5 荷物持ち無双、ふたたび1
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!
次の瞬間、上空から鬨の声が聞こえてきた。
「あれは――!」
空の一角に、真一文字に走る『線』がある。
ずるり……。
その線に沿って、空の一部が上下に裂けた。
向こう側には赤黒い空間が見える。
魔界――。
魔族の、世界。
そう、あの『線』は間違いなく――。
「この世界と魔界をつなぐ『通路』か……!」
俺はうなった。
そこから数百単位の魔族が降ってきた。
飛行魔法で空中を駆けまわりながら、魔法弾の雨を降らせる。
この場にいる者全員に対する無差別爆撃――。
「【シールド】!」
俺はできるだけ広範囲魔力障壁を生み出し、魔法弾を防ぐ。
とはいえ、この場にいる人間は数百単位だ。
その全員を守り切れる範囲での魔力障壁は、さすがに作れない。
俺が作った【シールド】の範囲外にも、魔法弾が降り注ぎ――、
「【シールド】!」
魔術師のシリルと僧侶のターニャの声が唱和した。
二人が生み出した魔力障壁が、俺の魔力障壁ではカバーできない地点に張り巡らされ、魔族の魔法弾を跳ね返す。
「なんとか、被害は食い止められたか……」
今の攻撃での死傷者はいないようだ。
とはいえ、これで終わりじゃない。
すぐに『第二波』が来るはずだった。
「その前に薙ぎ払う――」
俺は前に進み出た。
広範囲爆裂系の魔法で、空中の魔族をできるだけ倒すしかない。
俺は魔力を集中し始めた。
手持ちの呪文の中で、最速で発動し、なおかつ可能な限り多数の敵を巻き込んで殺傷するタイプのものを選ぶ。
奴らに先に撃たれてはならない。
もし撃たれたら――今度こそ、多くの死傷者が出るだろう。
詠唱破棄。
短縮呪文発動。
また詠唱破棄。
同時多重魔法起動。
いくつものショートカットを経て、俺の魔法は完成する。
奴らの魔力弾の第二波は――まだ完成していない。
俺の方が、速い――!
「吹き飛べ……!」
ヴンッ!
俺の周囲に無数の光球が出現した。
【貫通】と【追尾】を併せ持った魔力散弾だ。
しゅごごごごごごごごごごごごっ……!
次の瞬間、俺は数百の魔力散弾を一斉に放った。
「馬鹿な!? 発動が速すぎる!?」
「ぐ、ぐわぁぁぁぁぁっ……」
大勢の魔族の驚愕と悲鳴を巻き込み、俺の魔力散弾は空中で連鎖的な爆発を起こした。
そして爆発が張れると、生き残った魔族は十数体だけだった。
「よし……!」
グッと拳を握り締める。
奴らに大打撃を与えることができた。
あとは、残る十数体を狩って、この戦いを終わらせてやる――。
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