10 アベルの運命の分岐点1
客観的に見て、ガードナーの戦闘能力はボルグの優に数倍はあるだろう。
ガードナーなら問題なく魔族を倒してくれるはずだ。
(悪いな、ボルグ……くくく、俺はガードナーに味方するよ)
アベルは内心でほくそ笑んだ。
このまま手出ししなければ、ガードナーがボルグを倒してくれるだろう。
アベルは二人の動きを注視する。
ボルグはアベルが何もしないのを見て、苛立ったような表情を浮かべた。
と、
「いくぞ、魔族!」
ガードナーが戦斧を手に突進する。
「ちいっ」
ボルグの動きがワンテンポ遅れた。
ただでさえガードナーの動きは鋭い。
ましてタイミングが遅れてしまっては、ボルグに対応できるはずもない。
勝負ありだ――。
「【火球】!」
と、ボルグが苦し紛れなのか巨大な炎の球を放った。
ガードナーはそれを易々と避ける――。
「!?」
いや、その場で立ち止まった彼は、なぜか火球を正面から受け止めた。
「な、何をやっている!?」
アベルは思わず声を上げる。
「ぐ……ああああああああああああっ……!」
爆発とともにガードナーは大きく吹き飛ばされた。
「ど、どうして……?」
明らかにわざと攻撃を受けた様子のガードナーを、アベルは呆然と見つめる。
それからハッと気づいた。
ガードナーの背後――十数メートルくらいの位置に逃げ遅れたらしい小さな子どもがいることを。
(あの子をかばったのか……!)
「ぐううう……」
火球の直撃を受けたガードナーは、かなりのダメージを負っている様子だった。
「くくく、人間とは愉快な生き物だな。あんなガキをかばわなければ、お前が勝っていただろうに……」
ボルグは笑いながら、さらに火炎や雷撃を放った。
「ぐあっ、ああああああっ……」
動きが鈍っているガードナーは避けきれず、滅多打ちだ。
(まさか、こんなあっさり形勢逆転するとは――)
アベルは呆然と立ち尽くす。
当初は傍観するつもりだったが、こうなると立ち回りを変えた方がいいかもしれない。
(俺が味方をするべきなのは――)




