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魔王よりも強い【荷物持ち】は滅亡した世界から過去に戻り、『二周目の世界』を圧倒的な強さで無双する。  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第2章 今度こそ全てを守るために無双する

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9 アベルとの再会

 アベルは母一人子一人の家庭で育った。


 父は戦争に巻き込まれ、アベルが小さいころに死んでしまったんだ。


 で、そんな彼と俺は幼なじみとして育った。


 あいつは正義感が強くて、領主の息子ともよく衝突してたっけ……。


 本当にまっすぐな奴だった。

 俺にとって自慢の親友だったんだ。


 なのにどうして――。


 あいつが人類を裏切り、魔王の配下になったことは今も許せない。


 怒りや憎しみは俺の心の中にずっと燃え盛っている。


 そして同時に悲しみと喪失感も。




「カインか? さっき噂で聞いたんだけど、お前……魔族を倒したんだって?」


 アベルの家に行くと、彼は驚いた顔で俺を見つめた。


「ああ、まあ……」


 ジッとアベルを見つめ返した。


 彼からはなんの力も感じない。


『一周目の世界』では魔王から『魔族の力』を与えられていたはずだけど、今は欠片も感じない。


 そもそも俺が魔族を倒したことに心から驚いている。


 演技とはとても思えなかった。


 つまり、こいつは――俺の『力』を何も知らないんだ。


 こいつは『一周目の世界』の『人類を裏切った男』じゃない。

 まだなんの力もない、ただの村人……と判断していいだろう。


「信じられないよ……カインにそんな力があったなんて」

「その、いきなり『力』に目覚めたんだ。俺自身気づいてなかったけど素質があったみたいで」


 俺の『力』については適当に説明しておく。


「で、魔族の基地を攻撃するために村を出立するんだ。他にも他国の魔法師団の人とか、超一流の騎士や魔術師と一緒に作戦に当たる」

「すごいな……カインがそんなことを」

「人類が滅びるかどうかの瀬戸際だからな。がんばってくるよ」

「俺は何もできないけど……応援しているよ。気を付けて行ってきてくれ、カイン」


 アベルが俺の手を握った。


「がんばれ。無事に戻ってこいよ」


 その顔は、俺を心から案じているようだった。


 人類の裏切り者なんかじゃない、幼なじみで親友のアベルそのものだ。


 ああ――。

 油断すると涙が出そうになった。




 ――翌日、俺はシリルと一緒に出立した。


 まず目指すのは『回復の神殿』だ。


 聖剣の力を失った代わりに、俺の中に在る『魔族の魔力』を目いっぱい回復させる。


 今後の戦いのために。


    ※


 SIDE アベル



 カインが去って、すぐに。


「うううう……」


 アベルは頭が割れそうな痛みを感じた。


 同時に、眼前に見たことのない光景が浮かび上がった。


(なんだ、これは――)


 初めて見る光景ばかりだった。


 聖剣を持ち、勇者として持てはやされている自分。

 仲間たちと一緒に魔王軍と戦っている自分。


 そして、魔王の前に跪き、人類の敵となった自分――。


 見覚えのないはずの情景。


 だが、その数々を、なぜかアベルは知っていた。


(これは……俺の記憶……?)


 直感で理解する。


「俺が『未来で』体感した記憶――」

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忌み子として処刑された僕は、敵国で最強の黒騎士皇子に転生した。超絶の剣技とチート魔眼で無敵の存在になり、非道な祖国に復讐する。


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