7 前衛
「【魔力増幅】」
俺は全身の魔力を高め始めた。
先ほどは速度重視の『詠唱破棄』で魔法を使ったが、あれはどうしても威力が落ちる。
目の前の敵を倒すには速度よりも威力重視だ。
「おおおおおおおおおおおおおお……!」
徐々に、徐々に。
俺の体中の魔力が高ぶり、オーラとなってあふれ出る。
ターニャの神殿で魔力を回復してもらったおかげで、俺の魔力は『一周目の世界』以上に高まっている。
問題は、この【魔力増幅】には一定の時間が必要だということ。
その前に攻撃されたら無力だ。
魔力を溜め終えるまで、時間を稼ぐ必要がある――。
「それって魔力ブースト系の術でしょう? なら、時間稼ぎは私たちがやるわ」
シリルが言った。
「要はあいつを足止めすればいいんだな?」
と、ガードナー。
「仕方ない、今回の締めは君に譲ろう。私たちの攻撃では、あのデカブツを倒すのに時間がかかりそうだ」
と、これはクレイン。
どうやら三人がサイクロプスを引き付けようとしてくれているらしい。
「みんな……」
まるで『一周目の世界』の勇者パーティと一緒にいるような感覚だった。
この瞬間、俺たちはまさしく『仲間』だった。
「じゃあ、頼むよ。魔力が溜まったら、俺が奴を撃つ」
魔力増幅30パーセント――。
魔力を溜めつつ、俺は前方で繰り広げられている戦いを見据える。
サイクロプスVS『勇者パーティ』の戦いを。
ガードナーが素早い動きでサイクロプスの注意を引きつけ、シリルとクレインが牽制の攻撃魔法を放つ。
サイクロプスは反撃するが、三人は連携してその攻撃を防ぎ、あるいは避け、決定打を与えない。
さすがに、戦い方が上手い。
今後も頼もしい味方になってくれそうだった。
「よし、そろそろ行くか」
魔力増幅70パーセント――。
これくらいまでブーストすれば十分だろう。
「離れてろ! 今から撃つ!」
俺は三人に呼びかけた。
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