9 六魔将VS荷物持ち
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「まず俺が行く。お前たちは流れ弾が飛んできたときに、みんなを守ってくれ」
俺はシリルたちにそう言うと、飛行魔法を使い、空高く飛び上がった。
六人の魔将たちと空中で対峙する。
「お、ここまで飛んできたか」
魔将たちはニヤニヤ笑いながら俺を見ていた。
相手の力量を理解できないのか、それとも――?
「魔将六人を相手に、たった一人で戦う気か?」
「舐められたものですねぇ」
「言っておくけど、あたしら……強いよ?」
「うん、強い強い……強い?」
「いや、なんで疑問形なんだよ。そこは言いきれよ」
「だって、向こうの方が強そうじゃない?」
「ど、どうってことねーよ!」
魔将たちは口々に言い合っている。
……こいつら、あいかわらず一枚岩とは程遠いな。
俺は少し呆れてしまった。
「そろそろいいか?」
剣を抜く俺。
「宣言通りだ。瞬殺してやる」
「舐めるなぁ!」
怒号を上げて、六人の魔将がいっせいに魔法弾を撃ってきた。
「何か策があるかと思っていちおう警戒したけど――単なる力押しか」
まあ、それも当然だろう。
基本的に彼らは未来に起きる出来事を知らない。
俺が、どれだけの強さを持っているかを知らない。
だから『たかが人間』と見下し、雑な戦法で攻撃してくるんだ。
「だが、残念だったな」
俺は一気に魔力を増幅した。
魔族の肉体ならではの、高速魔力発動。
さらに詠唱破棄。
そして同時多重魔法起動。
「【ファランクス】!」
【貫通】と【追尾】を同時に付与した魔法弾を、ありったけの魔力を込めて放つ。
その数は、優に数百発。
奴らの魔法弾をすべて消し飛ばしながら、さらに突き進んでいく。
「なあっ……!?」
六魔将の驚きの声を飲みこみ、
どー……んっ!
全員が魔法弾に撃ち抜かれ、絶命した。
瞬殺、完了。
「よし、あとは魔王だけだ――」
俺は周囲に神経を巡らせる。
奴を倒し、この世界を平和にするんだ。
滅亡させてしまった『一周目の世界』の分まで。
俺が、この手で魔王を倒して――。
「魔将が全滅するとは……何者だ、貴様」
ずずず……。
空中に新たな『線』――異空間通路の出入り口が現れた。
そして、そこから黒いシルエットが出現する。
「来たか……」
魔王。
さあ、お前を倒してすべてに決着をつけてやるぞ――!
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