-1- このつまらない日常に見える転機
ずっと、高校演劇がメインテーマの作品がもっとあればいいのにと思っていました。あまりないなら、「いっそ自分で書いちゃえ」ってなったら創作意欲が溢れてきたので書きました。お堅い話じゃないので、気軽に読んでもらえると助かります!拙い文章ですが、よろしくお願いします!
その景色は暗いのに眩しかった。
たくさんの人達の視線が視界に入る。
今、俺は見られている。
緊張すると同時に俺は口を開いた。
「どこだ!?こ、ここは…!」
少し噛んでしまった。
クスクスと笑う声が暗闇から聞こえてくる。
思わず俯いてしまいそうになったその時、
「やっと目が覚めたか」
声のする方を見ると、1人の男が俺を見ている。
「おいみんな、さっきの人、目を覚ましたぞ!」
そうか、俺は助けてもらったんだ。
どうしよう、言葉が出てこない。
「あ、えっと…」
しまった…。
「大丈夫!?君、私が見つけた日からずーーーっと眠ったままだったんだよ!!街の人に手伝ってもらってここまで運んでもらったんだけど…」
同じくらいの歳の女の子だ。
かわいいなオイ。
その女の子は、俺を見てムスッとしたかと思うと、笑顔にでウインクしてきた。
なんだこれ、ずるいでしょ。
「ま、まあ元気そうで、なっ、なによりダー」
なんだこいつ。
凄い棒読みじゃないか、大丈夫かよ。
最初の男とは別の、チャラい見た目の男だ。
「あの、助けてもらったみたいで…あ、ありがとうございます」
くそ、舌が回らない。
「ああ、気にするな」
やっぱりこの人は頼りになるな。
この人は九条海志、俺の先輩であり部長だ。
「目が覚めたばっかだもん、うまく喋れないのは仕方ないよね!」
今俺のフォローをしてくれたこいつは、不破深月。
同級生で一緒に部活に入った女子だ。
ついでに、さっき棒読みで喋ってたやつは羽柴皆斗だ。
「ああ、ありがとう」
俺は心を無にした。
考えるな、考えるな、考えるな、
俺ならできる。
声を出せ。
ビビるな。
前を向け。
「ところで、ご飯、もらえます?」
ーーーどうだ?
俺は汗を垂らしながら客席の方を見た。
どっ
その瞬間、暗闇しか広がっていなかった光景に、光が差した気がした。
全員とまではいかないが、大勢の人が笑ってくれている。
嘲笑じゃない、純粋な笑いだ。
俺は、出だしを成功させたのだ。
完璧とは言えないが、俺にとっては上出来だった。
客を世界に引き込むのが役者の役目だ。
その言葉が脳裏を過ぎる。
「なんだお前、図々しいやつだな!ハハッいいだろう。とびっきり美味い飯食わせてやるよ!」
こんなつまんないボケに笑ってもらえるなんて…
そうだよ、頑張って練習したんだ!
絶対この公演を成功させるんだ。
俺、いける気がする。
ー1ヶ月程前ー
「お前、何の部活入るか決めた?」
「いやまだだ。羽柴は中学と同じ、サッカー部だろ?」
「まぁな、そのつもりだ」
春、桜並木道を歩きながらそんな話をする。
「お前もサッカー部入ろうぜ」
「やだよ。高校からは勉強も頑張りてえし、部活ガチるつもりはねえよ」
「なんだよお堅いなぁ。別にガチらなくてもいいじゃねえか」
「運動部だと大会出ないとだろ。お遊び感覚の文化部にでも入るよ」
「そこまで言うなら部活入んなきゃいいのに」
確かに言われてみればそうだ。
なんで部活しないって選択肢はなかったんだ。
頭の中で、高校生の青春と言えば部活だ、なんて考えが残っているのかもしれない。
「言われてみりゃあそうだな」
「なんでもいいけどよ、折角の華の高校生だ。勉強ばっかしてねえで、爽やかな青春を謳歌しようぜ。文化部が悪いとも言わないし、帰宅部が悪いとも言わないが、やっぱり青春は必要だぜ。中学のとき、適当に選んだ手芸部で痛い目見ただろ」
「あぁそうだな」
中学1年生当時、ゲームすることしか頭になかった俺は、部活なんてめんどくせえと思いつつも強制入部の校則には逆えず、適当に手芸部に選んだ。
その部活は俺以外女子しかおらず、部活内に友達を作ることができなかった。
静かで大人しい女子しかいないため、男である俺は過剰に警戒された。
