11 アベルの運命の分岐点2
「ボルグ様、助力いたします!」
アベルは剣を手に走り出した。
真っすぐ、ガードナーに向かって。
先ほどの態度で、ボルグはアベルに不信感を持ったはずだ。
今後のためにも、そこを払拭しておく必要があった。
「おおおおおおおおっ!」
ガードナーに向けて剣を振り下ろす。
「て、てめぇっ……!」
だが、ガードナーの反応は鋭かった。
重傷を負ってなお、アベルよりも圧倒的に。
きんっ。
アベルの手から剣が弾き飛ばされる。
「隙ありぃっ!」
反対側からボルグが剣を手に斬りかかった。
「舐めるなぁぁぁぁぁぁっ!」
ガードナーも最後の気力を振り絞ったのか、立ち上がって拳を繰り出す。
「なっ!? まだそんな力が――」
ざしゅっ……。
ガードナーの手刀がボルグのみぞおちを貫いた。
「ぬかった……近づかずに、じわじわといたぶるべき……だった……か……」
「へっ、危ないところだったぜ」
ガードナーがずるりと手刀を抜く。
同時にボルグが倒れた。
腹に空いた大穴から体中が光の粒子と化して消滅していく。
まさに、一瞬の逆転劇――。
「ああ……」
アベルは呆然とその光景を見つめていた。
「さて、と」
ガードナーが振り返る。
「お前、俺に斬りかかってきたよな? どういうことか説明してもらおうか」
「ううっ……」
慌てて逃げようとするが、町の人間が四方から押し寄せ、逃げ場を塞いだ。
「ぐぐぐぐ……」
アベルは、自分が最悪の一手を打ってしまったことを悟った――。
「や、やめろ……やめてくれ!」
アベルは捕縛されることになった。
罪状は――魔族に与したことだ。
魔族に内通しているのではないか、と疑われ、これから念入りに尋問されると聞かされると、アベルは一気に青ざめた。
(くそ……俺に力があれば……)
『一周目の世界』で所持していた力が失われているのが、もどかしかった。
力さえあれば、こんな連中は瞬きするほどの間に瞬殺できるのに――。
だが現実に、アベルには力がない。
これから捕らわれの身となり、おそらく拷問を受けるのだ。
苦痛と絶望の日々が始まるのだ――。




