に降りた瞬間、俺は信じられないものを見た。


 うかつ、だった。


 俺の戦闘能力はアベルよりも上だと判断し、心のどこかに油断が生じていたのか。


「アリシア……!」


 アベルの足元から黒い魔力のロープが伸び、その先に一人の女を拘束していた。


「くくく、形勢逆転だ」


 勝ち誇るカイン。


 どうやら今の一連の行動は俺から逃げるためではなく、アリシアを捕らえて人質にするためだったらしい。

 たぶん空中を飛びながら、魔力のロープを伸ばしてアリシアを探したんだろう。


 そして俺がここに来るまでに彼女を捕らえ、拘束した――。


「知っているぞ……お前にとって弱点はこの女だ」


 アベルはニヤリと笑った。


「くっ、離しなさい――」


 アリシアがもがく。


「うるさい」


 アベルの目が妖しい光を放つ。


「がっ……!?」


 アリシアの体がビクンと震えた。


「魔剣の力を使って【麻痺】【毒】そして【痛み】を同時にかけてある。お前が少しでも抵抗するなら、これを強めて殺すからな」

「が……は……あぁ……」


 アリシアは目を見開き、口から涎をこぼして苦悶の表情を浮かべていた。


「やめろ!」

「お前が抵抗しないならな」


 アベルが魔剣を掲げる。


「武装を解け」

「……分かった」


 俺は魔力剣を解除し、手にした鉄の剣も放り捨てた。


 チラリと周囲に視線を向けるが、大量召喚された魔族を前にシリルたちは手こずっている様子だ。

 すぐに俺のところまで加勢に来るのは無理だろう。



 ここは――俺がなんとかするしかない。


「アリシア――」


 俺は彼女に視線を向けた。


 すでに意識もうろうとしているのか、返答はない。

 俺は構わず言葉と継いだ。


「必ず助ける」


『一周目の世界』では助けられなかった君を。

 この世界では立場が違いすぎるし、彼女と結ばれることはないかもしれないけど――。


 でも、構わない。


 アリシアが生きていてくれるだけで。


 だから、絶対に助ける……!




 ざんっ!




「ぐっ……ああああああああああああああああっ……」


 俺の右腕に熱い衝撃が走った。

 見れば、肘から先が消し飛んでいる。


「まず一本」


 アベルが笑った。


 血に濡れた魔剣がその側に浮かんでいた。

 両腕を失っても、魔力で遠隔操作して魔剣を操れる、ということか……。


「このまま腕も足も全部もいでやるからな」


 抵抗すれば、アリシアが殺される。

 このまま無抵抗に、奴に切り刻まれるしかないのか。


「絶体絶命、ってやつだな」

「……何を落ち着き払っている」


 アベルが不快そうに吐き捨てた。


「お前はこれから俺に斬り殺されるんだぞ。できるだけ苦痛が長く続くように、少しずつ少しずつ……お前の肉と骨と皮を斬って斬って斬って斬って斬って斬って……くくく、楽しみだ」

「そうか」


 俺はアベルを冷ややかに見つめた。


「でも、お前にとって楽しい事態にはならないようだ」

「あ?」


 アベルが俺をにらむ。


 何を言っているのか分からない、という顔。

 あるいは俺が捨て台詞を言っているとでも思ったのか。

 次の瞬間、




 どんっ……!




「が……は……」


 アベルが口からゴボリと血の塊を噴き出した。


「な、なん……で……」


 呆然と背後を振り返る。

 そこには――、


「油断したな」


 ガードナーが立っていた。

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


― 新着の感想 ―
[良い点] 良かった…!ガードナーが裏切る展開じゃなくて……!!
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