2 回復の術式
「勇者が、選ばれる――?」
俺はターニャの言葉を呆然と聞いていた。
一周目の世界では、アベルが『聖剣の素質者』――つまり『勇者』として神から聖剣ラスヴァールを授かった。
この二周目の世界でも同じような運命をたどるんだろうか。
俺の村にいるだろうアベルが、神から聖剣を授かる……?
だとすれば、俺はまた勇者アベルと旅をすることになるんだろうか。
今度は、戦友として。
そして、あいつとも――。
「ラスヴァールがまた現れる……?」
だとしても、それは一周目の世界の聖剣じゃない。
俺の友だったラスヴァールはもうどこにもいない――。
俺はターニャに案内され、神殿の奥にやって来た。
そこには女神の像が鎮座している。
守護の女神ルルファリア――。
『守り』や『癒し』を司る女神である。
「この像には女神の力が色濃く宿ってるのさ。魔力回復効果もばっちりだ」
と、ターニャ。
「本来なら、これを使うのにとんでもない額の寄付金がいるんだけどね」
「えっ、金取るのか」
「寄付金」
「でも、実質強制なんじゃ――」
「それ以上ツッコむのは禁止だ」
ターニャがずいっと顔を近づけた。
「お、おう、悪かった……」
「ま、お前は魔族を撃退して町を守ったりしてくれたらしいし、特別扱いでいいだろう」
ターニャが腕組みをして胸を張った。
無意味に偉そうな態度だ。
「じゃあ、さっそく……女神像の前に立ってくれ。『魔力回復』の儀式魔法を使う」
「分かった」
言われたとおりにして、魔力回復開始。
その、瞬間。
突然、俺の視界が暗転した――。
「な、なんだ……?」
意識を失っていたのは、ほんの一瞬だろう。
気が付くと、俺はさっきまでとは全く違う風景の中にたたずんでいた。
「どこだ、ここは……?」
よく見ると、草原のようだ。
けれど、一面に広がる草はすべて白色。
空も白。
太陽さえも、白。
俺は、真っ白な世界にいた――。
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