1 勇者選定
この地で勇者が選ばれる――。
その数日前から、ここではお祭りが開かれていた。
先の戦いで俺が魔族の前線基地を落としたことに加えて、勇者が間もなく選ばれるとあって、人々の気持ちは上向きだ。
『一周目』の世界とは、大きく違う。
世界に希望があふれている感じだった。
と、シリルとクレインが並んで近づいて来た。
「カイン、来たのね」
「シリル……」
彼女は、なぜかモジモジしている。
どうしたんだ……?
「やだ……照れちゃう……」
「えっ」
「ううう、恥ずかしいよう……」
はにかんでいるような様子のシリル。
隣でクレインがクスクスと笑っていた。
「ふふ、カインに会いたいと先日から何度も言っていたからな、君は」
「ち、ちょっと、何言うのよ!?」
シリルは顔を真っ赤にした。
そのとき、視界の端に――一人の少女が歩いてくるのが見えた。
赤い髪をツインテールにした絶世の美少女で、純白のドレス姿だ。
左右に何人もお付きの者を従えている。
「君は――」
俺は息を飲んだ。
それ以上、言葉が出てこない。
「アリシア……!」
『一周目の世界』における、俺の恋人。
魔族によって無残に殺された女性。
だけど、この『二周目の世界』では、彼女は生存しているんだ。
生きて、いるんだ――!
そのつぶやきが聞こえたのか、彼女が俺の方を見る。
「? どこかでお会いしたかしら」
彼女は首をかしげた。
それはそうだろう。
この『二周目の世界』では、俺と彼女は初対面なんだから。
そもそも、本来ならこうして出会えるような相手じゃない。
なぜなら俺とアリシアはもともとの身分が――、
「貴様、姫に向かって!」
従者らしき女が血相を変えた。
「よい、サレナ」
アリシアが片手を上げて制する。
『一周目の世界』では見たことがない、王女としての態度。
そう、彼女は王女だったんだ――。
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