11 魔剣
「魔剣……リヴァ―ル」
カオスがささやくように告げる。
「ついに……手に入れた、ね……」
その体が光の粒子となって消えていく。
無数の粒子は、魔剣リヴァ―ルと呼ばれた剣の刀身に吸い込まれていった。
「君の……新たな力……その象徴となる……剣だ」
「魔剣……リヴァ―ル」
アベルは黒い剣の名を呼び、握り締める。
「勇者として振るっていた……『白き力』は失われた……だけど、今……君の中には新たな――『黒き力』が宿った……それを……どう使うかは……君……次第……」
剣から、カオスの声が響く。
いや、もしかしたら――。
もともとカオスとは、この剣に宿る意志のようなものだったのかもしれない。
それが人の姿を取って、アベルの前に現れたのかもしれない。
「ありがたく使わせてもらう……」
アベルはニヤリと笑った。
「聖剣よりも魔剣の方が、今の俺にはふさわしいな……くくく」
「――ここは」
気が付けば牢の中だった。
看守に受けた頭部の傷は塞がっている。
カオスとの戦いの傷もダメージも、何もない。
それどころか、全身から力があふれてくるようだった。
手には、黒い剣。
「夢じゃない――俺は、新たな力を得たんだ……!」
ぶんっ!
魔剣リヴァ―ルを一閃し、牢の格子を切り裂いた。
「な、なんだ、貴様ぁ!?」
近くにいた看守が驚いたように駆け寄ってくる。
先ほど、アベルの頭部を痛打した看守である。
「その剣は!? 脱獄する気か!?」
「さっきの礼だ」
アベルは剣を振るった。
一撃。
看守は胴体を両断され、倒れた。
「脱獄か……そうだな」
黒い剣を肩に担ぎ、アベルは歩き出す。
「まずは外に出る。それから――」
口元にニヤリとした笑みが浮かんだ。
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