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2080パラリンピック新東京大会。

作者: 神在月

「こんにちは、いよいよ2080パラリンピック新東京大会、陸上100m障害者クラスAアンリミテッド決勝のスタートが近ずいてきました。

解説は、2072アンカレッジ大会100m障害者クラスA銀メダリストの、早川カケルさんです。」

中継ブースから見る競技場は、雲ひとつない快晴だった。

「こんにちは、今回から正式種目になった、アンリミテッド、楽しみです。」

「早川さん、この種目の注目はやはり、高機能義足をいかに使いこなすか、なのでしょうか。」

「そうですね、アンリミテッドは補助動力の制限がなくなりましたから、生体部分と、義足がいかに滑らかに連動できるかですね。」

「従来の障害者クラスAでは、補助動力の使用は禁止されてますから、脚への負担はかなり違うのでしょうね。」

「はい、私は両足の膝から下が義足なのですが、高機能義足を使ってはないのでかなり軽量なのですが、補助動力付きの義足はかなり重く、使い方もまったく違うものだと思いますね。」

「それでも、高機能義足の方が早く走れるんですね」

「バネの反発力だけで走っていた、従来のものと違い、自ら力を出すことができますから」

「股関節の負担はどうなんでしょうか」

「まだ、健常部位の改造は禁止されてますので、気になるところではありますね」

「日本チームが使っている韋駄天はかなり軽量化されていると聞きますが」

「以前キャンプで韋駄天を装着させてもらい、基本プログラムで少し使ってみたのですが、なれるまでに時間がかかりました。

本気で走るのには、各選手に合わせたプログラムが必要なので、私は走ってみてはないのですが、負担は大きいと思います。」

「予選一位のアメリカのジョニー選手の右足は、大腿部の半分から下が義足のようですが。」

「そうです、左右の足のバランスが大切になると思います、予選の走りを見ている限り、その辺りはサンダーボルトMk4はよくプログラムされていると思います。」


「スタートラインには、既に決勝戦に勝ち上がった、8名の選手がスタートを待ちかねています。メカニックスタッフは既にフィールドから退場しています。

注目はやはり、サンダーボルトMk4を要したアメリカのジョニー・ミッチェル選手と、日本の篠原一選手の韋駄天2でしょうか。」

「韋駄天2は唯一生体材料とカーボン骨格のハイブリットですからね。どこまでジョニー選手に迫れるかが見ものですね。」

「人工筋肉を利用しているんですよね。」

「韋駄天の合成筋肉よりも40パーセント出力が高くなっていて、自己修復機能も持っているのが特徴ですね。

サンダーボルトのウルトラソニックモーターは重量がありますから、生体部分への負荷が大きいですが。

その点韋駄天2はかなり軽量化に成功しているようです。」

「ここまでの予選で溜まった負荷がジョニー選手の走りにどこまで影響するかですね。」

「そうですね、義足の重量による差が出るかどうか、見物です。」


「さあ、いよいよスタートが迫ってきました。」

On Yorur Marks

「各選手、スターティングブロックにセットして、スタートの瞬間を待ち構えています。」

Set


Bang


「綺麗なスタート、まず抜け出したのは、第三レーンの篠原。

第五レーンのジョニーが追う。

やはり二人の競り合いになってきました。

篠原逃げる。

ジョニー迫る、ここで一段と加速したように見えます。

ゴール前の競り合いから、制したのはジョニー選手か、しかしジョニー選手止まらずセーフティーフェンスに突っ込んだ。」

「ジョニー選手心配ですね、制動プログラムがうまく作動しなかったんでしょうかね。」

「大会スタッフと、アメリカチームのメカニックが駆けつけています、まだジョニー選手の姿は見えません。

タイムは手元の時計では8.01秒ですが。」

「流石に早いですね、正式記録が待たれますね。」

「電光掲示板の数字は、7.99秒。ジョニー選手8秒の壁を破りました。」

「篠原も健闘し8.03秒でしたね。」

「3位はスエーデンのオルフ選手で9.22秒。やはり二人が抜きんでてましたね。」


「ジョニー選手、メカニックスタッフに両肩を支えられて立ち上がりました。

片手をあげて大歓声に応えています。」

「ついに8秒の壁を破っての優勝はすばらしいです、ただジョニー選手は予選からの体の負担が心配です。」

「早川さん、この記録はどこまで伸びるのでしょうか。」

「生身の体での力学的な限界は8秒と言われていたので、ここから先は未知の領域ですね。

ただ股関節などの健常部の強化が認められないと、選手への負担が大きすぎるのではないでしょうか。」

「早川さんありがとうございました。これで新東京国際陸上競技場からの中継を終わります。

解説は早川カケルさん、実況は古川でお送りいたしました。」

解説

新東京オリンピック・パラリンピックの会場となった新東京は。

50年前(2030年)に発生した、首都直下巨大地震(南関東大震災)で、壊滅的な被害を受けた、旧東京の完全復興を見送った政府が。

駿河湾上に建造した超巨大メガフロート都市。

首都機能は旧東京に残しつつ、産業商業エリアはこちらに移した。

建造に際して、被害の大きかった江東区や江戸川区は専用プラントを建設し。

旧東京の都市機能は千代田区、文京区などに絞って復旧を行い、他の多くは慰霊のための公園や、歴史的建造物の保存地区になった。

建造が完了したのが2065年。

第一期工事が終了した、2040年から本格的な運用が開始され。

現在では、日本の商業金融の中心となっている。

この時代、補助具の進化とともに、特に陸上競技はオリンピックとパラリンピックの記録差がなくなるどころか、一部種目では逆転現象も起きていた。

統合すべきと言う意見もあったが、明確に区別して行うべきとの意見が大勢を占めたため、別開催のままになっている。

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