1 現在の俺の戦闘能力について
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新作『仲間に裏切られた俺は魔王に転生する。俺だけの最強国家を魔界に築き上げ、最強魔族の軍団を編成したので、地上にいる仲間の領土に侵攻する。さあ、待ってろよ裏切り者ども。』を始めました!
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俺とシリルは『回復の神殿』を目指していた。
魔王軍襲来については、シリルの仲間たちがレーガ公国に報告するということで、彼女は魔法師団からいったん離れて俺と一緒に行動してくれる。
で、その『回復の神殿』に向かう手段は馬車だ。
将官のシリルはさすがに高給取りなので、旅費も全部出してくれた。
俺は一文なしなので、ありがたかった。
……一周目の世界じゃ、魔王軍との戦いや放浪生活で、ほとんど金なんて持ってなかったからな。
目的地まではおよそ三日の道程だ。
道中初日は何も起きなかったが、二日目の昼頃――。
るおおおおおおんっ。
前方の地面が盛り上がり、巨大な甲虫が出現した。
「モンスターか」
おそらく上級だろう。
シリルでも手こずるかもしれない。
「俺が倒してくる。馬車を止めてくれ」
「一人で戦う気? 私も戦った方が――」
「いや、ちょっと試したい戦法があるから、俺一人でやらせてくれ」
俺はシリルに馬車内で待機してもらい、地面に降りた、
「試したい戦法って?」
「格闘戦、さ」
俺の戦闘スタイルは大きく分けて三つある。
一つはスキル。
聖剣ラスヴァールによって得た【吸収】を活かし、数百単位で会得したスキル群だ。
二つ目は魔法。
俺が魔族と融合した影響で使えるようになった力。
人間が操る魔法とは体系が異なる『魔族の魔法』である。
そのため、人間のように複雑な呪文詠唱などは必要とせず、簡単な身振りや手ぶり、意志の力などだけで発動できる。
そして最後は『聖剣の力』。
聖剣のエネルギーを自分の内側に取り込み、身体能力をはじめとした各種ステータスを爆発的に底上げする。
その分、反動もすさまじいが、俺は魔族と融合することで人間を超えた強靭な肉体を手に入れ、それに耐えられるようになった。
ただし、三つ目の能力については、現在の俺がどこまで使えるか分からない。
なんといっても、俺の手から聖剣は失われてしまったからな。
「ラスヴァールは、もういない。聖剣には、もう頼れない」
俺はゴクリと喉を鳴らした。
聖剣の力を使わず、魔族と融合したこの肉体だけで――どこまで戦えるか。
七魔将程度は圧倒できたんだし、聖剣の力の残滓はこの体に宿っているようだ。
けれど――100パーセントじゃない。
今の俺は、聖剣を使っていた時に比べて、何割くらいの力を出せるんだろう。
それを確かめるために、今回は格闘主体で行く。
「いくぞ、怪物」
俺は身構えた。
聖剣はないものの、俺の中にはまだ大量のエネルギーが残留しているようだ。
言ってみれば、ラスヴァールの置き土産といったところか。
とはいえ、この力は補給することができない。
使えば使うほど目減りしてしまうから、本当の強敵以外には使わない方がいいだろう。
現実問題としては、七魔将ですら聖剣の残留エネルギーを使わずに圧勝できたのだから、この力は魔王戦だけにとっておこう。
おそらく魔王が相手でも、この力を全開にすれば圧倒できるはず。
「よし、考えがまとまったぞ」
甲虫の突進を、俺は大きく跳び下がって避けてみせた。
聖剣の力が使えないとはいえ、俺の身体能力は人間の限界レベルを圧倒的に超えている。
何体もの魔族と融合した成果だ。
この身体能力を活かし、さらに魔族の魔法や各種スキルを使えば、こんなモンスターは敵じゃない。
さらに迫ってくる甲虫の突進を、二度、三度と避けてみせる。
……なるほど、今の俺のスピードや俊敏性はなんとなくわかったぞ。
次はパワーを調べよう。
四度目の突進。
今度は避けずに、俺は正面から奴の巨体を受け止めた。
両腕に力を籠める。
「くっ、おおおおっ……!」
そのまま甲虫を持ち上げた。
リフティングのように何度か上下させ、無造作に放り捨てる。
「はあ、はあ、はあ……」
相手は数百キロ――いや数トンはくだらない体重だと思うけど、純粋な腕力だけで持ち上げることができた。
……ちょっと疲れたけど!
とりあえず、パワー、スピード、敏捷性など、基本的な運動能力は大雑把に把握できたぞ。
「体力テスト終了だ――【雷撃】」
俺は十数本の稲妻を発生させ、甲虫を打ち据えた。
ぴぎぎいいいいいい。
悲鳴とともに黒焦げになる甲虫。
「上級モンスターを一瞬で……それに今の魔法って無詠唱……!?」
背後からシリルの驚きの声が聞こえた。
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