理由って書いてワケ
魔王軍討伐パーティで活躍するレアクラス疾風戦士の男がひとり。
しかし彼はある晩リーダーのザックに呼び出される。
「本当に悪い、もうお前とはこれ以上一緒にやっていけない」
パーティのリーダーであるザックは、険しい顔でそう告げた。一瞬俺は何を言われたのか理解できなかった。
「そ、それはな、なんでャ、なんでなんだャ?俺はパーティャの役にたャててるだろ?」
「たしかに役には立ってる。お前のような俊敏性の高い戦士クラスは珍しいし、実際ほとんどの雑魚は殲滅してもらってる…」
「じ、じゃあなんでャ!?」
「話すときクチャクチャうるせえんだよ!」
「く、クチャクチャ?」
「なんか口のよくわかんないとこに唾液がたまって開け閉めの時にクチャァ…って聞こえてキモいんだよ!!」
「そャ!そャんなャ!あんまャりだよクチャ」
あんまりだよ と言ったすぐ後に クチャ と鳴ったのが自分でもわかった。人から言われた途端、意識のせいなのか自分の欠点はよく目につく。俺は赤面した。
「わかったよな?」ザックは俺を詰めた。
なにも言えなかったわけじゃない。魔王軍を討伐するパーティとしては何も差し支えない欠点だ。それでも俺はなにもいい返せなかった。
当たり前だ。また先の クチャ という音が鳴ったら、憤死してしまう程俺のメンタルはやられていた。無言で頷くしかなかった。
「じゃあな。これは選別だ。」
そういって革袋一つ置いて彼は去っていった。
「…」
中身を確認すると栃の実が2個はいっていた。コロコロしていて可愛く見えた。どういう選別なのかはわからないが、ぶつけたらまあまあ痛そうなので持っていくことにした。
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マッコイ
職:疾風の戦士
持ち物
・栃の実x2