それでも俺はどうでもいいと思い、その部室に通ってはゲームして、時間になれば帰るという日々を過ごしていた。
俺の知らないところで[手芸部の野獣]というあだ名がつけられ、悪い方向性で有名人だった。
ま、正直言うと俺は気にしていない。
俺を気持ち悪いだの、やべえやつだの言うやつは多少なりといたが、友達には不自由してなかったし充実していたと思う。
強いて言うならば女友達がいなかった、これに尽きる。
手芸部の女子と付き合っているという噂があって、女子と仲良くなれなかった。
そりゃあわざわざ手芸部に入る男なんてなかなかいない。
そんな噂がたつのは時間の問題だったわけだ。
横にいる羽柴含む友達はそんなのがただの噂だとわかっていたが、女子というものは恋バナが大好物。
信じて疑わなかったんだろう。
「お前、容姿は悪くねえんだからサッカー部にでも入っとけば彼女の1人や2人、余裕で作れたのにな」
「もういいって」
羽柴、俺は知っているぞ。サッカー部に所属していたお前が、中学生活3年間で13人の女子と付き合っていたことを。
今のその発言は嫌味か?遠回しな自慢か?
ま、俺はこいつがそんなやつじゃないことも知っている。
単純に褒めてくれただけだろうな。
「高校って中学よりも色んな部活あるよな」
「まぁ、だろうな」
「ワンチャン俺がサッカー部以外に入る可能性があったり!?」
「ないだろ」
そろそろ目的の学校が見えて来る頃に突然、
「どいてどいてどいてー!!!!!」
どっしゃーーーーん!
「いててて」
いや、ベタすぎるだろ。
「おい、大丈夫か!?」
羽柴の声が聞こえる。
倒れた俺がふと見上げるとそこにはー
「ごめんごめん、急いでたもんだから。怪我してない?あたしのチャリ、使い古しすぎちゃっててたかにブレーキ君が言うこと聞かないんだよねぇ。そろそろ買い換えないとだなぁ」
そこそこ背が高く、スタイルのいい女性がいた。
この制服…俺たちが通う高校の制服だな。
「危ねえだろうが!」
いや羽柴、お前はぶつかってないだろ。俺のセリフを奪うな。
それにしてもこの人…
「いやホント、ごめんね!なんかお詫びしたいところなんだけど…生憎何も持ち合わせてなくてねぇ〜」
その女性はカバンの中をゴソゴソすると、
「これしかないんだけど。これで許してもらえないかな。今日入学の後輩君だよね。今日の午後、体育館ステージね!」
謎の紙1枚を俺に渡すとすぐさま自転車に跨ぎ、
「じゃ、悪いけど行くね!待ってるから!」
と言うとバカみたいな速さで自転車を漕いで行ってしまった。
その様子を見ていた羽柴は、
「いくら美人だからってありゃあねーぜ」
と言ったと思ったら
「何貰ったんだよそれ」
こいつ、ほんと切り替え早いな。
とにかく俺は貰った謎の紙を見た。
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ー演劇部発表公演ー
新入生歓迎特別公演です!
本日限りの超激レアなお芝居だよ
私も出ます!
見にきてね⭐︎
場所:体育館ステージ
日時:4/9 16:30
副部長 まなみ
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チラシか?演劇部…
「演劇部の勧誘チラシか?興味ねーな」
「特別公演か…行かないのか?」
「行くわけねーだろ。俺にはそんなお高い趣味はねーよ」
「この副部長の“まなみ”って人、さっきの人じゃねーか?」
「は?行くに決まってんだろ」
こいつ、ほんと美人に弱いな。
しかし今の人可愛かったな…。
演劇部に入るつもりはさらさらないが、見に行くだけならタダだ。
少しだけでも見に行ってみようかな。
「決まりだな。後で一緒に体育館行こうぜ」
「ああ、約束だぞ」
俺の名前は仲真悠希。
どこにでもいそうな、普通の高校生になる予定だ。
このときは考えもしなかった。
そんな俺が、最高に青春な高校生活を過ごすなんて。
最後まで読んでいただきありがとうございました。小説を書いた経験がなく、探りながら書いたので読みにくい文章になっているかもしれないです。次回以降もよろしくお願いします。




