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魔王よりも強い【荷物持ち】は滅亡した世界から過去に戻り、『二周目の世界』を圧倒的な強さで無双する。  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第3章 かつての仲間たち

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5 提案

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序盤の伸びがとても大切なので、応援いただけたら嬉しいです。

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「ちょっとクレイン。いきなり戦いを挑むなんて――」

「今言っただろう。修行の一環だ」


 抗議するシリルをクレインが突っぱねた。


「いくら旧知の君でも、戦いを止めようとするなら全力で拒否するぞ」

「彼は来たるべき戦いに必要な人材よ」

「関係ない。私は、私の実力を磨くことにしか興味がない」

「もう……」


 ああ、思い出した。


 懐かしい気持ちでいっぱいになる。

 そうだ、クレインってこういう奴だったよな。


「クレイン、一つ提案がある」

「ん、なんだ?」

「俺が勝ったら、魔王軍と戦う仲間になってくれないか?」

「……私は自分の実力を磨くことにしか興味がない、と言ったはず」

「なら、魔王軍との戦いは絶好の訓練になるんじゃないか?」


 俺はクレインを見つめた。


「……修行のやり方は私自身が決める」

「はは、強情だな」


 けど、そういうところも彼女らしい。


「私に言うことを聞かせたいなら力ずくで来ることだ」

「そうだな。俺の剣と魔法で、君にこの提案を呑ませてやる」

「面白い……面白くなってきたぞ……!」


 クレインが剣を構えた。


 俺も剣を抜く。


「シリルは審判代わりだ。どっちかが戦闘不能になるか、危ない場面になったら止めてくれよ」

「もう、カインまで……」

「クレインも修行だって言っただろ。来たるべき戦いには必要なことさ」

「もうっ。分かった。でも、お互いケガしないようにね」


 シリルがため息をついた。


 それから右手を上げて、高らかに叫ぶ。


「両者構えて――始め!」


 俺とクレインの『試合』が始まった。




「【火炎】!」


 クレインが魔法の炎を生み出した。

 さらに、


「【斬撃】!」


 剣術スキルを発動する。


 先ほどの火炎がクレインの剣に宿り――、


「魔法剣技【火炎斬り】!」


 魔法と剣術の合わせ技……クレインの真骨頂だ。


 俺は迎撃の魔法弾を撃った。

 けれど、思ったよりかなり弱い威力になり、あっさりとクレインの【火炎斬り】に斬り散らされる。


 なおも俺に迫るクレイン。


「まずい……」


 さすがにちょっと焦った。


 二発目の魔法を撃つより、クレインの【火炎斬り】の方が早い。


 この間合いじゃ攻撃範囲から逃れるのも無理だ。

 多少のダメージを無視してカウンターを食らわせるか。

 それとも――、


「がああああっ!」


 考えるより早く、俺の体の方が反応してしまっていた。


 左手を、突き出す。

 五本の指がいっせいに伸びた。


「えっ……?」


 なんだ、これは――。


 俺の体がひとりでに『変形』した!?

 数メートルまで伸びた五本の指で、クレインが振り下ろした炎をまとった剣をつかむ。


 ばきんっ。


 剣をあっさりとへし折り、炎を握りつぶしてしまった。


 さらにクレインをはたいて吹っ飛ばす。

 それから五本の指は元の長さに戻った。


「なんだったんだ……?」


 俺は呆然と左手を見つめた。


 傷一つついていない。

 クレインの炎と斬撃の両方をあっさりと封じてしまった。


 今までの俺に、あんな技は使えなかった。


 いや、そもそも今のは『技』だったのか?

 まるで――。


「な、なんだ、その技――」


 はあ、はあ、と荒い息をつきながら、クレインが俺を見据えた。


 しまったな、怪しまれたか?

 どう考えても、怪しすぎる現象だったよな……。


「すごいじゃないか! 私は感動したよ!」


 ……って、あれ?

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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